第206回:SKILLから学ぶ

読んだ本

はじめに:

本書著者クリストファーアーマッドさんは、
コンロンビア大学の教授であり、
100以上のスポーツ医学論文を執筆し、
野球分野に特に秀で、
松井秀喜元選手などの治療にも携わった
スポーツ医学の現役外科医です。

翻訳者は、
著者と面識のある
セントルイス大学の小児外科医、
宮田真氏。

医療判断しかり、手術しかり、
失敗という概念が、
極めて狭範囲でしかない医学界において、
凡人の域を出た何者か
になるためには一体どのような
修練、訓練
が必要になるのでしょうか。

修練の法則と呼ばれる
考え方やメソッド集
が本書の正体です。

各界において、
マイケルジョーダンが
高校2年生の折、
チームから外された経験を持つ事を
知っている人は少ないようです。

JKローリングが、
ハリーポッターを世に打ち出すまで
編集者はものの数秒原稿を見ただけで
作品を没にしたとされます。

超一流と言われる選手でも
早期に成功を収め、
成功を長期間継続することは難しい
とも言われています。

著者は、
才能は持って生まれたものではなく、
自分で構築するものだと断言すると共に、
そのためのノウハウは驚くほどシンプルであり、
最初にもてはやされた者より
静かに淡々とノウハウを実行する者
の方が最終的には成功を収める
とも述べています。

46からなる
スキル向上のテクニック
から学んだことをアウトプットします。

学んだこと:

環境のせいにしない

まずは言い訳はしないこと。
日本でも
言い訳は成長の敵
と言い伝えられていますが、
米国や医療業界でも同じようです。

失敗を、
その日の体調や器具の不具合のせい
にしてしまうようでは危険信号である
と著者は述べています。

どんな業界でも
自分のパフォーマンスに言い訳
をしているようでは
その後の成長を見込むことはできません。

失敗を受け入れる責任
を持つだけでも、
SKILLは自分についてくるのだと思います。
少なくても、
失敗した技術や技を見直すことはできるようになります。

また、
盗むこと
も大事です。

失敗に言い訳にをしないために
確かな実力を身につけることが肝要です。

すでに優れた技術を得ている「マスター」は、
むしろ喜んでフィードバックを受ける。
その様は「楽しみにさえしている様だ」
とも言われています。

フィードバックから
自分はどんな成長ができるのか
失敗は「伸びしろ」だ
と脳内変換しているからです。

優れたマスターに昇華するためには
メンターやロールモデルから盗むこと
が欠かせません。

盗む上での失敗も付きものでしょう。
失敗を受け入れること
ができれば、
その後の成長に多大なメリットをもたらすでしょう。

手術室の外ではリスクをおかせ

医師には一度学んだ方法を
その後も長い期間、愚直に実行し続ける
という人が多いそうです。

下手に自分で試したことで
手術が失敗したりすれば
世間からの避難は免れませんし、
何より患者に申し訳が立ちません。

対して、
新しいスキルを貪欲に学び、
力に変えて、
どんどん成長していく医師
も確かに存在してます。
この差は何か?

ゴルフプレイヤーが試合中にいきなり
初めて打つ方法でショットしたりはしません。
クラシックにおいて、コンサート中に、
即興演奏はあり得ないでしょう。

医学においても、
実際の手術中に新しい技を試す医師
はおりません。

医師である彼らには
スキルラボと呼ばれる、
オペの修練施設があることをご存知でしょうか。

スキルラボでは、
新しい技術をさながら
本物のオペのように実践感覚
で学ぶことができるそうです。

ここで特筆すべきは、
すでに大きな成功を収める医師、
すでに技術的に成熟している医師、
であるほど参加数が多い。
と言う事実です。

い心地の良い場所を抜けて、
自らに負荷をかけて行く姿勢が
優秀な医師を育みます。

ソフトスキルと
ハードスキルの二つに目を向ける
ことも重要になってきます。

ハードスキルとは
優れたメスさばきや体位保持、
サッカーで言うところの
シュート、パスなどの
いわゆる技術を指します。

それに対し軽視されがちなのが
ソフトスキルの方です。

英国のサッカー選手ボビーモアは
あなたは足が速いですか?
と言う質問に対し、
AからBまで走るのなら遅いでしょう。
しかし、
「いつ走り出すか」を考慮すれば
私はそこまで遅くはないでしょう。
と答えています。

冷静な判断力や場を把握する視野など、
技術よりも内面が重視されるシーンは
どの業界にも存在します。
必要にならない業界はないことでしょう。

では、
ソフトスキルを鍛える
にはどうすれば良いのでしょうか?
著者は、
「もし〇〇なら?」訓練
を推奨しています。

「ネガティブな想定」を
いかに具体的に解決するか?
のイメージトレーニングは
その人のソフトスキルの向上に繋がります。

米国の特殊部隊はこれが得意だと言います。
人質救出作戦の実行にあたっては、
ありとあらゆる『もし』が設定され、
それを元にしたイメージトレーニング
が時間をかけてなされます。

降下ポイントがずれた時に、
相手の行動に違いがあった時に、
天候の変化に、
自分の武器に不具合が生じた時に、
離脱する時に、
どうすればいいのか?
彼らは念には念を押した想定をクリアし、
実践に臨むのです。

ソフトスキルも、
ハードスキル同様に重視しましょう!

スイートスポットを探す

優秀な人間と普通の人間では
練習にどう関わるかが決定的に違う
と言う言葉が出てきます。

繰り返すだけの時間が
経験とは呼びません。
どれだけ「負荷」をかけられるかが
「練習の質」に関わってきます。

そのためには、
『コンフォートゾーン』
と呼ばれる、
居心地の良い場所を出て、
『スイートスポット』
と呼ばれる、
まだ上手くできないと、
不快と感じる場所まで
自分で自分を追い込む必要があります。

自分ができそうで出来ない事
に没頭する事は、
まさに成長の渦中に自らを置く事です。

この行為を著者は、
『背伸び(リーチング)』
と呼んでいます。

医師の中でも、
巨匠と呼ばれる様な人間は、
このリーチング技術が優れています。

自分の限界点で、
苦しみと葛藤しながら作業し、
没頭できているか。

楽器で新しい曲を弾く時や、
語学の学習なども、
自分が今できていない所に目を向け、
そこに集中することが
有用である事が多いようです。

スイートスポットを見つけ、
反復してマスターを目指しましょう。

複利効果を応用する

投資の世界には
「複利効果」
と呼ばれる概念があります。

かのアインシュタインをして、
「史上最大」と言わしめた数学的発見です。

投資をする際
再投資と時間
を意識することで
成長曲線は、
時間を掛ければかけるほど
爆発的に上昇します。

この複利効果を
投資だけでなく、
自分の人生にも利用しよう
と言うのが著者のアイディアです。

努力や経験は、毎日続けても、
一見なんの効果も無い様に見えるものです。
しかし、
ある日を期間を境にして、
急激にその効果を発揮し始めます。

往々にして、
急カーブの上昇気流に差し掛かるまでは
たくさんの時間がかかることが多く、
また往々にして、
急上昇を前にして人は続けることを
やめてしまうと言います。

努力にも複利効果があることを信じ、
地道な努力こそ成功に繋がると理解しましょう。

本を読む時は本を閉じる

本を読んで、
1週間後に本の内容のテスト
を受けるとして、
30分の勉強時間を与えられた場合、
A 4回読み返す
B 1回読んで内容を要約する
の2種の方法を比べてみると
結果は明らかに
「B」の方
が成績が優秀だったそうです。

読書の後には、
痛みが伴う「想起」が必要です。

忘れつつある記憶は、
繰り返すことではなく、
「思い出すこと」でより強化されます。

本を読んでも、
それを実行に移せないなら
読む意味はないかも知れません。
そしていざ実行に移す時、
いちいち本を開いている様では
行動にブレーキがかかってしまいます。

本を現実に活かしたいのなら
記憶に残っている必要があります。

本を読んだら、
一度本を閉じて、
「想起」させる癖をつけると
勉強に内容を身につけるかどうかに
大きな差がつくことでしょう。

チャンキング(反復)

チャンキングとは
スキルの一部をマスターする事
です。

ピアノの曲をマスターする時、
その曲をチャンク化(塊り化)して
そのセクションを反復練習します。
それを繋ぎ合わせると最終的には一曲を
完璧に弾くことができるようになります。

チャンキングは、
無意識化での作業を可能としてくれます。

反復と聞くと、
ネガティブなイメージを持つ方も多いと思います。
しかし、
一流にたどり着くには、
反復はとても強い味方になります。

NFLの監督トニーダンジーは、
並外れたことをするのではない
「並」のことを頭を使わずにするだけだ。
と語っています。

難しい作業を、
無意識でも可能にすることで、
手術中に手術室で起こっている
素人や他の誰かでは気付けないこと
にも気付いたり、
皆がパニックを起こすような現場でも
冷静に行動できるようになります。

プロと素人の差は、
チャンキング訓練の経験や
それを実行する意思
で決まると言っても過言ではありません。

おわりに:

読み終わってみれば、
書かれていることは驚くほどシンプルで、
今改めて聞かなくても
今まで散々言われてきたことだった
と錯覚してしまう内容でしたが、
そこには世の中の心理も
含まれているように感じました。

そんな事は分かっている
ということほど
人は実行に移せないのかも知れません。

変化を望まず、
ぬるま湯の中で過ごすではなく
果敢に成長を求めて
厳しい世界に身を置く。
確かに、
「成長を余儀なくされれば」
人は成長をするのだと思います。

ただそれを人は実行に移せるか
そのためにはどうすればいいのか
までを言及した一冊が本書です。

最終的には、
医療界を変えるのは自分だ
とまで心を昇華させるべく
その心意気のようなものも
本書には書かれています。

努力の一言ではなく、
ちゃんと行動を伴った実績
から導き出されたメソッドは、
かも成長を望む読者には刺さるのだな
と管理人は感じたのでした。

大樋町

管理人
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大樋町

初めまして。
大樋町と申します。
「おおひまち」と読みます。
北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
良い本は心の友。
私の友人たち(愛読書)から学んだことをアウトプットする場としてブログを書いております。
毎週、月曜日にブログを更新中。(少ないw)
ありがたい事に、
読者様が増えてきたから身を引き締めねばw
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