第108回【書評】お金に支配されない13の真実から学ぶ【お金ってそれほど大事なの?の答え】

読んだ本

はじめに:

お金が欲しいから頑張るのか、
お金で何かをしたいから頑張るのか。

お金を使っているのか、
お金に使われているのか。

お金には麻薬の様に、
「お金そのものを求めてしまう」
という麻薬的欲求を生み出すと言います。

お金に支配されるのではなく
お金を支配する人生。
これを心理学的な見地から教えてくれるのが本書です。

お金とは

どんな付き合い方をすればいいか?
どんな使い方だと幸せになれるか?
そもそも本当にお金で幸せになれるの?

など、
人生とは切っても切り離せない
「お金」の心理学を学ぶことで
もっと人生を豊かにしてしまいましょう。

お金はたくさんあればいい。
と言うわけでは無いようです。
学んだ事をアウトプットします。

学んだ事:

お金でやる気は引き出せるか?

結論。
悪習慣を止める時以外は、
お金でやる気を引き出すのは避けた方が無難。

かつてアメリカでは、
小学生など学生の好成績者に対し、
お金を渡して学校の成績を向上させよう。
という施策があったそうです。

「好成績を取ったら報酬をもらえる制度」に
果たして効果はあったのでしょうか?

ニューヨークやシカゴなどで実施された
この施策結果について研究者は、
効果はまちまちであったと述べています。

Aの成績を取った者に対して報酬を与えても、
その成績に届かない学生の方が多く、
学校全体の成績が上がったとは、
決して言えないような結果に終わりました。

子供に報酬を支払うという
倫理観が問われる施策に対し、
当時の世論からは、
激しいバッシングもあったようです。

それでも、
学生への報酬が功を奏した学校も存在しました。
その学校は、
好成績者に対して報酬を支払ったのではなく、
「読書した量」に比例して報酬を与えました。

本を一冊読んで、
ちゃんと内容のあった感想も書けるようであれば何ドル。
といった具合です。

読解力が向上して、
学校全体の成績も向上したと言いますが、
生徒の
『内発的動機付け』
がなくなってしまうのではないか?
との懸念が残ったそうです。
報酬はいつまでも払い続けられるものではないので、
報酬をもらえなくなった途端に、
学生は読書をやめてしまうのではないか?
との懸念は、徐々に現出を始めているようです。

総じて、
学校の成績を上げるのに、
報酬を支払うという国の施策は
成功と呼ぶにはほど遠いようです。

報酬に何億ドルも支払うなら、
そのお金で、
教育システム自体を見直し、向上させた方が、
よほど効果がありそうです。

お金ではモチベーションが上がらないのか。
となりそうな結果でしたが、
こと「悪習慣を断つ」という試みでは、
報酬は効果があるようです。

例えば、
ドラッグや飲酒、タバコ依存症の克服
に対して「報酬」は、
モチベーションを高めるのに役立つとの研究結果があります。
ただしこれにも注意点はあります。

海外には、実際に採用されている
『ドラッグを絶った日数により、
報酬を受け取れる』
という治療法があるそうです。

効果は確かにあるようで、
本書ではこの治療法を体験し、
ドラッグ依存症を克服した成功者も登場します。

方法はシンプルで、
ドラッグを飲まなかった日数に応じて、
お金が支給され、溜まっていくお金は
クリニックが代わりに貯金していきます。

この場合、着目すべきは、
報酬の金額が
『微々たる金額』であることです。

受け取れる報酬はほんの数ポンドで、
大の大人が受け取って喜ぶ様な金額ではありません。

このたかだか数ドルの報酬がなぜ
禁酒に功を奏したのでしょうか?

これは、挑戦者が、
支払われたお金が少量であっても、
『公に勝利した証』を獲得した。
と捉えるからです。

ただ成り行きで得た報酬ではなく、
達成と引き換えに手に入れるものには、
人は目がない様です。

人が何より価値を置くのは、
苦労して獲得したり、
頑張りに頑張って手に入れたお金だと
著者はいいます。

ドラッグ依存症患者へ報酬を払うというシステムに、
異議を唱える人もいますが、
こと何か悪習慣を断つ場合には、
お金の報酬は功を奏するようです。

反対に、
子供にお絵かきをさせたい場合は
報酬を渡すと、
子供にとって楽しみであったお絵かきは
お金をもらえる作業に変わってしまい、
内発的モチベーションを損なわせる可能性があります。
ご注意です。

お金はいくらあれば足りるのか?

30年前、
まだガラケーも普及していなかったあの頃、
ポケットサイズの多機能型コンピュータ
を持ち歩けるのは
金持ちの人だけだったでしょう。

それに対して、
現代ではスマホは当たり前となりました。

社会的な背景や個人の考えごとに
お金の価値観は様々です。

必要な物を買うのにお金は必要である。
という主張に異論を唱える人はいません。
しかし、
必要な物ってなんだ?
との論争において一つの答えを導き出すのは
難しいとされています。

社会全体でも個人でも
その性格次第でお金の必要性は
変わってきます。

・誠実性の高い人は貯金が多い。
・高学歴な人はお金に無頓着な人が多い。
など、
性格とお金の管理術については
結びつきが強いです。

誠実な人が仕事にも真面目で
お金の管理にもまめなことは想像しやすく、
高学歴な人は、個人の能力が高いので、
お金はまた稼げばいい。
と考えることができることから、
結果お金に無頓着になるのでしょう。

これらに限らず、
性格によって必要なお金は
だいぶ変わってくるようです。

それでは、
性格や世代ごとの考え方には
ある程度差がある事を踏まえて、
お金で人は幸せになれるのか?

結論は、
寂しい時にお金に頼っても穴は埋まらない。
些細な幸福に目を向けよう。
ということでした。


私がこの本を手に取った大きな理由に、
お金で人は幸福になれるか?
という最大の疑問を解消する目的がありました。
結果はご覧の通りです。

お金があっても幸福度はあまり上がらない。
という調査結果に目を疑いましたが、
実際に行われた幸福度調査において、
10段間のスケールを使用し、
実際にお金持ちの人と、
貧困層の人を調査すると、
幸福度にそこまでの差はなかったそうです。

私たちは、
お金と幸福の連動性を
大きく見積り過ぎているのでしょうか。

お金があっても幸福になれないなら、
稼ぐための努力はやめるが勝ちなのでしょうか?

反して、
1970年からの約30年間で、
「非常い裕福になること」は
「極めて重要だ」と答える学生の数は
約2倍の74%に増加したと言います。

お金があってもそれだけでは
幸福になれないのに人はお金を欲しがる。
という矛盾に対して、
私が特に着目したのは、
「手段的物質主義」と「最終物質主義」
という考え方です。

物質主義と聞くと、
よくない印象を持つ人も多いかと思います。

金や物以外の物に価値を見出さないという
物的な裕福至上の物質主義は、
確かに幸福になれるとは思えません。

ここでミハイ・チクセントミハイ
という心理学者の概念が紹介されています。

ミハイ先生言わく、
物質主義には2種類あります。

幸福になるための手段として
お金を使う「手段的物質主義」
最終的にお金が目的となっている
「最終物質主義」です。

お察しの通り、
「最終物質主義」の人は
幸福には縁遠い場所にいるようです。

幸せになるために物を買う。
という考え方では
人はむしろ不幸になることが多いです。

お金を使って幸福感を満たそうとすると
帰って寂しさが増してしまう。
という結果も紹介されています。

思考実験のアンケートによると、
生活の中に贅沢を見出せる人
実用的でないものを楽しいめる人は、
物質主義すらも楽しめてしまえるようですが、
大抵の場合、
寂しさの穴を埋めるように
お金を使って物を買っても、
結果、幸せになることはない。
些細な贅沢を楽しみましょう。
がファイナルアンサーのようです。

とはいえ貧困は避けるべき

他の人と良き関係を築きたいなら
貧困であることは避けるべきです。

貧困であることはそれだけで、
人から嫌悪感を抱かれてしまうからです。

他にも
IQが9〜10下がる
徹夜効果の80%に相当する
など、貧困というだけで苦難であるのに、
様々なデメリットを派生で引き起こします。

さらにさらに、
最近の世論では、
ホームレスなどの貧困者に対し、
憐れみを抱くというよりは、
「それは自分のせいだ」
との判断を下す人が日々増えていると言います。
反対に、
貧困を社会や国のせいにする人は、
日々減少傾向であるとの
調査結果が記載されていました。

「公正世界信念」
という考え方も述べられており、
これは、
世界は全体的に見れば公正であり、
人間は概ね、
自分の行動に見合った物を手に入れる。
という考え方です。

要するに、現代においては、
『金がないのはその人のせいだ。
私とは一緒にしないでくれ。』
との意見が、
大多数を占めていらと言う事になります。

なんとも世知辛い調査結果ですが、
小さな子供であっても、
貧困に対して嫌悪感を抱くとなると、
あながち否定はできません。

逆に、
努力して貧困層を抜け出し、
中流階級を保てれば、
上記のデメリットは反対に味方してくれる。
という事でもあります。

ここで注意すべきは、
『金持ち』に対しても、
人は嫌悪感を抱きがち。
という事です。
貧困層にも金持ちにも嫌悪感を抱くとは、
私たち人間とは、
なんとも勝手な生き物の様です。

何事もほどほどが良い。
と軽はずみに結果は出せませんが、
あくまでも科学的な調査結果として、
客観的な理解はしておく必要がありそうです。

おわりに:

お金にまつわるエトセトラ。
ということでアウトプットしてみました。

意外にも
お金でとびきり幸福になろうと思っても
難しいことが分かりました。
幸福度で言えば、お金持ちと中流階級に
それほどの差は無いと知ると、
どことなく安心感の様なものも芽生えました。

お金で幸せは買えないが、
不幸は減らせる。
と、こんなところでしょうか。

過度な期待は何に対してでも
良くない結果を生むとも言います。

「程よく」を意識して、
コツコツの努力は続けていく。
面倒くさい事の中でお金で解決できる事は、
思い切ってお金を使っても後悔は少なそうです。

大樋町

管理人
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大樋町

初めまして。
大樋町と申します。
「おおひまち」と読みます。
北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
良い本は心の友。
私の友人たち(愛読書)から学んだことをアウトプットする場としてブログを書いております。
毎週、月曜日にブログを更新中。(少ないw)
ありがたい事に、
読者様が増えてきたから身を引き締めねばw
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