第210回:ハイコンセンプトから学ぶ

読んだ本

はじめに:

農業社会、工業社会と続き、
さらに第三の波と呼ばれる、
「情報化社会」の次
にくると言われているのが
第四の波、
「コンセプチュアル社会」
です。

豊かな社会をもたらした「情報化社会」。
しかし、それだけに着目していたのででは
社会から取り残されてしまう
と著者は現代の働き手に警鐘を鳴らしています。

現代では、
弁護士や会計士の様な知識職ですら、
ロボットやAIにとって変わられる時代です。

途上国でできてしまうもの、
ロボットに取って代わられてしまうもの、
反復性のあるもの、
の3つを避けて、
新時代を生き抜くためには、
一体どんなことに着目して、
どんなことを学べばいいのでしょうか。

著者は、
右脳を使った発想力を用いて、
誰にも言えない意見を言い、
誰にも思いつかない突破力を見出し、
皆の意見を聞いて、
それらから自分の独創的意見に辿り着ける
ハイコンセプト(新しいこと)
を思いつける人の時代がくる。
と提言しています。

テクノロジーが進化し、
そのスピードも目まぐるしく、
その結果ビジネスマンは
脅威に晒される羽目になります。
もうなっているかもしれません。

本書はこれからの時代を生き抜く、
必須で基本的な知識を授けてくれる事でしょう。

学んだこと:

右脳主導思考が生むもの

右脳と左脳は、
その機能が完全に別れている。
との主張から発展し、
今では
補間し合っている
との考えに至っているとの事。

それでも、
左脳は分析的で論理的、
右脳は感情的で統合的に考える
などの働きに違いがあります。

本書では、
左脳を重視する考え方や思考を
左脳主導思考と呼び、
その反対の右脳を重視することを
右脳主導思考と呼んでいます。

今まで世の中で重視されてきたのは
圧倒的に「左脳主導思考」です。
分析的に、理論的に、数学的に、
物事を進めることができる人材、
医者や弁護士、会計士、エンジニア設計者
などが花形の職業であり、
シリコンバレーのソフトエンジニアなどにも
世間の目は集まりました。

しかし、
無情にも世代は進みます。
農業が世界の中心だった時代は今は遠く、
産業革命から始まった
工業中心の社会も今は教科書の中です。
インターネットの発展と共に誕生した情報社会は
社会に圧倒的な「豊かさ」をもたらしました。
その次に来るのはどんな時代なのか。

それが
「ハイコンセプト」
です。

より一層「右脳主導思考」が着目されています。
人に寄り添い、
共感し、
ユニークで、
デザイン性があり、
物語を語って人を惹きつける
などなど、
右脳を使って思考することで
社会に何かを提供する能力
が今必要とされています。

エンジニアよりクリエーター
左脳主導思考より、
右脳主導思考に光が当たる時代が来ている。
と著者は述べています。

現代のビジネスマンを追いやる3つの事

今の左脳主導思考では、
仕事にあぶれてしまう原因。
それは、
豊かさ、アジア、オートメーション
の3つです。

豊かさは素晴らしいものです。
しかし、豊かすぎる時代は
心の中で何かが足りない
という侘しさのようなものも生じさせました。

戦後の日本では、
「復興」
という日本人全体の目標を掲げ、
物は不足していたものの、
心や価値観や人生の目標
の様な物は満たされていたことでしょう。
どんどん豊かになっていく、
自分たちが日本を豊かに「していく」
との思いは、過酷な復興時代において、
心の充足感
をもたらしていた様にも見えます。

反面、
現代は豊かになりすぎました。
一昔前、
家と車を持つのが目標
であった時代もあったと言いますが、
今ではその二つを「持っていない人」
の方が少ないのではないでしょうか。

今日の、
供給過剰気味の市場において、
他との差別化を図るには、
安くて良い物、
マーケティングで導き出した花形商品
などでは不足です。
もっと右脳に働きかける
見た目に美しく、
消費者の「心」に響くような商品
の提供が求められています。

労働力のアジア進出も、
先進国ホワイトカラー陣に
多大な影響を与えています。

米国シリコンバレーにおいて、
半導体の設計者の月給は
約82万円
と高額ですが、
インドならその人件費を
約12万円
で抑えることができます。

航空エンジニア部門なら
約70万円の月給
をロシアで
10分の1の約7万円
に抑えることできす。

会計の世界ではどうか。
米国の会計士の月給は約60万円ですが、
フィリピンでなら
脅威の3万5000円位
に抑えることができてしまいます。

内容も今の技術や品質と
そこまで劣ることはない様です。

オートメーション化も
ビジネスマンから仕事を奪うこと
に関して多大な影響を落としています。
ロボットも去ることながら、
現代ではAIの技術が
革新的スピードで進化しており、
仕事を奪われる人が続出するというのです。

今の自分の仕事を判断する上で、
「機械でもできるような仕事か」
と再確認してみると良いでしょう。

近い将来、
テクノロジーの波に飲まれないよう、
今から準備することが肝要です。

これら3つの波に対抗できるために
「6つのセンス」が必要だ
著者は述べています。

次章でアウトプットします。

これから必要になる事

ここからが本書のハイライト。
今後必要になる。
もうすでに必要とされている
6つのセンスについて、
デザイン、物語、協調性、共感、遊び心、生きがい
の6つの内、
私が感銘を受けたことをアウトプットします。

機能よりもデザイン

まずは右脳主導思考の代表とも取れる
デザイン力
のお話です。

学生時代の「時間割」を思い出しても
デザイン力を学んだり、
求められる科目の美術や技術は
数学や科学や歴史の授業に比べて
だいぶ少なかった事を今も覚えています。

ある意味「軽視」されがちな
デザイン力は、
現代の社会において、
世界規模で大きく見直されています。

デザイン力を発揮し、
大成功を収めた企業を
いくつ思いつけるでしょうか。

私が真っ先に思いついたのは
アップル社のスティーブ・ジョブズ
です。

「ポケットの中に1000曲」
と謳われたスマートはセンテンスと、
そのスマートはデザインで世に登場した
iPodは、まさに一世を風靡しました。

豊かさが飽和状態の現代において、
世の中は物で溢れ、
人の娯楽はある種の境地の達し、
人はこれまで以上の何か?
を求めていても、
それが何かを言い当てらずにいます。

デザインは
「足りていないけど
何か分からない何か」
の一端を確実に担っています。

安くて良い物を作るだけでは
世の人は目を向けてくれません。
これからは「デザイン力」を鍛えなければ
大きな発展を得る事は難しいでしょう。

肝心なのは、
デザインの力は、
美術家や絵師など、
デザイン担当の人間だけが
必要な能力なのではない事を再確認し、
誰しもの必須事項だと腹に落とした上で、
どう鍛えていくか。だと思います。

著者ピンクマンが提案する事の一つに
街角の優れたデザインをメモする
というメソッドがあります。

何が気に入り、
どこが好きでなぜ好きなのか
を浮き彫りにし、
デザイン力を鋭敏に鍛えていきましょう。

逆のアプローチも有効です。
これは嫌いだな
と思えるデザインに対し、
そのデザインのどこが
どの様に嫌いなのか
を説明できるようセンスを磨いてみましょう。

そしてそのデザイン力を
自分の分野で発揮してみることも
面白いです。

例えばSNSのプロフィールや
ブログの表紙にデザイン力を発揮してみましょう。
さもクリックしてみなくなる画像
とはどんな画面でしょうか。
デザイン力でカバーしてみましょう。

個別よりも調和(シンフォニー)力

オーケストラでは、
バイオリンやチェロの音を
個別に聞きにいく分けではなく、
楽器や演奏者が作り出す
シンフォニー
に感じ入ることができます。

個や細部から全体を見いだし、
それらをまとめたり、
俯瞰して物事を把握したり、
そこから新しいものを作り出す力
調和(シンフォニー)の力
が今の社会には求められています。

調和を重んずる人は
Aが起きたらBすれば良い
と言う短絡的な論理ではなく、
全体的に俯瞰した見方を好みます。

極端な例を挙げると、
飲酒運転が無くならないなら
罰金を増やせば良い。
と考えるよりも、
世の中、不景気で酒を飲む量が増えた
だったら、景気の回復が
事故防止につながるのではないか。
であったり、
若者にはもっとガス抜きのための
遊び場が必要なのではないか。
などなど、
極一面だけを見た判断ではなく、
全体を見る事ができる人は、
成功を導く力を持っている様に見えます。

調和力を鍛えたいなら、
「絵を学ぶと良い」
と著者は説明しています。

最初は驚いたメソッドですが、
もし顔の絵を描こうとすると
目や鼻などの個別の部分を
どんなに上手く描けても、
全体のバランスが整っていなければ
顔の絵は成立しません。
全体の「調和」
を意識することになるのです。

全体を見る力は
絵を描く事
でも鍛える事ができるのです。

また、
比喩表現
に着目してみると、
調和力が鍛えられます。

現実を何かに例える力は、
右脳の働きによる所が大きく、
「メタファーは全ての芸術の活力源だ」
と述べる芸術家もいるくらいです。

比喩力を数値化したものを
MQ(メタファー指数)
と呼びますが、
このMQが高いと、
発明や新しいものにつながる何か
に気づくこともできると言います。

例えば、
ジョルジュ・メストラルは、
犬の背中にくっついた「いが」を見て、
マジックテープを思いついたそうです。
また、
剥がれ落ちるポスターを見て、
ポストイットを発明した人もいます。

左脳だけでは、
この比喩力は力を発揮できません。
右脳と左脳の調和もまたシンフォニーなのです。

物より生きがい

人間の真の関心事は、
幸せを得ることや
嫌な事を遠ざけることでは無く、
意義を見つけることだ
という言葉があります。

物理的な裕福さを
ある意味「満喫できてしまう」
現代においては、
物は不必要なくらい周りに溢れています。

こうなってくると、
物の量や質だけでなく、
デザインにこだわってみたり、
そもそも物に魅力を見出すのではなく
人生の「意義」のようなもの
に対して関心が高まってきても
そう違和感はないはずです。

まさに現代は
物より生きがい
にこそ真の価値を見出そう
と言う動きが活発な時代なのです。

かつてドイツで起こった
ホロコーストでは、
なんの謂れもなくユダヤ人が
大量に虐殺され、
その渦中にいた人は、
この世の地獄を見たと言います。

いつガス室送りになるかも
分からない状況下で、
最小限の食事で過酷な重労働を
させられたそうです。

しかも、
その重労働とは、
とても労働とは呼べない代物で、
地面に穴を掘り、
掘り終わったらその穴を埋める
といった全く意味のない作業を
延々と繰り返し強要されたとあります。

そんなホロコーストを、
生き残った人たちがいます。

過酷な地獄の中でも
愛する人を思うと、
一瞬だが幸福感に包まれる。
とは著者の好きな言葉でそうです。

穴を掘る作業も、
過酷な重労働ではなく、
「私は今、助かるために
体を鍛えているんだ」
と意味を見出した人は
心を強く保つことができました。

ホロコーストの渦中でも
「意義を見出す」
ことはできる。
これは現代の私たちには
参考になる事実ではないでしょうか。

本書で推薦されている書籍もあり
夜と霧
と言う題名の本は、
今後の人生において
とても大きな意味を持つ一冊になる
とまで語られていますので、
私も一読する予定です。

おわりに:

今回は特に学びの多かった項目のみの
アウトプットですが、
本書にはもっと濃い内容が満載です。

書籍としては、
古い部類に入るものの、
今でも通用する、
次の時代を見据えた一冊です。

ビジネスや企業のみならず、
私生活にも応用が効く本書。
常識が覆る事のままある現代において、
何を知り、何を学び、何に生かすのか?
その基本的な項目を教えてくれます。

成長を目論み、
焦って何でも良いからと
手当たり次第に学ぶより、
専門家の言うことを聞くのも一興
だと感じます。

大樋町

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大樋町

初めまして。
大樋町と申します。
「おおひまち」と読みます。
北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
良い本は心の友。
私の友人たち(愛読書)から学んだことをアウトプットする場としてブログを書いております。
毎週、月曜日にブログを更新中。(少ないw)
ありがたい事に、
読者様が増えてきたから身を引き締めねばw
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