はじめに:
筋肉量を増やしたいなら筋肉を鍛えます。
では、
頭脳を鍛えたいなら何をすれば良いのでしょうか。
脳トレゲーム?
クロスワードパズル?
これらはありがちな間違い。
正しい答えは「運動」です。
※ 脳トレゲームを続ければ、
ゲームスコアは伸びていきますが、
記憶力自体が向上したり、
頭の回転が早くなるわけではない。
との研究結果があります。
今回ご紹介の本の最大のテーマは、
題名のとおり「運動」が脳にとって、
とってもメリットが大きいというもの。
著者アンデス・ハンセンさんは、
前書「スマート脳」において、
スマートフォンの危険性を唱えると同時に、
運動の有効性も訴えていました。
本書は、
その運動の有効性について特化した内容です。
著者の地元スウェーデンでは
67万部超えの超大作です。
(日本でも10万部超え!)
運動はどう脳にいいのか?
どんな運動が脳に良いのか?
学んだことをアウトプットします。
学んだこと:
運動はストレスに効く
運動は生理的な作用で、
ストレスを緩和させてくれます。
運動後の爽やかな気分もさることながら、
脳内で起こるホルモンバランスの調整により、
人はストレスを解消し、
ストレス自体にも強くなっていきます。
運動を
ストレス解消やストレス耐性強化
に利用する場合、
気まぐれに一度で終わってしまう運動より、
「習慣的、継続的に運動をするのが良し」
と説明されています。
著者おすすめの継続期間は
大体6週間ほど。
徐々に効果を実感できるようです。
仕組みを説明すると、
ストレスホルモンを作りだす「扁桃体」に対し、
ストレスホルモンのブレーキ役を担う「海馬」。
運動は特にこの海馬に良く働きかけます。
運動は海馬を大きくしてくれるので、
ストレスに対してブレーキがかかりやすくなり、
ストレス耐性が付くという原理が一つ。
さらに説明は続きます。
ストレスは、
進化の過程において無くてはならないものでした。
突然サーベルタイガーが目の前に現れた時、
マインドフルに対応していたのでは、
あっという間に相手の餌食です。
瞬時に、
逃げるか戦うかの判断をしなくてはなりません。
そこで必要なのがストレスホルモンです。
ストレスホルモンは、
血流を早くし、
筋肉を緊張させ、
一つの対象(敵)に意識を集中させます。
これを「闘争逃走反応」と呼びます。
ストレスとは、
生理的な現象だけをみると、
マイナスなイメージがありますが、
その実、
危険から身を守るためのセーフティーシステム
でもあるのです。
しかし、
現代では、町を出歩いても、
サーベルタイガーに襲われることはありません。
運動をしても、
残るのは爽快な気分であることが多く、
運動を繰りかえすと、
この事を脳に教え込むことになります。
運動を続けることは、脳に対して、
「血流が早くなっても危険というわけではないよ」
と教えてあげることになるのです。
結果、
大勢の前でのプレゼンや、
嫌な上司との飲み会など、
何らかのストレスにより、
身体が緊張したり、血流が早くなっても、
それが必ずしも悪影響ではない。
と脳が判断し、「闘争・逃走」反応が起こらない。
過度に緊張しすぎたり、
上司に食いついたりすることはなくなります。
運動により
ストレスに強い脳
がもたらされるのです。
運動は記憶に効く
単語を暗記できる数は体力に比例する。
嘘のような本当の話です。
なぜ運動が記憶力を向上させるのか?
運動が記憶力を上げる。
この研究を始めた当初、
研究者はある仮説を立てました。
「運動が影響をおよぼす以上、
その影響を最大に受けるのは、
運動神経につながった場所、即ち、
脊髄に繋がる小脳や大脳皮質ではないか」と。
結果はどうか。
仮説に反し、
運動により影響を最大に受けたのは、
記憶を司る「海馬」だったと判明しました。
海馬とは、
海(シー)馬(ホース)、
いわゆる
「タツノオトシゴ」
に形が似ているからそう呼ばれ、
脳の両側たんに一つずつ、計2個存在し、
記憶・感情処理・空間認知力などを司ります。
本書の実験では、
一年間、持久力系の運動をしたグループ
と、その比較対象グループで、
海馬にどのような影響があったかを調査しました。
一年後、
運動なしグループの海馬は
1.4%減少
していました。
対して運動グループは
2%増加
していました。
運動は海馬の脳細胞を減少させるどころか、
増加させていたのです。
1900年代、科学者は、
脳細胞の数は20歳前後で最盛期を迎え、
その後は減少する。一切増えることはない。
という見解で一致していたといいます。
しかし、これははっきりと覆ってしまいました。
今、現在考えてみると、
傷口は塞がるし、
毛髪や血液でさえ新しく入れ替わるのに、
脳細胞だけは「増えない」との説明に、
素人ながらにクエスチョンマークですが、
当時は、
1000億個の細胞からなる脳では、
新しく細胞が増加しても、
緻密すぎて組み込まれることはないだろう。
と解釈されていたのです。
例えるなら
パソコンをバラバラに分解し、
適当にプラグを基盤に差し込んでも、
パソコンは起動しないだろう。
という理屈です。
しかし、
この見解は1990年代に覆りました。
カリフォルニアの研究者が、
ケージで良く走るマウスの脳細胞が
一般的なマウスの脳より大きいことを発見したのです。
回し車で走るのが好きなマウスは、
他と比較して、
実に15%も脳が大きかったのです。
では人間の脳ではどうなのだろうか?
もちろん答えは、
運動で脳は大きくなる
です。
人間の脳も、
運動を通して大きくすることができるのです。
身体を活発に動かせば、
脳細胞の新生は2倍にまで高まる。
というから驚きの一言です。
有酸素運動は記憶そのものに効き、
筋力トレーニングは、
顔と名前を一致させるような時に必要な記憶を
向上させるそうです。
ただし、
疲れ切ってしまうほど強度が高い運動
では、記憶力は上昇しないようです。
トライアスロンなど、
何時間も身体を動かし、
終わる頃にはヘトヘトになってしまう運動だと
効果はないのでご注意ください。
運動は脳の健康に効く
身体の一部である以上、
もちろん脳にも
健康や老化
という概念があります。
健康な脳は、
そうでない脳、すなわち、
ストレス等に晒され萎縮している脳に比べ、
記憶や認知能力が優れており、
夜に老廃物を流し出すなど、
潜在意識下の機能もよく働きます。
脳の健康に多大な貢献をするのは?
ここでも登場するのはやはり「運動」です。
ここで一つ実験を紹介します。
ストループテストと呼ばれるテストは、
色の名前が、それとは違う色で表示され、
実際の色の方で回答をしていくテストです。
青色で「赤」と表示された場合、
「青」と答えれば正解です。
このテスト中、
脳の中では前頭前皮質が
活発に使われます。
集中や意思決定を司る部位です。
面白いのは、
若者がこのテストを受けた場合、
活発に使われるのは
前頭前皮質の左側「だけ」なのに対し、
70歳代の高齢者が受けた場合は、
左右の前頭前皮質が使われていた。
という点です。
屈強な若者が
片手で椅子を持ち上げられるのに対し、
老人は両手を使う必要があるのと似ています。
高齢者は、「頭を使う」際、
若者と比べ、
より多くの場所と機能を使う必要があります。
この現象を科学では
HAROLD現象
(高齢者における大脳半球の非対称性減少)
と呼びます。
さらに、
運動習慣を持つ高齢者は
このハロルド現象は起きない。
ことが判明したのです。
正解率でも、
運動をしている高齢者に軍配が上がりました。
加齢による脳の萎縮は、
カロリーの消費量に相関する。
ことが分かっています。
よく動き、
カロリーをちゃんと消費している人は、
脳を若く保つことができるのです。
1日20分の散歩の効果は
脳の老化にも多大な影響を及ぼします。
ただし、
年を取ってしまってから、
慌てて運動を始めても「時遅し」です。
運動する高齢者は、
運動をしない高齢者より、
「3歳近く」脳が若い。
との調査結果があるものの、
これらは、
若い時期からの運動習慣
によりもたらされたもの。
やなり一朝一夕では
脳は若返らないようです。
毎日、もしくは週に5回
一日20分の散歩。
今から習慣づけておけば、
そこから得られる恩恵は
計り知れないものとなるでしょう。
終わりに:
もうこれでもか!と言わんばかり。
運動への薦めが盛りだくさんの本書。
しかも6分程度の散歩でも効果があるとのこと。
どんな運動をするかではなく、
とにかく身体を動かすこと!
一日6分程度の運動ですらも足りていない。
と著者は警鐘を鳴らしているのかもしれません。
裏を返して、著書の言う通りにすれば、
今まで運動不足だった人は、
数分の散歩を始めるだけで、
驚くほどのメリット
を受け取ることができます。
試しにやって見る価値はとても大きいです。
何事も、
長く続けることは大事です。
大きな変化より、
小さな変化を長く続けること。
これが私達をとんでもない所に
連れて行ってくれる黄金率。
著者は言います。
さぁ、本を閉じて!外に出かけよう!
さっそく私も散歩に行ってきます。
続けられる程度に。6分ほど。
大樋町
読書もいいけど、「聞く」のもおつなもの👇👇👇
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