◯問題解決はアイデアの問題
アイデアは、
何も詩人や絵作家だけが
必要としているものではありません。
問題を目の前にした時、
その解決策が分かっているなら、
それは問題ではなく
ただの課題(タスク)です。
冷蔵庫が一杯で、
もう物が入らない状態を
どうにかしたいのは「課題」です。
もし冷蔵庫が壊れ、
中にあるたくさんの食物を
どうにか処理しないといけない。
これが本書でいる「問題」です。
言わずもがな、
問題に直面しない人はいません。
アイデアは誰しにも必要なものです。
◯アイデアは技術
アイディアは、
そう滅多に手に入るものではなく、
一流の何らかの創設者が、
才能として発揮するもの。
だから凡人には縁のないものだ。
などとイメージされがちですが、
本書著者の回答は、
はっきりとした『NO』です。
自転車はその乗り方を学ばなければ
乗ることができません。
しかしながら自転車の練習を始めた時、
自転車の才能の心配をした人は
いないと思います。
アイディアも技術として学ばなければ、
それを創造することはできません。
が反対に、
『学べば誰しにも発揮できる脳力』
と言い換えることができます。
本書の著者らは、
スタンフォード大学の教授ら2名です。
彼らの授業に参加するのは、
学生だけでなく、
起業者や弁護士、医者など
実に様々な受講者がいます。
得る喜びより失う苦しみは2倍。
と言われる様に、
人間の本能は、
目の前の問題を
新しい解決策ではなく、
従来の無難な安全策
で乗り切ろうとします。
アイディアは思い浮かぶだけでは
その力を発揮できません。
あくまで実行に移すまでが
一連の流れ(フロー)なのであり、
そこまでを解説したのが本書なのです。
一般的に、
製品名を決めたり、
キャッチコピーを考えたり、
デザインを描いたりする仕事
に就いている人は少なく、
「ゼロから何かを生み出す」
事に対して、
そこまで必要に迫られていない。
と感じる人は多いようです。
スタンフォード大学で実施される
著者らの授業に参加する経営者は
「私には必要ない」とばかりに、
創造性を軽視している人がいるとか。
しかし、
今あなたの抱えている問題が、
解決策を伴っていないなら、
そこには「アイディア」が必要です。
ではアイディアとは、創造性とは、
具体的にどんなものなのでしょうか。
著者らはアイディアとは、
「ある一定の問題に対し、一定期間内に、
どれだけ「多く」のアイディアを
出すことができるか」
であると述べています。
この章でのハイライトは、
アイディアとは、
「質ではなく量である」
という事であり、
これが本書の題名である
アイディアフロー
そのものなのです。
唯一無二の優れた完璧なアイディア
を求めても徒労に終わります。
それがもし間違っていた場合、
取り返しのつかない時間と労力が
既に使い終わっているからです。
むしろ、
アイディアとは質より量です。
いくつものアイディアを求め、
それを試していくことでしか
そのアイディアが優れているかどうか
は分からないものなのです。
まずは自分にどれほどの
アイディアフローがあるのか
簡単なテストをしてみましょう。
簡単なテストで、
今あなたがどれだけのアイディアフロー
を持っているかを定量化できます。
◯アイディアフロー測定テスト
まずはメールボックスから、
返事が必要そうなメール
を選びます。
そして、
その返信メールの題名
を2分間の間にどれだけ思いつくか
実際にノートに書いてみましょう。
もし20個の題名が思いついたなら、
それを2で割ってみると、
1分間のアイディアの数(フロー数)
が分かります。
これが今のあなたの
アイディアフロー数
です。
アイディアフローには
心理的安全性も必要である
ことを付け加えねばなりません。
もし今頭に浮かんだアイディアが
周りに笑われてしまったり、
恥ずかしいアイディアであっても
それを臆さずに外に出すことができる
心理的に安全性を確保する必要があります。
集団のリーダーであるなら尚更、
個人であっても、
自分のアイディアを恥ずかしがることなく
外に出すことが大事だし、
自分で自分を
追い詰めることは止めましょう。
◯まずは種を蒔く
創造的な人は、
創造性を常に意識しています。
問題が発生した途端に
才能を用いて、
解決策をはたと思いつくのではなく、
常にアイディアフローを意識しているのです。
アイデアフローを鍛える方法があります。
種(seed)、
眠り(sleep)、
解決(solve)
の3つのSを使います。
鍛えるというより、
アイディアフローの出口に
固く付いていた蓋を取っ払い、
流れ(フロー)を作る。
と言った方が、
イメージしやすいかも知れません。
潜在意識は、
緊急性や重要性を判断できないので、
まずは潜在能力に解答を求めるために
脳に問題を「与える」作業から入ります。
まずは種を蒔きます。
眠る前に、
自分が抱える問題を1個用意し
その問題について、
あれこれと思案してみてください。
問題がどれかを探していると
時間が勿体無いので、
どの問題を解決して欲しいかは
ベッドに入るまでに決めてしまいましょう。
次に眠りに就きます。
潜在意識は、
眠っている間にも活動しています。
脳は眠っている時間に
情報を整理し、
不要な情報を処理する
などを行っており、
目覚めた時、
脳の情報はクリアに整理されています。
新しいアイディアも、
眠りの間に生まれるのです。
当然ながら、
徹夜や睡眠不足など、
良質な眠りを妨げると
この効果は激減します。
最後に、
潜在意識から解決策を受け取ります。
毎朝、
10個のアイディア
を紙に書き出してみましょう。
昨晩、脳に託した問題の解決策を
受け取るのです。
自分で笑ってしまうような
くだらないと思えるアイディアも
残しておくことをおすすめします。
アイディアフローは、
集中力や忍耐力と違い、
出せば出すほど洗練されていきます。
アイディアは、
最初に出てきたものを土台にして
それをうわ回る形で
新アイディアが生まれること
がままあるからです。
◯大きくアナログで書く
眠ってアイディアを熟成させたら、
それを取り出す必要があります。
アイディアフローを鍛えるためにも
アイディアを毎朝10個書き出すメソッド
をご紹介しました。
アウトプットの際、
ノートとペンを使い、
大きく、アナログな方法で
アイディアを書き出すことを
強くおすすめします。
人の脳は、
空白があると埋めたくなる。
という本能がありますので、
大きな紙に書き出すことで
脳のポテンシャルを引き出しつつ
アイディアをこの世に生み出すこと
ができます。
文字を書く
というある種アナログな手段も
とても有用です。
スマホなどのデジタルな物に
アウトプットする場合、
SNSに代表される余計な情報に
惑わされてしまったり、
いざという時に使えなかったりします。
会議中や授業中など、
スマホを手にしにくい時に限って
アイディアは浮かんでくるものです。
ノートに走り書きする程度なら
会議中でも可能でしょう。
◯2000対1の法則
アイディアを思いつく方法は分かりました。
では、
あなたがベンチャー企業で
その問題を解決したい、成功したい場合、
アイディアはどのくらい必要なのでしょうか?
著者は、
5、6個では当然足りない。
2000個のアイディアを推奨する。
と述べています。
優れた商品開発部では
2000個のアイディアが生まれ、
それが実物化するのは100個のみ、
そこから市場に出回るのは10個のみ
そこから「ヒット商品」が生まれるのは
1個のみ
であると言います。
今、目の前にある問題に対処するため、
2000個のアイディア
を思い浮かべる努力を
私たちはしているでしょうか。
身をつまされる思いではありますが、
思い浮かべるだけなら、
前記の方法で訓練すれば良いだけです。
◯2000個のアイディアを全部試すのか?
しかし、
2000個ものアイディアが浮かんだ所で、
その後はどうすれば良いのでしょうか。
マンパワーを使って、
その全てを実践したり、実験したり
できれば1番ですが、
現実的ではない場合がほとんどです。
枝葉のようにまとめる
その中から興奮するアイディを選ぶ
◯いいアイディアだね!を無くして実験する
数を絞ったら、
とにかく実験を繰り返す事が肝要です。
どんな優れた意見より、
一度の実験で出た数値の方が
頼りになります。
良いアイディアか悪いアイディアか?
を判断する上で、
頭の中の空想は役に立ちません。
現実で得た結果が全てです。
優れた選択者は存在せず、
成功を収めた人間は
逆に、
自分が知らない人間である
ことを前提に「行動」を重視する事が多く、
実際の企業でも、
意見や予測よりも、
行動した後の結果を重視した方が、
企業収益は増加したそうです。
それがいいアイディアかどうか?
を判断する前に、
もっと他の意見はないか?
に目を向けて、
フローを増強しましょう。
◯世に存在していないアイディアの有効性をどう知ればいいか?
某ショッピングモールでは、
客足が伸びない「4階」をどうするか?
と言う問題を解決しようとしていました。
会議の結果、
ビアガーデンの設置
が最有力であり、
マーケティングが展開されました。
顧客1000名以上
に対する綿密なアンケートや
SNSを通した調査の結果
約80%の賛成意見
を得たにも関わらず、
実際にビアガーデンには
毎日10人程度しか客足がなかった
と言う結果でした。
調査には限界があります。
物事の有用性は、
調査ではなく行動で証明する。
事が肝要です。
実験は、
あなたが正しいと確認する作業ではダメ
です。
それを疑うために実施するようにしましょう。
◯「遡及」
遡及(そきゅう)とは、
『未来にいる自分を想定し、
自分の意見が既に否定されたものとして
自分の意見を振り返る』
と言うメソッドです。
上司に何かを嘆願するなら、
その嘆願が既に否定されたものとして、
どんな否定意見が出てくるか?
を予測するのです。
すると、
否定意見への『対策』も
前もって準備する事ができます。
◯行き詰まったらワンダーワンダー
スティーブ・ジョブズが
かつてマッキントッシュのデザイン
を思いついた時、
彼は
家電量販店
にいたと言われています。
とあるフードプロセッサーを見つけ
嬉々として会社に戻ってきたと言います。
その直線や湾曲線を参考にして
果たして、
あの独特なフォルムを持つ
Macのデザインは完成しました。
アイディアが煮詰まってしまい、
もうアイディアは出てこない。
事に悩んだら、
外に出かけてみましょう。
なるべく今問題にしていること
から遠かったほうが良い
と言われています。
ノーベル賞を受賞した科学者4人を含む
40人の科学者を、
30年間に渡りインタビューする。
と言う研究では、
科学者の成績と、
科学者が仕事とする研究以外の活動
には強い相関関係があった。
とされています。
つまり、
趣味や旅行に興じることが多かった科学者ほど
良い成績を収めていたのです。
街に出かけ、
目に入るものが、
自分の問題を解決する糸口になるかもしれない。
と思い描きながら歩いてみましょう。
◯おすすめ!リラックス方法
ワンダーワンダー以外にも、
行き詰まりを解消する手段があります。
アインシュタインや、
ノーベル賞受賞の心理学者
ダニエルカーネマンなど、
名だたる成功者が習慣にしている事。
それは
「リラックス」
です。
一旦問題から離れ、
その問題とは全く違う事に没頭する
これが問題解決の糸口になり得るのです。
スケジュールがびっしりな
ビジネスマンには、
これが理解できないようです。
遊ぶ暇があるなら、
問題解決に目を向けよ
と躍起になっていては、
その問題解決のアイディアは
どんどん煮詰まって
頭から出てこなくなります。
ほんの数時間のリラックスを
怠ってしまったばかりに、
ここから先の数日、数年を
無駄にしてしまう可能性すらあるのです。
ヒートアップしたエンジンに
クールダウンが必要な様に、
煮詰まった脳には、
リラックスという名の栄養を
与えてみてはどうでしょうか。
名だたる成功者取り入れている
リラックス方法
に触れて、
本記事は終わりにしようと思います。
◯水、趣味、昼寝
本書では7種のリラックス方法
が記載されていますが、
本ブログでは
私が気に入った3種
をご紹介します。
具体的方法をご紹介する前に、
先に注意してほしいのは、
気分転換には、
「クールメディア」を使う
ということです。
クールメディアとは、
読書やガーデニングや散歩など
脳への過度な刺激がなく、
能動的で、
思考を邪魔しない
メディアのことです。
対して、
スマホのゲーム等に代表される
ホットメディアは
リラックスとは真逆に位置します。
Netflixやテレビを見ていて
良いアイディアが浮かばないように、
ホットメディアは基本その全般において
問題解決を促進してくれません。
クールメディアの趣味を持つ。
と言うのは気分転換にマストなのです。
それを踏まえた上での
リラックス方法その1は、
「水に触れる」
というものです。
泳いでみたり、
シャワーを浴びたり、
サーフィンまでもオススメされていました。
水に触れると、
リラックスしやすいようです。
さらに、
サーフィンの様な、
強烈な体験も脳への良い刺激になります。
元の仕事に戻った時、
さっぱりとした脳内や潜在意識では
問題解決の促進が進むとされています。
リラックス方法その2は、
前記した「クールメディア」などを使って
趣味に走る
というものです。
集中はしていても疲れない
状態はリラックスにも
アイディアフローにも適しています。
ノーベル賞受賞には、
趣味を持つ者が多く、
しかも趣味の世界でも好成績である。
ことは前述の通りです。
煮詰まった頭にリセットをかけ、
リフレッシュしてくれる趣味
を見つけてみましょう。
リラックス方法その3は
昼寝
です。
短時間の昼寝でも
集中力を取り戻せる事は、
割と既知の人が多いと思います。
アイディアフローの世界でも
これは変わらず、
煮詰まった時には
寝てしまうのも手なのです。
脳は寝ている間に
情報を整理する。
と言われており、
眠れないほど考えてしまう前に、
一旦寝てしまうのが
アイディア発送を助けてくれます。
◯おわりに
本書の著者は、
「アイディアは質ではなく量である」
と言います。
この言葉は、
従来までの私の考えを
打ち砕くのに十分でした。
唯一無二の
アイディアを思い浮かべる事に
必死になるのではなく、
とにかくアイディアを思い浮かべて、
事前調査や予測に時間をかけるのではなく
「行動」を起こして結果を得て、
それを踏まえて改善を行うこと。
アイディアとは何か行動に繋げないと
なるほど意味はありません。
頭の中のアイディアを現実にする
その方法が山のように詰まった本書。
問題を抱えている人は、
その解決策を、
自分のアイディアフローに
頼ってみてはいかがでしょうか。
大樋町
読書もいいけど、「聞く」のもおつなもの👇👇👇
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