第231回:insight(インサイト)から学ぶ

読んだ本

はじめに:

インサイトとは、
自己認識
を意味する言葉です。

「正しく」自分を知ること
を通じて、
自分の仕事や人生を劇的に変える。
それが本書のゴールです。
そしてそのために必要なのが
正しい自己認識
です。

と言うのも、
自分のことは自分がよく分かっている
と誤解している人があまりに多いと
著者は指摘しています。

本記事を書いている私も含め
人は自分のことをよく理解している
と錯覚した状態で毎日を過ごし、
そして誰かを困らせ、
そのせいでまた
自分も打ちひしがれていきます。

ダニングクルーガーバイアスを
ご存知でしょうか?
人間は自分が平均以上である
と思い込むことを証明した
有名なバイアスです。

「あなたの運転技術は
平均よりも上ですか下ですか?」

この質問には、実に
90%以上の人が
自分の運転技術は平均以上である
と回答しました。

インサイトをまだ得ていない人たち
を見つけるのは驚くほど簡単です。
まるで人望がないのに
自分をそう思っている上司、
エース気取りの万年平社員、
憧れの女性の頂点に立っていると
勘違いしている御局様などなど
自分で自分に気づかず、
周りに不快感を与えている人は
どれだけでも見つけることができますが
果たして
自分自身
はどうなのでしょうか。

インサイトを得るには
自分の内側にも
外側にも目を向ける必要があります。
これを各々、
 ・内的自己認識
 ・外的自己認識
と呼びます。

インサイトの言葉通り、
自己認識を知りたい場合、
自分の「中」だけに着目していては
インサイトを得ることはできません。

大事なのは、
他人からの意見
も大事な自分を知るための要素である
ということです。

さらに、
内的と外的な認識が必要で且つ、
そのバランスもまた重要です。
自分の意見だけを重視すると
独りよがりなインサイトを得るのみだし、
他人の意見を聞きすぎると
これもまた周りの価値観に合わせただけの
ブレたインサイトになってしまいます。

バランスの取れたインサイト
真の自分を認識するためには
どんな方法があるのか?
学んだことをアウトプットします。

学んだこと:

南京錠のかかったドアを無理矢理こじ開けては行けない

自己認識を深めたいと聞いた時、
皆がまっさきに思いつくであろう方法が
実は間違っていますよ。
と言う所から話を始めたいです。

その間違った方法とは、
自分の内面をじっくりと見つめ直し、
唯一無二の「価値観」を見つけるため、
思考の旅にでかける。
と言う方法です。
より良いインサイトを得るためには
この方法はよろしくありません。
むしろ害悪となる恐れさえあります。

インサイトの文字通り、
自己認識を得るためなのに、
自分の内面を見つめることが
NG行為だなんて納得いかない!
との意見も聞こえてきそうです。

本書では、この事実を
「南京錠のかかったドアを
無理矢理こじ開けてはいけない」
などと表現されています。
今ある知識や情報で、
唯一無二の価値観を探る
と言う行為は、
自分の可能性を制限してしまう
と言う結果につながるからです。

言われてみればそれもそのはず。
これから先の未来、
人生が覆ってしまうイベントや人
に出会うかもしれませんから、
価値観を決めてかかって、
それらのイベントから立ち去ってしまう様では
インサイトは得られないのです。

例えば、
私にとって自由が唯一無二の価値観だ
と決めてかかってしまい、
誰かと何かの作業をする機会を
極端に避けてしまえば、
そこから生まれたかも知れない、
誰かと共に何かを作り出す事に
喜びを感じる価値観と出会う可能性を
自ら消してしまうのです。

これから先の人生において
価値観が変わるほどの趣味や人、機会
を自ら断ち切ってはいけません。
インサイトを得るためには、
自分の「中」に潜るのではなく、
自分の「外」にこそ求めているものがある
と認識しておくのが良いでしょう。

・私はこの人といるとこんな感情を生むのか。
・この出来事を通じこんな思考を得た。

などなど、
今目の前で起こっている事を通じて
自分のインサイトを発見してみましょう。
自分の価値観を決めつける事なく
柔軟に物事に絡んでいくことが肝要でしょう。

自分を見つめる際にポイントなるのは
マインドフルネス
と呼ばれる概念です。

スマホなどに
集中力を持っていかれる状況は避けて、
今、目の前で繰り広げられている物事に
目を向け、そこに集中し、
シングルタスクで望む。

気が散った状態では、
物事をちゃんと進める事もできなければ
インサイトを得る事もできないので注意です。

ソリューション・マイニング

自身のインサイトを得たとろこで
そこで終わってはいけません。

本書のゴールは、
自己認識力を高めるだけに
とどまりません。
新しく発見したしたインサイトを基に、
それを行動するかどうかが、
その後の成功か停滞かを分けます。

そして、本書では、
行動に繋げるまでの方法
がもちろん紹介されています。
それが章題にある
ソリューション・マイニング
という方法です。

私が過去にアウトプットした、
チップアンドダンハースという
面白い本しか書かないと謳われる
兄弟心理学者の著書「スイッチ」
という本にも出てくるテクニックに
ミラクル・クエスチョン(奇跡の質問)
というものがありますので
既にご存じの方もいるかも知れませんが、
ソリューション・マイニングも
奇跡の質問と通じるものがあります。
やり方はシンプルながら、
効果は絶大です。

難題にぶつかった時、
その解決策を見つけることが一番の近道ですが、
会社の上司に
「問題ではなく、解決策を持ってこい!」
と叱られる人が後を絶たない様に、
解決策ではなく、
どうして問題が起こったのか?
誰のせいでそうなったのか?
等に多くの時間を使い、
その後、解決策に目が行くのが
ほんの少しの時間であったり、
後々になってからになりがちです。

なぜこんな事が起こるのか?
本書には無い知識ですが、
人間には
重要な事より、
緊急性のある事を優先する
という本能がある。
という事からも説明がつきます。

重要なことは、
それが重要な事であるだけに、
解決策が分からず、
何かを手探りで始めても、
それが正解かどうかは
結果が出るまで分からない上に
成果もほとんど上がりません。
食指が伸びないのは当たり前です。

対して、
緊急性のある事は、
解決するまでの道のりも短く、
すぐに成果が上がるし、
何かをしてそれを解決できれば
人は満足感を得ることが
一応はできてしまいます。

何かの失敗が起きた時、
その失敗がもう起きないよう、
解決策を考え出すより、
誰がどんな失敗をしたのかを探し、
その者を咎めて罰を与えた方が
よほど手っ取り早く、
しかも大きな成果を手にしやすいのです。

この様に、
面倒な事はとにかく苦手な人間の脳は、
知らずに放っておくと、
どんどん楽をしようと企みます。
※サバンナ時代はそれで良かったのですが
なので、意識的に面倒くさい事に
無理矢理にでも目を向ける必要があります。

それに最適なメソッドに
ミラクルクエスチョンメソッド
です。

今日の夜、ベッドに入ったら、
自分に奇跡が起こった
と想像してみてください。
問題は完全に解決され、
あなたは無限にすることができます。
人生はどの様に変わっていきましたか?
それを詳細に語ってみましょう。
完璧なあなたの生活に対し、
今のあなたに欠けているものは?
まずは何に気づくでしょうか。

ミラクルクエスチョンは、
どこかスピリチュアルな感じがしますが
うまく行っている自分から
逆算して欠けているものを見つける
科学的なメソッドです。
今の自分に嘆くのを終えたら、
キラキラ輝く人生から逆算して
足りないものを探しにいきましょう。

マム効果とその対策

インサイトは、
自分の内部に働きかけるだけでは
十分とは言えません。
マインドフルネスにより
自分での気づきに集中し、
自分を知っていく方法と
それを行動に移す方法は
前章で紹介しました。

次に必要なのは、
外的自己認識
と呼ばれる、
「周りからどう見られているか?」
を知るテクニックです。

人は、自分で自分を分かった気でいますが、
自分こそが自分を理解していない
ということは前述しました。

ではなぜそんな事が起こるのか。
そこには
「マム効果」
と呼ばれるものが関係しています。
マム効果は、
「望ましくないメッセージについて沈黙を保つ」
という言葉の頭文字をつなげた単語で、
人は、
それが相手に取って必要であろう情報
であっても、その情報が、
相手に不快感をもたらしたりする場合
はその情報を相手に与えない選択を取る
という事が分かっています。

例えば、
上司がただならぬ剣幕で
同僚を探していたとします。
同僚が何か失敗をやらかした事は明白で、
その時はたまたまオフィスでは同僚は不在、
あなたしか居ませんでした。
上司はあなたしか居ないことを認めると
部屋を出ましたが、
入れ違いに戻ってきたその同僚は
もちろん上司が怒っている事は知りません。
この時、
あなたは同僚に、
上司が「あなたを探していたしか」
伝えないでしょう。

このエピソードは心理実験でしたが、
80%以上の人間が
上司があなたを探していた
とは伝えることができても、
上司が怒って叱りつけるために
とは言いませんでした。

自分の身に置き換えても、
マム効果は様々なところで
自己体験していた事を思い出せます。
絵を描くにせよ、
歌を歌うにせよ、
リーダーシップを発揮するにせよ、
仕事の質にせよ、
ある一部の人間には好評なのに、
またある一部の人間には
全く評価されない。
そんな事は決して少なくありません。

ではなぜ人は、
相手にとってマイナスになる事には
沈黙を保ってしまうのでしょうか。
そもそもマム効果なるものが存在するのか?

答えは「生き延びる本能がそうさせるから」
というものです。
人間はかつてサバンナにて
群れで生活する猿のような生き物でした。

群れから追放を受けることはイコール、
サバンナで息絶えることを意味し、
最も恐れ、避けなければいけない事でした。
仲間にマイナス要素を与えれば、
それが話して正しい事であったとしても
聞いた人は良い感情を抱きません。
それどころか、
真実を知って、
感じたことのないストレスにより
今までの生活に戻るのも一苦労だった。
だという人もいます。
人はそもそも
フィードバックを受けること自体
苦手な生き物なのです。

要するに、
自分が群れの仲間から嫌われ、
追放されてしまうことを避けるため、
自分にマイナス感情を抱く羽目になる
マイナス情報は仲間には伝えない。
というのがマム効果の正体です。

ではどうすれば良いのか?
外的自己認識を得るために、
私たちは何をすればいいのか?

まずは、
フィードバックは
積極的に自分から取りに行かないと
黙っていても誰も教えてはくれない。
という事実を知る事です。

待っていても誰も教えてくれないなら
解決法はむしろ簡単で、
「自分から聞く」
を実践すれば良いだけです。

しかしながら、
外的自己認識に繋がる
フィードバックを受けるためには
聞く方法というものがあります。

方法を間違えると、
あなたの事をただ
傷つけるためだけの価値のない言葉
に傷つくことになります。

必要な事は
・相手を選ぶ
・より具体的に質問する
・挫けないために最悪を想定して
 自分で免疫を作ってから聞く
の3点は重要です。

私の場合、特にやりがちだったのは
「私ってどう思う?」
と漠然と質問してしまうことでした。
これでは相手は混乱し、
的を得ない回答が返ってくるだけです。
ちゃんと
「この前部下が指示を聞いてくれなくて。
次はどんな言い方だといいかな。
私はそもそも指示を出す側が向いているかな」
などと具体的に聞いてみる方が
効果ははるかに高いでしょう。

相手の言葉に免疫を作っておく
という概念もとても参考になりました。
前述のとおり、
誰かに意見を言ってもらう事は
高いストレスを伴う事が多いです。
最悪を想定しておけば、
挫けた後の立ち直りを早いです。

フィードバックは外的自己認識を知る上で
欠かせないものです。
恐れずに挑戦したいものです。

おわりに:

自己認識力を高めて、
インサイトを得ると
一体どんなメリットがあるのか?

インサイトとは、
人生をどう生きるかの羅針盤
となるものです。

人生という名の海に船出し
しかし地図も羅針盤もないのなら
そこには成功は訪れにくことでしょう。
海で迷子(失敗)になるのは簡単そうです。

目標や指針を持っている人は
どこか輝いて見えます。
適切なインサイトを得られるなら
その輝きはもっと大きくなります。

自分探しは思春期にすれば十分だなんて
勘違いをすると、
憂き目に遭うのは自分です。

自分を知って、
良き人生が送れることを願い
本書を強くおすすめします。

大樋町

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大樋町

初めまして。
大樋町と申します。
「おおひまち」と読みます。
北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
良い本は心の友。
私の友人たち(愛読書)から学んだことをアウトプットする場としてブログを書いております。
毎週、月曜日にブログを更新中。(少ないw)
ありがたい事に、
読者様が増えてきたから身を引き締めねばw
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