第72回【書評】脳を鍛えるには運動しかない!を読んで【運動の真の力を知りたくはないか?】【今すぐウォーキングを始めるべきこれだけの理由】

読んだ本

はじめに

「頭をもっと良くしたい」
「うつうつした毎日にさよならしたい」
「漠然とした未来への不安をなんとかしたい」
「集中力・注意力をアップさせて、
仕事でもっと成果を出したい」

その願い、
あることを習慣にすれば
全て叶うとしたらどうでしょう?
やらない手はありません。

題名のとおり、
答えはズバリ
「運動」
です。

運動の真のメリット
心肺機能が向上して体力がつく
筋力がついて体格が良くなる
特定のスポーツに打ち込めば、
そのスポーツの技術が向上する
などでは「ありません。」

これらのメリットは
あくまで副次的なものだと
著者は言います。

では運動の真のメリットとは何か?

それは、
心臓から送られる血液が
より循環することにより、
「脳にとって好ましい環境」
を意図的に整えることができること
です。

すなわち
認知能力がアップし、
うつ病を緩和し、
人から不安を取り除き
ホルモンバランスを整え
更には
老化にまで効果があります。

今すぐにでも
ランニングシューズに履き替えて
部屋を飛び出したくなる。
そんな気持ちにさせてくれた本書。

学んだことをアウトプットしていきます。

学んだこと

勉強に効く:


運動をすると、
セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミン
などが脳内で放出されて、
感情や気分に作用する。
運動後の爽やかな気分を味わった人は多く、
これは比較的よく知られていることです。

運動の効果にはその先があります。

重大なストレスが何十億ものニューロンの結合を蝕む。
うつ状態が長く続くと脳が萎縮してしまう。
しかし
運動をすれば、
神経科学物質や成長因子が
大量に分泌されることにより、
上記の負のプロセスを逆行させて、
脳の基礎構造を物理的に
強くすることができます。

人間はそもそも動く生き物。

本書で出てきた興味深い所に、
人間は元は動物であり、
「基本、動いて生きていく」
が前提の身体の構造をしている
というものがありました。

キーワードは
狩猟採集社会時代の生き方
です。

狩りや採集のために
何キロも歩いたり走ったりした末
やっとカロリーにありつける。
そんな生活上において、
やっと手に入れた食料のありか
必ず覚えて置かなければならない
必須事項でした。

逆に言えば、
食傷が手に入らない状況下、
一歩も動かず、
食料を求めていない状況
すなわち、
「運動していない」状況下
においては、人の脳は
「今は学習する必要は全くない。」
と判断することになります。

人は落ち着いた状況よりも
動いた後の方が、
記憶力を高めることができるのです。

ここで述べられているのは
海馬の記憶力の話でしたが、
勘違いしてはいけないのは、
記憶力が向上しても
「記憶する」という作業をしなければ
脳の細胞は再び減少してしまう。
ということです。

分かりやすい例として、
体育の授業に着目し、
授業前に運動を取り入れた学校の
劇的な成績アップのストーリー
掲載されていますが、
この学生達は、
運動の後に授業を受けたからこそ
成績がアップしたわけで、
ただ運動をするだけで、
何か覚えるための学習をしなければ
当たり前ですが、
頭が良くなることはないでしょう。

どんな運動がいいのか?
認識力の向上には
最大心拍数(220から年齢を引いた数値)の60から70%
を保って約35分の有酸素運動をする。

頭のキレを保つには
有酸素運動とバランス感覚を養う運動のセット
が好ましい。
例えば
10分ランニングした後にロッククライミンする。
テニスや卓球など相手の動きが予測しにくいスポーツをする。
など。

ストレスに効く:


「ストレス」
という言葉を聞いただけでも
嫌悪感を示していたわたくし管理人ですが、
ストレスが進化の過程でオミットされず
現代にまでちゃんと残っていることには
それなりの理由と、
ストレスにもメリットがあること
を示しています。

マウス実験によると
ストレスを発生しなくなるよう
脳の手術を受けたマウス
無気力になってしまい、
食事すらしなくなって
死亡してしまうそうです。

ストレスからは
遠ざかりたいとは思いますが、
ストレスがあるからこそ
締め切りまでに仕事を終わらせる
汚れた部屋を掃除する
毎日の献立を考える
ことなどができるのかもしれません。

さらには、
脳のシナプスが回復する時間が
十分にある場合に限り、
ストレスは体に悪いどころか
脳を強化してくれます。
筋トレのように、
ストレスによる
負荷をかけることにより
脳はどんどん強化されていきます。

米国ボルティモア原子力船造船場において
微弱な放射線
慢性的に浴びていた労働者は、
放射線を全く浴びていない労働者より
健康的であった。
という驚くべき調査結果もあります。
放射線は細胞を壊すストレスではあるものの
それが微弱で、
シナプスが回復する時間があったため
人間の細胞はより
健康的に強化されたというわけです。

旧石器時代において
人にとって
ストレス反応とは
もっと重要な意味を持っていました。
捕食者サーベルタイガーと
出くわした場合、
逃げるか戦うかを
瞬時に脳が判断するため、
すなわち
「逃走・闘争反応」のために
ストレスホルモンは
なくてはならないものでした。

身体の構造は数世紀では
進化できるはずもなく、
現代においても、
ストレス自体は発生します。
しかし、
その場から逃げるか戦うか
の二択で解決できることは現代においては
そうそうないのではないでしょうか?

ストレスが体に発生した場合、
何らかの形で発散させなければなりません。

ストレスは、
筋肉同様、適度な負荷で、
より強く柔軟になります。
当たり前ですが、
過度なストレスはNGです。

コントロールできるストレス
でないと、
ニューロンが何の資源も栄養も
持たないまま身体中を駆け巡り、
老化の底流とも言えるダメージを
脳に与えてしまいます。

ニューロンには
元々、回復•修復のメカニズム機能
が備わっており、
軽度のストレスで
そのスイッチが入ります。
運動の素晴らしさは、
『適度なストレスを与えて回復する』
というメカニズムを、
筋肉メカニズムだけではなく、
脳の回復メカニズムのスイッチについても
押すことができることです。

繰り返しになりますが、
運動は自発的に行う
コントロール可能な
ストレス行為であり
このコントロールが自分でできる
という感覚非常に大事です。
自分で自分を支配している。
という感覚が持てるからです。

慢性ストレスは
海馬を収縮させてしまいますが、
運動はこの慢性ストレスを逆転させて、
海馬を元に戻すことも可能だと言います。

運動は、
ストレスに対して
飲酒やギャンブルなどの興奮状態に
頼ることなく、
自分で自分を支配・コントロールして
解決することができます。

アメリカでは、
スポーツジムが併設されている会社
が徐々に増えているようです。
日本ではあまり見かけませんが、
それでも、
ジム優待の福利厚生があったり、
スポーツクラブへの入会を促す会社
などはあるようです。

旧石器時代に比べ
生活は比較にならないほど
豊かで便利になった現代人だが、
ストレスは逆に多くなってしまった。
これは進化のパラドックスに
全て帰着する。

祖先と比べて
ほとんど身体を動かさないことが
更にそれに拍車をかけているのだと
著者は説きます。

ストレスが多いのであればあるほど
運動がそれを助けてくれることを
私達は改めんて心に刻むべきだと思います。

不安に効く:


不安は
脅威に対する自然な反応
です。

仕事中の上司の呼びだし
200人の前でするスピーチ
これらに不安にならない人は
いないだろうし、
飛行機の乗っている際、
機体が一気に何百メートルも下降するような
あわやという場に出くわせば、
その後も、ほんのちょっと機体が
揺れる程度で、
普段なら何ともないような状況でも
先の経験に煽られ、
普段以上の恐怖感に襲われるのは
仕方のないことです。

身体が不安への反応を始めると、
心拍数が上昇したり、
呼吸が早くなったり、
発汗などの症状も出てきます。

これらが
自然な反応であることは
先に述べた通りですが、
普段の何も恐怖や心配事がない状況でも
不安に駆られるのは
不安障害
と呼ばれます。

アメリカでは実に全体の
18%の人がこの不安障害
持っているとのことです。

パニック障害や
社会不安障害なども
過度な不安が原因の障害で、
共通点は、
「説明のつかない不安に囚われてしまう」
ことです。

障害まではいかなくても、
将来への漠然とした不安
原因の分からない不安に急に
襲われることは、
私管理人も経験のあることです。
あんな気持ちに常にさらされてしまうとは、
不安障害はどれほど辛いものかと思います。

運動は果たして
不安にも効くのか?
となるところですが、
そこはご安心ください。

サザンミシシッピ大学による
学生を対象とした
調査実験によると、
ランニングマシンを使い、
最大心拍数の60〜90%の負荷
をかける運動をした学生は
不安を解消するだけでなく
不安を恐れなくなった
との結果が出ています。

原因が
不安であれ、運動であれ、
脈拍が速くなったり
息切れしたりと
身体の興奮状態を作り出します。
運動をとおし、
この興奮状態の原因が、
不安によるものだけではない。
との「気づき」を得ることが
不安解消につながります。

うつに効く:


イギリスでは医者は、
うつ治療の第一歩として
「運動」を処方するそうです。

アメリカではその傾向がなく、
アメリカやカナダでは、
うつは障害をもたらす
病気のトップであるとか。

アメリカ人の
17%がうつ症状を経験しており
17分に一人が自殺をし、
74%のうつ病患者は、
不安障害や認知症を併発するそうです。

絶望的な数値ではありますが、
ここでも運動
深刻なうつ症状から、軽いうつ症状まで
「その全てに効果がある」
と力強く述べられています。

うつ病への理解は、
1950年代に、突如として
「偶然」から深くなり始めた。
と著者は言います。

偶然に、結核の試験薬が
「異常に幸せな気分」にすることが分かり、
更に抗ヒスタミン剤に同じ効果があると判明すると、
そこから三環系抗うつ薬が誕生
うつ症状を「薬」で軽減できるようになると
そこから心の病であるうつ病を
生物学的に説明できるかもしれない
との画期的な概念が生まれたとか。

うつ病はその症状の多様性から
原因が分からない病気ではあるものの、
偶然に発見された抗うつ薬から
逆行分析がなされ、
治療と研究は紆余曲折を経て、
神経伝達物質を正常に戻すこと
を目指すようになったそうです。

運動には、
運動中の陶酔感や幸福感を生み出す、
「ランナーズハイ」という言葉の生みの親
「エンドルフィン」の放出を促すだけでなく、
ノルアドレナリンが急増することにより
うつ病のせいで失っていた
自尊心を取り戻すこともできます。
更に、ドーパミンによる、
幸福感、やる気と集中力のアップも見込める上、
セロトニンも影響をうけて、
ストレスの原因であるコルチゾールを
中和する働きまであります。

老化に効く:


身体に良いことは、脳にも良い。
今までこの事について、
色々とアウトプットしてきました。

著者は、
「脳の生物学的なつながり」
を学ぶにあたり、
最も重要な意味を持つのは、
老化について考える時である。
と述べています。

1970年代に「看護師の健康調査」と称される
看護師12万2千人を対象とし、
2年毎に健康状態を調査するという
大規模調査が実施されました。
1995年からは認知能力テストも実施されています。
70歳から81歳を対象にした
ハーバード大学による調査によると
運動量と認知能力には高い相関関係があり、
週に12時間のウォーキングか4時間のランニング
をしているグループは
老後に能力が衰える確率が20%低い。
というものでした。
この調査結果には
「何より素晴らしいこと」として述べられている部分があり、
最も運動をしていない看護師は
1週間に1時間足らずのウォーキング
でしかしなかったものの、
全く運動をしていなかった看護師に比べ
はるかに好成績を叩き出した
とのことでした。

この章では、
著者の母親のことが真っ先に書かれています。
80歳を過ぎても活発だった母親
やはり運動が大好きであったこと。
そして、
転んで股関節を骨折してしまったこと
をきっかけに、
まるで苦労して作られた海辺の砂山が、
一回の大波でさらわれるかの様に、
外出が億劫になり、会話が少なくなり、
最終的には認知症を患って亡くなってしまった。
と書かれています。

先のフレーズとは逆に
身体に悪いことは、脳にも悪い。
のです。

アメリカにおいて、
1900年代には47歳であった平均寿命は
今日では76歳にまで延びているものの、
平均寿命を超えて生存している高齢者
平均して3つの慢性疾病を抱えており、
平均して5種類の処方薬を飲まなくてはならず、
3分の2の人が肥満で、
5分の1の人は糖尿病だそうです。
統計によれば、
糖尿病の人が認知症を合併する確率は
62%です。

「いかに年をとるか?」
これも運動にかかってくると著者は述べています。

脳の衰えが顕著に現れるのは
前頭葉側頭葉だそうです。

前頭葉は認知機能を作用する器官です。
シャツのボタンを閉める
お茶を沸かす
扉に合った鍵を選び鍵をかける
日常の当たり前の行動に見えますが、
これらは
優れた前頭葉と
その認知機能があるからこそ
なせる高度テクニックです。
サルにこれらの芸を仕込もうとしても
うまくいかないことがそれを
物語っています。

側頭葉は長期記憶を手伝っている器官です。
アルツハイマーかどうかを調べるには
単語のリストを見せて
90分後に覚えているかを
調べる手法があるそうです。

運動をすると
勉強に効くのは上記で学んだとおり。
では認知症にまで効くのかと聞かれると、
「もちろん効果がある」
と本書では述べられています。
普段から運動を習慣化している人
認知機能が優れていることはもちろん、
運動をせずに高齢になった者でも
運動をすれば脳の細胞が増加するという
非常に嬉しい調査結果まであります。

おわりに:

本書の内容は、
運動は「体や頭」というより
人生に効く
というような内容でした。

勉強、不安、うつ、老化

記事には出てきませんが、
他にも
ホルモンバランスを整える。
依存症を克服する。
など、
運動は人生を豊かにするために大活躍です。

具体的に
これだけをやりなさい。
という書き方は割りに少なく、
しのごの言わずに
「とにかく運動を始めること」
これが著者の一番言いたいことである
と見て取れました。

私管理人も運動は大の苦手。
それでも
ステッパーでウォーキングは欠かさす毎日。
最近ではHIITも取り入れました。
気がふさぐ時ほど外に出てウォーキング。
それでどうにかなることが分かると、
何か嫌なことがあればとにかくまたウォーキング。
このまま正のスパイラルに入れればと
期待するばかりです。

著者が何百もの論文に基づきたどり着いた
(しかもここ10年の最新科学論文)
「運動は脳を鍛えるための
唯一にして最強の手段」
というフレーズは、
読者様の人生を変えてくれるフレーズ
であると確信します。

皆様も、運動で人生を
プラスに転化させてみませんか?

管理人
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大樋町

初めまして。
大樋町と申します。
「おおひまち」と読みます。
北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
良い本は心の友。
私の友人たち(愛読書)から学んだことをアウトプットする場としてブログを書いております。
毎週、月曜日にブログを更新中。(少ないw)
ありがたい事に、
読者様が増えてきたから身を引き締めねばw
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