はじめに:
振り返ることの強さと
後悔から希望を得るためのノウハウ。
本書はそれらが学べます。
著者はダニエルピンクさん。
米国のトップ経営思想家を選ぶ
「Thinkers50」
において常に上位をキープしており、
その著書は42ヶ国語に訳されています。
リグリットとは後悔の意。
人が生きる上で、
そこ大なり小なり後悔が付きもの。
ネガティブな事は時間が忘れさせてくれる。
そうやって失敗や嫌悪感を脇に置いて、
私たちは今を生きています。
後悔もその一つ。
過去は過去。もうない。
だからこそ前を向こう。
誰かからそう聞いた気がして、
私たちはそれが正しいのか分からないまま
後悔をしない様に
とここまで生ききました。
果たしてそれは正しい選択なのか?
ダニエル教授ははっきりと
「後悔を否定する事は間違いである」
と断言しております。
ネガティブな感情は、
必要であるからこそ、
進化の過程でオミットさる事なく
脳に残っている。
後悔も御多分にもれず、
そうなのです。
ネガティブな面のポジティブな面
に着目することで、
人の脳は様々なメリットを享受できます。
それでは、
後悔はしない事を目的にしてきた人生の
その概念をも覆す
「後悔の素晴らしさ」
から学んだことをアウトプットします。
学んだこと:
後悔の名誉回復
まずもって、
ネガティブな感情のポジティブな側面
に着目する必要があります。
後悔の話も去ることながら、
怒り、不安、嫌悪感、悲しみなどなど
ネガティブな感情たちは、
それが必要だからこそ
進化の過程においてオミットされず、
私たちの脳の中にまだ存在するわけです。
人は嫌悪感を抱くからこそ
毒や病気から距離を置くことができます、
不安は人を行動に駆り立て、
怒りを露わにする事で、
物事が素早く回る事だってあるはずです。
後悔はどうか?
人の感情に着目した様々研究を見ると
後悔は人の感情の30%を占める
とも言われており、
先に述べたネガティブ感情の中でも
後悔はとりわけ注目の的にされる感情です。
ある研究者は、
「後悔は人生の本質的要素」
であり、
「人生を歩むとは後悔を重ねること」
と言わしめるほど、
人は後悔に支配されています。
そこにはどんなメリットがあるのか?
著者は大きく3つのメリットを挙げています。
・意思決定
・パフォーマンス
・充実感
の3つについて、
その質が向上する。
と述べています。
心理実験によると、
例えば過去の後悔を頭に思い浮かべると
その当時の
「痛み」が伴った感情
が思い起こされ、
安易に選択肢を選ばなくなります。
意思決定する上で、
より慎重になると同時に、
同じ失敗を味あわない為に、
認知バイアスの影響も少なくなります。
マイナスの感情を抱くメカニズムは、
心を平坦に保つためではなく、
「長く生き残る為に設計されている」
と著者は説明しています。
パフォーマンスについても、
後悔を多く感じる者の方が、
同じ行動を取らせた場合、
より「忍耐力」を発揮した。
という実験結果があります。
「もし〇〇していたら」
との後悔を想像させると、
例えばアナグラム問題などの回答を
後悔しない側の人間よりも、
より創造的に回答し、
その回答時間も速く、
正答率も高かったのです。
人生に対する充実感においては、
ただ過去を回想するよりも、
「もし〇〇していたら」や「幸いにも」
というフレーズを使って回想した方が、
より一層自分の人生に愛着が湧いた
という実験結果があります。
マイナス感情は何の為に?
心理学の祖、
19世紀の博識者、
ウィリアムジェームズ氏は言います。
「思考はその全てが私たちの行動のため」
であると。
考えることは、
それそのものが行動の為である。
なんだか当たり前のようで、
今一度説明されると深い意味があります。
思考が行動の為であるなら
「感情」は何のためであるのか。
本書ではここにも言及しており、
2つのタブーと、
1つのある意味境地に至っております。
2つのタブーとは、
・感情を無視する
と
・感情は感情のためである
の2つです。
ストレスや後悔は、
そのまま無視しても意味がありません。
失敗を無視して、
それはただの試練だ。
などとポジティブに考える。
そう聞くと聞こえは良いですが、
失敗の原因には目をつむって、
失敗を無理矢理成功視しているだけ。
とも取れます。
マイナス感情には存在する意味があるので
それに向き合うことも必要なのです。
感情は感情のためである。
と感情を反芻するのも誉められません。
マイナス感情に溺れ、
後悔や不安、ストレスを反芻すると
健康に著しいダメージを与えます。
それに対し、
・感情は思考のためである
と考える方が、
後悔とは向き合いやすくなります。
むしろ後悔すべき4つの事
むしろ後悔すべきとはどういう事か。
以下の4つの項目については、
しっかりと悩んで、
それこそ悩みすぎて、後から
どちらを選んでも後悔してしまった。
と言えるくらい思考を巡らせる。
その「価値」がある。と言えるくらい
人生に取って大事な項目です。
以下の4項目です
・人生の土台の安定化に寄与するか
・相応のリスクを取れたか
・道徳的に正しかったか
・人間関係を拡大する事に寄与するか
このように、
何に対して後悔したのか?
ではなく、
「なぜ」後悔したのか?
を知ることにより、
より一層、後悔への理解が深まります。
何に対して後悔したか?
に言及するなら、人は
人間関係、キャリア、お金、健康
など様々な物事に対して
後悔を感じることが多いそうです。
これを著者は
後悔の表層構造
と呼んでいます。
対して、
その後悔たちの根幹となる、
上記4つの後悔の「深層構造」こそが
後悔の「なぜ」を解き明かしてくれます。
まずは基盤の後悔について。
人は生きる上で、
基本的な安定
を求めます。
健康で不自由さに悩まずに済み
ひもじい思いをしない。
教育やお金や健康などをはじめ、
最低限度の安定がなければ、
それ以上の裕福さを求めるのは無理、
もしくはもっと難しくなります。
なので、
先見の明を欠き、
まじめに取り組まなかったこと
に対して人は後悔を抱きます。
イソップ物語でいう
「アリとキリギリス」
での例えが分かりやすいでしょう。
著者は研究者であり、
著者自身が実施た実験には、
全世界役4500人から、
後悔したことをネット投稿してもらう
「ワールド後悔サーベイ」計画
というものがあります。
彼らの言葉を分析してみると、
基盤の後悔では
「〇〇しすぎた」や「〇〇しなすぎた」
という言い方に着目すると
自らの後悔にも気づきやすいです。
中国の諺には、
「木を植えるのに最適時は20年前
そうでなければ今である」
という言葉がありますが、
基盤の後悔をしないよう
背中を押してくれそうな言葉です。
次は、
ある程度のリスクを取ってこれたか?
要するに「希望」に対する後悔があります。
言葉にすると、
「もしあの時、リスクを取って行動していたら」
と言い換えることができます。
これには、
行動をとった後よりも、
行動を「取らなかった」事による後悔
が遥かに数が多かった。
と著者は語ります。
意中の異性に声をかけなかった事、
不満の残る会社を辞め企業する事、
平穏な日々を抜け出し旅行に出かける事、
などなど、
管理人的には、
「旅行」ですらも後悔の対象になるのか
と驚いています。
三連休を無難にゆっくり過ごすの良いですが
思い切ってドアを開いた方が、
その旅行が果たして面白くなかったとしても
その後の後悔は少ないでしょう。
3項目目は、
「道徳的後悔」です。
著者の元に投稿された後悔リストの中でも、
最も数は少ないは少ないものの、
最も人を苛ませると言わしめる後悔項目です。
危害、欺瞞、転覆などを相手に強いた場合、
道徳的後悔を感じます。
例えば、
母親の意見に反対したり、
敬うことをしなかったり。
教師を馬鹿にしたまま卒業してしまったり、
兄弟でも相手の尊厳を汚してしまったり。
自らが犯罪に手を染めてしまう様な
分かりやすい背徳はもちろんのこと、
「取るべき行動を取れなかった」
との思いま強く後悔の念に変わってしまいます。
最後の4項目目はつながりの後悔。
ワールド後悔サーベイ計画において、
世界中の人々が、
「最も多く抱えている」後悔です。
幸せな人生を送りたかったら
どうすれば良いか?
心理学の世界で有名な、
約500人の人生を何十年にも渡り
詳細に追跡調査して、
人間の成功方法
を研究したものがあります。
とんでもない時間と労力がかかっています。
それによると、
幸福な人生には
お金や名声は意外と関係なく、
必要なのは「人間関係」だった
との結論が出ています。
よって、
人とのつながりについて、
人間は強く感情を揺さぶられ、
人生にも影響を受けます。
後悔に至るケースも多い。
という分けです。
家族や恋人や親友、友人、親戚など、
人との繋がりが切れてしまったり、
誰かを傷つけてしまったり、
別れは人に後悔を生じさせます。
けんか別れのような、
はっきりと理由がある場合
も去ることながら、
自然消滅した関係も、
燻るように人の心を苛ませます。
幸福に直接関係してくる
人間関係
にはそれほどの後悔が眠っているのです。
後悔をどう活かすか
ではそれら後悔に
どう立ち向かえばいいのか。
もちろんその解決策も
しっかり準備されています。
管理人が特に着目したのは、
行動してしまった後悔と
行動しなかった後悔のどちらにも効果のある
下記のメソッドです。
・セルフディスクロージャー
・セルフコンパッション
・セルフディスタンシング
の三連コンボです。
順番に説明します。
まずは
セルフディスクロージャー
です。
直訳すると「自己開示」。
後悔を頭の中で反芻(はんすう)させるのではなく、
一旦言葉にして頭の外に出してしまいます。
誰かに聞いてもらえるなら、
「口で話す」ことも有効ですし、
それができないなら
「後悔を文字にして書き出す」
ことでも結構です。
※書くほうが効果が高いとの報告もあります。
とにかく、
自分の後悔を開示するのです。
すると、
頭の中でぐるぐると回っている
曖昧だった「後悔の思考」の様なものが、
自分の目の前に形になって現れます。
それは言葉だったり文字だったりするわけですが
その状態だと脳は
「見えない脅威」とは判断しません。
しっかり捉えることのできる何か
として処理し始めるわけです。
悩みを誰かに打ち明けると、
それだけで心が軽くなる。
こと後悔にも同じ現象が起きます。
まずは、
後悔を開示することで、
対処できる状態に持っていきましょう。
次にセルフコンパッションです。
直訳すると「自己へのいたわり」です。
何か失敗や後悔をした時に、
自分を責める人
があまりに多いと言われています。
セルフコンパッションはその逆を行きます。
もし自分を責めそうな時には、
「私だけがこの失敗をするわけではない」
「そんな時もあるよ」
と自分をいたわってあげましょう。
もし親友が失敗した時、
その友人に対して
追い討ちをかける事はしないはずです。
必死に慰めるのでは無いでしょうか。
それを今度は自分のために行いましょう。
後悔を当たり前の事だと捉えて、
後悔からの被害を最小限に抑えましょう。
最後はセルフディスタンシングです。
提唱者はイーサンクロス教授で、
頭の中の反芻思考を止める方法として
客観的に自己を見つめる
という方法を説いています。
おわりに:
されど、
全くリスクの無い平坦な道、
後悔の無い人生もまた
寂しいのかも知れません。
本書から
後悔を味方につける良き方法
を学べました。
失敗の無い人生がありえないように、
後悔の無い人生もまたあり得ないでしょう。
しかし、
後悔からは「力」をもらえると
もう今の私たちは知っています。
失敗や後悔を恐れることなく
前を向いて進む力信じましょう。
大樋町
読書もいいけど、「聞く」のもおつなもの👇👇👇
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