はじめに:
理論物理学者が、
成功を科学したらどうなるのか?
個人論が展開されがちな自己啓発本では
なかなかにできない、
データを元にしは成功科学は、
私たちに何を教えてくれるのでしょうか。
著者は、
アルバート・ラズロ・バラバシ氏。
著書の中には15カ国で翻訳された
世界的ベストセラー「新ネットワーク思考」
の著者でもあります。
ネットワーク科学により、
私たちを取り巻く、
成功者とそうでない者の差
はどうやって生まれるのか?
をその独特の観点から解説してくれます。
大前提で解明された法則は、
『パフォーマンスが測定できるなら、
そのパフォーマンスが成功を呼び込む
しかし、
パフォーマンスが正確に測定でできない場合
成功はネットワークが呼び込む』
という物です。
一体どういう事なのか?
ネットワークサイエンスと物理学者
が膨大なデータから導き出した
成功の法則から
学んだ事をアウトプットします。
学んだ事:
パフォーマンスが測定できる時はシンプルに努力が成功を呼ぶ
テニス界は、
データサイエンス科学者が喜ぶ、
データの宝庫だと言います。
テニス選手は、
テニス協会から
様々な角度でデータを取られます。
どんな試合をし、
どんな戦績で、
どんな点差で勝敗を喫し、
どんなプレイヤーなのか。
それら全部が加味され、
世界ランキングが決まっています。
テニスプレイヤーは、
透明性のある基準で審査され、
誰が見ても分かる基準
でランキングされています。
これに似たランキングには
学校のテスト評価
があります。
単純にテストの点数により
生徒の成績の順位が決まります。
とてもシンプルな構造です。
短距離走など、
「どれだけ速く走れるか」
を競う世界でも、
その評価は物理的な結果により
その成績やランキングが決まります。
10秒で走る選手より
8秒台で走る選手の方が
ランキンングは上です。
誰が見ても結果は明らかです。
このように、
透明性が高い評価ができる世界、
雑な言い方をすれば
成績を簡単に評価できる世界
では、
「パフォーマンスが成功を呼ぶ」
はずです。
今目の前にあるやるべき事を
一生懸命に努力してやる。
それが成功につながるでしょう。
そこをサボって成功する事はありません。
当たり前と言えば当たり前ですが、
理論物理学の世界でも
成功の影には努力有り。
がこの章の解答です。
しかし、
明確な評価ができない世界
では一体どうやれば
私たちは成功を手にできるのでしょうか。
オーケストラ員の選出試験
アートの審査会、
ワインの品評会など、
「主観的」で透明性のあるデータ
に基づかない世界では、
どんな基準で人や作品が評価され、
どんな結果を産んでいるのでしょうか。
そして成功する為に、
私たちにはどんな手段んが取れるのでしょうか。
次章で見ていきます。
アートの世界は評価が難しい?
主観的な判断も加味される
音楽や絵、詩などのアートの世界では
評価はどのようにされていて、
成功はどんな人物が手にするのでしょうか。
先に解答を示すと、
パフォーマンスが測定できない時は、
「ネットワーク」が成功を決めます。
前述の通り、
パフォーマンスの測定が可能な世界では
そのままパフォーマンスが成功を呼ぶ
のに対し、
歌や美術・アートの世界は
そのパフォーマンスの測定が極めて困難です。
歌手をランダムに二人連れてきて、
どちらの方が歌が上手いか?
を比べても明確な答えは出ないでしょう。
デュシェンの作品「泉」に対する品評では
アート界を揺るがす賛否が生まれました。
この泉という作品の正体は、
トイレの便器にサインを入れただけの物
だったのだから頷けます。
にもかかわらず、
アートの世界にも
誰もが知るモナリザやムンクの叫びなど
スーパースター作品と
そうでない創作者が存在します。
この格差はかくも大きく、
大半のアーティストは、
その生涯で10回しか作品を展示されないのに対し
スーパースター作品は、
約数千回も展示されます。
作品によっては1万回を超える作品も存在します。
質を測れない世界において
この差を生むのは、
前述の通り「ネットワーク」です。
一つ例を見ていきます
ルーブル美術館に展示されている絵は
そのまま成功を呼び続けます。
理論物理学者が、
有名な絵画とそうでない絵画
を調査したところ、
「ネットワーク」が姿を現しました。
有名な絵は有名な美術館を堂々と巡って、
その名声を欲しいままにします。
売れない画家はというと、
一度小さな美術館に絵が展示されると、
その後も障害に渡って、
有名ではない美術館のネットワーク
にハマってしまい、
そこから抜け出すことはなかったと言います。
優れたネットワークに入ることができれば
その後の成功は約束されたも同然です。
しかし、
その壁は高く厚く、
ネットワークからあぶれた者が、
中に入ろうとしてもその道は阻まれます。
研究者が、
どの画家がどのネットワークに属したか
を見る事で、
画家のその後の成功をほぼ正確に
予想できたそうです。
それほどに大事なネットワーク。
では閉ざされたネットワークに対し
その外側の人間はなす術がないのでしょうか?
著者はネットワーク介入の術、
というより、
どのように「対応するか」
を述べています。
ネットワークへの対抗策は
「リサーチ力」です。
成功者を理論物理学的に調査すると、
ネットワーク効果で、
最初から成功を欲しいままにする者
の他にも、
底から這い上がってきた成功者も
確かに存在しました。
新たにネットワーク参入できた者たちです。
彼らが有象無象に埋もれずに、
ネットワークに参入できたのは
リサーチを怠らないその行動にありました。
例えば、
人脈がないなら「作る」。
世の中で何がヒットしているのか
知らないなら「調べる」。
自分が知られていないのなら
世に出て自分を「売り込む」。
これらの行動が成功への道標です。
自分の実力や資質や才能に
どんなに自信があっても、
愚直に努力を続けた実績をもってしても、
それらだけで成功できるほど
世の中は甘くはないのでしょう。
もし自分が成功したいと願った時、
客観的に自分がナンバーワンであることを
証明できないのなら、
階段を1段、1段登るような正攻法では
成功できないかも知れません。
自分の作品に自信があっても、
それだけでは成功できない事を肝に銘じ、
自分の置かれた環境にも着目し、
貪欲にリサーチに力を振っても損はありません。
出世の階段を
「人付き合いの橋」に変えよ
と著者はアドバイスしています。
個人の成功には、その根底に
「社会がその人の成功を望んでいるか」
が加味されます。
成功とは集団的なものである。
という定義を大前提に動いてみましょう。
そして、
パフォーマンスだけを追求する事なく
成功に導いてくれる人間関係の構築や
新しいものに対する知識など、
リサーチにも力を入れて成功を掴みましょう。
成功者は本当に優れているのか?
前章で見たアートの世界では
ネットワークやリサーチ力が
成功をもたらすなら
音楽の世界はどうでしょうか。
音楽の世界において、
その成績結果は、
主観的は判断によるところが大きく、
テニスや学校のテストのように
パフォーマンスが測定「できない」世界です。
なので、
批評家は正しく判断を下せて「いない」
との衝撃的結果が
本書には書かれています。
実際に、
ワインにせよ、
ピアノにせよヴァイオリンにせよ
コンクールにおける審査員の下した評価には
結果に一貫性がない
とはっきりデータが示しています。
どのコンクールにも優勝者はいるものですが
彼らはどうやって
その一位の座を獲得したのでしょうか。
これはもはや、
一位を獲得する
というより、
何かをきっかけに、
一位に選ばれてしまった
が最適解でしょう。
ワインの品評会において、
批評家Aさんが優秀だと判断したのに
批評家Bさんは最低ランクをつけた。
この事実は、
批評家が正しく判断を下さなかった
と取れるが、
同時に、
どれを選んでも優勝できるくらいの実力
がどのワインにもあった
とも取れるのです。
どれが一等賞をとってもおかしくない
こうなってくると、
最後に選ばれるのは、
何かの偶然や、
何かの特別なきっかけ、
素晴らしいことは間違いない
しかし、
アッパー層の中で比べるなら
ちょっとだけ秀でていたなど、
もはや実力での比較には関係のない土俵で
判断が下されてしまいます。
本書では、この原因を
パフォーマンスには限界があるから
と回答しています。
ウサインボルトがどれだけ速く、
未来その記録がいつかは破られるとしても
0.11秒を競う短距離走の世界で
5秒も6秒も速く走れる様にはならないのです。
もしあなたの能力が
パフォーマンスに差が見られないレベル
の域にあるのなら、
コンクールで落選しても落ち込む必要はありません。
何かがきっかけで、
次のコンクールで優勝できる可能性は
充分あるからです。
むしろ、
落ち込んでいる暇はないのです。
成功の秘訣は、
せっせと応募をして、
機会を無駄にしないこと
ここに尽きます。
もしあなたに、
毎回コンクールの最終選考まで
残る実力があるのなら
もう成功は目の前かも知れません。
おわりに:
理論物理学のメスで
成功を科学する本書。
いかがだったでしょうか。
ネットワークサイエンスが導き出した
成功の法則を学んだ今では、
審査員は正確に審査できていない。
という衝撃的な事実に驚きながらも、
そこから導き出された
「あなたは自信を無くさなくて良い、
続ければいずれ成功する」
とも取れる研究結果に、
優しく背中を押された気分です。
努力は十分条件ではない
というところも啓発を受けました。
真面目な日々の努力も去ることながら、
どうやれば上に行けるか
コネを広げられるかなど、
リサーチにも力を入れることは、
成功には欠かせないものです。
本ブログでは取り上げてないものの、
成功に年齢は関係ない
の章も是非是非読んでほしい内容です。
この世の理不尽さと、
それでも頑張る価値があること
を教えてくれた本書。
それらを説明する根底にあるのは
膨大な時間をかけたデータです。
理論物理学の世界を垣間見、
また元気を分けてもらえる良書でした。
大樋町
読書もいいけど、「聞く」のもおつなもの👇👇👇
ブログ村のアイコン押下で、管理人のやる気がアップする仕様ですw
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