第178回【書評】「価値」こそが全て!から学ぶ【利益は後から着いてくる】

読んだ本

はじめに:

企業は目先の「利益」より、
顧客のための「価値」を見いだせ!

本書では一貫して、
利益は後からついてくるのだから、
まずは自らが生み出す「価値」に
重点を置いて活動すべき。
と説いています。

本書の著者は
ハーバードビジネススクール(HBS)
の教授です。

経済の話と聞くと、
頭が痛くなりそうなのは
管理人も同じですが、
本書が言いたいことは
至ってシンプルで、
シンプルであること自体が
成功への第一歩でもあります。

HBSは、
多くのエグゼクティブが教室で議論した、
実用的なツールをたくさん持っており、
その中でも
「バリューベース戦略」
なるツールは特に優秀だとされています。

もし著者が数時間しか話す時間がないなら、
真っ先におすすめする戦略とツールがこの
バリューベース戦略です。

企業向けの話が多いものの、
価値を追求することの素晴らしさ
には感動すら覚えました。

利益ではなく、
価値を追求すれば、
利益は後でついてくる。
とは一体どういう意味で、
私たちはサービスや商品を提供する際、
どうすれば良いのでしょうか。

「ですます語調」で書かれた文体も好感触な
本ビジネス書から得た知見をアウトプットします!

学んだこと:

バリュースティックを理解して成功する

本書のコア部分、
バリューベース戦略
とはどういったものなのでしょうか。

直訳すると、
価値を基準にする。

バリューベース戦略を理解する上で、
まずは、
「バリュースティック」
と呼ばれる図形を理解する必要があります。
大袈裟な言い方をしましたが、
至ってシンプルな形をしており、
理解も容易です。
※それをうまく利用するのが簡単だとは
言っていませんが。笑

バリュースティックは
「アルファベットの大文字のI」
のような形をしています。

その上限には
WTPと記載します。
下限には
WTS
とう言葉が入ります。

上限に位置するWTPとは
Willingness to pay「支払意思額」
の略で、
お客様が、
製品やサービスに対して支払う上限額
を表します。

客は
企業が販売する商品や提供サービスに対し、
その支払額やサービス料金以上のものを感じる時、
WTPは上昇します。

会社の利益より、
客に提供できる価値を高めよ。
という考えのコア部分です。

下限に位置するWTSとは、
Willingness to sell「売却意思額」
の略で、
従業員や仕入れ先に言及したものです。

企業が仕事をより魅力的にすることで、
WTSは「下げる」ことができます。

仕事が危険なものであるなら
WTSは上昇し、
従業員はより多くの報酬を必要とします。

そして、
WTPとWTSの間にあるものこそが
企業が生み出す
「創造された価値」
と言うことになります。

客には
値段以上を提供しWTPを「上げる」。
そして
従業員へは
仕事の環境を整える事でWTSを「下げる」。
すると、
会社の価値はどんどん大きくなります。

自分の利益ではなく相手の価値を求めるべき理由

私は企業役員ではないので、
個人でバリューベース戦略を考えるなら、
注目すべきは、
WTSよりWTPだと考えます。

「自分の利益を追及するのではく、
 WTPを高めるため
 お客様への価値を高める努力をせよ。」
とは具体的にどういった事を
すればいいのでしょうか。

とある花屋さんが提供した価値とは

著者は体験した分かりやすい例を
ここでご紹介したいと思います。
とある「花屋」での出来事です。

著者は友人の誕生日プレゼントに、
花を送ろうと考えていました。
しかし、忙しさから
友人の誕生日が過ぎてしまったそうです。
友人の誕生日を忘れるとは中々の失態です。

直接渡すことが困難だと考えた著者は、
急いで花屋に電話して、
花を花屋から直接友人宅へ贈るよう
注文をしたところ、花屋さんからこんな提案が。

「私どもの不手際で遅れたのだと
 相手方にはお伝えしましょうか?」

著者は断りはしたものの、
今後の何かの花を購入する際には、
他の花屋を使う気にはもうならなず、
多少高くても、
この花屋さんのファンになったそうです。

嘘はいけません。
しかし、
この時対応した花屋さんは、
「自分の店の利益ではなく
 客に提供する価値を高める」行動
を取った結果、
客のWTPが向上、
今後大きな利益をもたらすファンを
お店側に引き込むことに成功しました。

著者は言います。
価値は、
顧客の満足度や歓喜を生み出します。
それが最終的に、
企業の利益をもたらすのです。

ソニーのリブリエはなぜアマゾンのKindleに負けたか

WTPを高めるためには、
使い手のことを考えるのが肝要である。
当たり前のようでいて、
実際には理解されておらず、
もしくは理解はしていても実行できず、
失敗をしている例があります。

電子書籍リーダー業界では、
AmazonのKindleが世界を席巻しています。

かつて、
ソニーも電子書籍リーダーを世に送りました。
当時、ソニーは家電製品のトップに立ち、
電子書籍業界へのマーケティングに対し、
Amazonの約2倍の費用
を投じたとも言われています。
出来上がった商品も、
最新技術が搭載された、
画期的商品であったのだそうです。

しかし、
最終的に勝ったのはAmazonでした。
ソニーが、
市場から撤退する羽目になったのは、
なぜだったのでしょうか。

答えはご想像の通り、
W TPを高める事ができなかった
のが原因です。

ソニーの打ち出した電子書籍リーダー
その名は「リブリエ」。
この電子書籍リーダーは、
本の代替品なのにも関わらず、
ワイヤレスではなかった
とそうです。

ユーザーは本を読む為に、
タイトルも少なく、
操作性も悪いストアから
電子書籍リーダーを「有線」でつなぎ、
わざわざダウンロードした後、転送しないと
本を読む事はできませんでした。
ホームウェアを更新する際には、
ハードをサポートセンターに
わざわざ物理的に送る必要もありました。

リーダーそのものの性能は
決して悪くなかったものの、
この「面倒くささ」は
顧客のWTPを著しく下げるものでした。

一方、
Kindleはその面倒くささを
指先一つの操作で可能
にしてしまいました。

実物の本のように、
手にとって栞から本を開けば
さっと読書を始められる。
自由に移動しながら、
体制を変えながら読むことができる。
ワイヤレスで、
指先一つで本を購入できる。

Kindleは、
顧客の立場で商品作りをし、
リブリエに圧勝しました。

WTPは、
良い商品を安く売る
だけで達成できるものではなく、
相手の立場で、
これは良いと「顧客歓喜」
を生み出すことで達成します。

もし自分の提供するサービスや商品が
この世から消えたら、
「誰が悲しむだろう」
と考えてみることが
顧客環境を生み出すWTP向上
に繋がります。 

ブラックベリーの自動圧縮ゴミ箱の失敗

実際は誰が使うかを考える。

ブラックベリーが打ち出した
「自動圧縮ゴミ箱」は実に魅力的な商品です。
ゴミ箱がいっぱいになれば、
ゴミを自動で圧縮し、
ゴミ箱が自分でスペースを確保してくれます。

この機能により、
ゴミの回収頻度減少、
それに伴う人件費削減などを
享受することができます。

市のゴミ箱を管理する衛生管理局は、
いち早くこの自動圧縮ゴミ箱を市に導入、
人件費の削除に乗り切りましたが、
実際にはうまくいきませんでした。

なぜなら、
この自動圧縮ゴミ箱は、
その機能を反映させるため、
ゴミ箱には「フタ」が設置されており、
それを「開けて」ゴミを捨てる必要
があったためです。

ゴミ箱に一度手を触れないと使えない為
そもそも市民はこのゴミ箱を
使わなかったのです。
ゴミを捨てられないゴミ箱に
存在意義はなく、
この事業は一度失敗しました。

初期の自動圧縮ゴミ箱は、
市の衛生管理局のWTPは下げましたが、
市民のWTPを上昇させたため、
すぐさま売り上げ上昇は頓挫しました。

そこでブラックベリーは、
足で踏めばフタが開く「ペダル」
を設置することで対処しました。

手を触れることなく
ゴミを捨てられる第二作のゴミ箱は
市民に受け入れられ、
ブラックベリー的には成功を収めた模様です。

何かを提供する立場に立った時、
買い手と売り手だけで同意があっても
事業はうまくいかない。
ことの良い例だと思います。

実際に誰が使うのか?
サービスを受けるのは誰なのか?
真に価値を高める為には、
そこまでを考慮する必要があります。

おわりに:

本書の内容は企業向けではあるものの、
このブログでは、
「個人でも使えそうなノウハウ」
を切り取って見てみました。

顧客が受け取る「価値」を
追求することが最優先。
それができれば
自分の利益は後からついてくる。
ブログを運営する上で、
管理人は本当にそれを
実践できていたでしょうか。

ブログ内では、
どこに広告を貼り付けるか?
商品をポチってもらうには
記事の最後にリンクを貼った方がいいか?
などの小手先の作戦を
優先していた気がします。

真に取り組むべきは、
読んでもらえる内容や構造、
読みやすいフォント、
などを真剣に考えて、
読者のWTPを上がることである
と学びました。
身にしみる言葉です。

何かを提供する立場にある人は、
ぜひ一度手にとって欲しい本です。

大樋町

管理人
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大樋町

初めまして。
大樋町と申します。
「おおひまち」と読みます。
北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
良い本は心の友。
私の友人たち(愛読書)から学んだことをアウトプットする場としてブログを書いております。
毎週、月曜日にブログを更新中。(少ないw)
ありがたい事に、
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