第136回【書評】反脆弱性から学ぶ【何が起こるか分からない世界を生きる知識】

読んだ本
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はじめに:

東日本大震災、
リーマンショック、
ロシア・ウクライナ問題、
台湾有事。

災害や経済危機、戦争は、
いつ何時起こるか分からず、
被害が一体どれくらい
自分に影響するのかも皆目見当がつきません。
そしてその世の中を
私たちは生き抜かねばなりません。

どうやれば、
災害や戦争や不況などに代表される
ランダム性、衝撃、変動性などを孕んだ事象から
我が身を守ることができるのでしょうか。

「そんなことはできない。」
と匙を投げることなく、
唯一の方法を導き出したのは
心理学者でした。

確かに、
ランダム性や変動性を
予測することは不可能。
しかし、
それらから身を守る事自体は、
決して難しいことではない。
と著者は説きます。

変化が著しい昨今、
今こそ必要な「反脆弱性」とは何か?

何とも難解な本ではありましたが、
今回は上下巻のうち
「上巻」に絞って、
学んだことをアウトプットします。

学んだこと:

反脆弱性とは

まずは「反脆弱性」という言葉を理解する上で
必須の概念「トライアド」の説明です。

三つ組(トライアド)とも書くこの言葉の中身は

・脆弱
・頑健
・反脆弱性

の3つから成り立っています。

脆弱とはそのまま脆いものを指します。
ガラスや借金を背負った人など。
容易に砕け散ってしまいます。

頑健も分かりやすいです。
固くて壊れにくいものを指します。

ここでのポイントは、
脆いという言葉の反対は
「頑健さではない」ということです。
頑健であることや
忍耐強さや丈夫であることは
反脆弱性の意味を指しませんので注意です。

さて、
では反脆弱性とはどんな概念か?
本書では「郵便屋さん」の例えが示されています。

もし、あなたが郵便屋さんで、
目の前に小包があるとして、
中身が「脆い」ものであるなら、
きっとあなたは
「取扱い注意」のシールを貼り、
「丁寧に扱って下さい」のスタンプ
押すことでしょう。

では中身が頑健なものなら?
そうなんです。
あなたは、
シールやスタンプを「押さない」のです。
それだけです。
シールやスタンプがなければ、
配達員は中身が壊れにくいものだと分かります。

頑健さが脆いの反対なら、
「取り扱い不注意」のシール
を貼らなければなりません。
そして、
「手荒に取り扱ってください」
のスタンプが必要ですが、
そんなものが押してある小包は
見たことがないはずです。

そして、
反脆弱性とは、
この「取扱い不注意」のシールが貼られた
小包を指します。
この小包は、
乱暴に扱えば扱うほど
中身にとっては有利な事が起こります。

マイナスやストレスが、
自己にとってプラスに働くもの。
これこそが反脆弱性です。

一般的にはマイナスとされているようなことも
プラスに働く性質なんてものが
世の中にあるのか?
次に例をいくつか見てみようと思います。

ストレスは情報

一般的にマイナスと取られる様な物事を
自分のプラスに変換してしまう。
これが反脆弱性、反脆い(はんもろい)だと説明しました。

小包の話は置いておいて、
そんなものが世の中に存在するのか?
と聞かれれば、
案外身近にその例を見ることができます。

例えば人間の「身体」です。
身体にとってストレスは情報です。
四六時中、部屋の中で座ってだらだらしていては
身体がなまってしまいます。
ある程度、身体にストレスを与えるからこそ、
身体機能は維持できます。

ボディビルダーは、
筋肉にあえて過度なストレスを与えて、
筋力をアップさせます。
よって人間の身体は反脆いと言えるでしょう。

また、
ライオンは生んだ子を崖から落とし、
よじ登れた子だけを育てる。
という話を聞いたことがあるかと思います。

これも反脆いにつながる事象です。
子を失ったライオンにしてみれば
せっかく生んだ子供を失うのは
マイナスの出来事です。
しかし、
個ではなく、ライオンという種族全体で見てみると、
崖から這い上がれた強い遺伝子のみが残り、
その種(今回はライオン)自体は強くなっていきます。
種全体から見てみれば、
ストレスは種を強化してくれる
情報でしかないのです。

このように、
「個」よりも「もう一段上の存在」
に目を向けると、
案外、今起こっていることも
マイナスではないかも知れない。
と見直すことができることができます。

山を自然に任せておくと、
小さな火事がたびたび起こります。
小さな火事で
燃えやすいものをまめに消しておけば、
大火事を防ぐことができるという
自然の機能だといいます。
下手に山を人工的に管理してしまうと、
小さな火事が起きなくなり、
結果、一度火がつくと、
手が着けられないくらいの「大火事」
につながってしまいます。
一回一回の小さな山火事は、
確かにマイナスのことかも知れませんが、
大きな目で見てみると、
やはりマイナスはプラスに転じています。

経済もそうだと著者は言います。
不景気において、
弱小企業やベンチャー企業が
リストラを余儀なくされたり、
もっと酷いと倒産したりします。
しかし、
強い企業が生き残り、国の企業自体は強くなる
と考えれば、
不景気すらもプラスの捉えることができるのです。

反脆弱性の特徴は、
「取扱不注意」の環境を
歓迎することができるのです。

どうやってランダム性を乗り切るか

難解な「反脆弱性」。
ちょっとだけ理解できたら、
次は具体的にどんなことをすれば、
反脆弱性を自分のこととして利用できるのか?
を説明してみます。

感情と上手く付き合う

本書には登場しませんが、
ケリーマクゴニガル先生は著書で
「ストレスとは自分の大事なものが
脅かされている状態」と説明しました。

ストレスは、
私達に何が大切かを指し示す
羅針盤
の様な働きをする。
と考えれば、
ストレスを自分で利用することができます。

ストレスだけではなく、
一般的にマイナスとされる感情にも
役割があるからこそ、
進化の過程において、
消滅することなく、
現代にも残っていると考えられます。
例えば「不安」という感情も、
不安が警告となって、
私達の身を守ってくれています。

ストレスのような「マイナス感情」までも、
その意味まで理解すれば、
自分の糧とすることができます。
もちろん限度はあるものの、
ストレスが発生すればするほど、
そのストレスに対処することで、
私達の人生はどんどんと輝いていくことでしょう。

何かマイナスは事象が起こっても、
また成長できる、やったー!」
と思えるなら、その人は
反脆弱性を備えているのかも知れません。

先に「脆い」を何とかする

未来を予言することは難しい。
著者ははっきりとそう述べています。
しかし、冒頭で述べたとおり、
「脆弱」な部分を直すこと、
弱い部分に気づき備えること
予言・予測を頼りにするより、
ずっと簡単だといいます。

これを「経路依存性」と呼びます。

自分の「脆さ」は、
自分が一番良くわかっている。
それを先に対処しておく事が肝要です。

麻酔を打ってから手術する。
手術してから麻酔を打つ。
結果「だけ」を見ると同じですが、
実際には天と地ほどの違いがあります。

デザートとコーヒーの後に
メインディッシュを食べる。
これも結果だけを見ると同じですが、
まったく楽しさは異なります。

先に脆さを是正しないと、
その上にいくら良いことを積み上げても、
足元から崩れ去っては意味がないのです。

会社で実績を築く前に、
自分がリストラされないか、
しっかりと足場を固めてから
動かなければ、
いくら利益を上げても、
生き残らなければ意味はありません。

今自分が力を入れていることが、
はたして「経路依存性」の視点から見て
理に適っているか見極めるのが
反脆さに繋がります。
まずは「脆さ」を対処するのです。

オプション性を利用する

オプションとは英語で「選択肢」の意。
本書においては、
「権利はあるが義務はない」
ことを指します。

一見「?」となるオプション性ですが、
ここでも例えで説明したいと思います。

とはる哲学者が、
オリーブオイルの搾油機で大儲けを出しました。
オリーブが豊作になる年、
前も持って町の全ての搾油機を借り上げ、
オリーブ栽培者に搾油機を貸し出す。
という方法で儲けを出したのです。
もちろん現代ではなく大昔の話ではありますが、
ここにオプション性の特徴が現れています。

搾油機を借りるにも費用は掛かりますが、
自分の想定の範囲内に収まります。
対して、貸し出しで得る利益は青天井で、
貸し出せば貸し出すほど利益が上がります。
完全にリスクより得るものが多い状況です。

支払いの義務はない(限度がある)が、
利益を上げる権利はある。という状態。
これには反脆さがあります。

私生活の中で見ると、
参加自由のパーティーは反脆いです。
行きたかったら行けばいいし、
他にもっと楽しい行事があるなら、
そこへいけばいいのです。
参加自由なので、
そのパーティーへ行く義務はありません。
行事を楽しむ権利だけを持っている状態です。

このオプション性を私なりに解釈すると、
色々な場面で応用できることに気づきました。

例えば「災害に対する備え」です。
地下室に一ヶ月分の非常食や
ライト、簡易トイレなどの備えを準備したところで、
かかる費用は目に見えています。
しかし、
なんの準備もなく大規模な災害が発生して
危害を被れば命に関わります。
被害は青天井です。

実際に災害が起こることは
専門家でも予言はできません。
それに備えること自体は別に難しいことでは
ないのかも知れません。

オプション性を意識するだけでも、
毎日の見え方がずいぶんと変わってきます。

ひょっとしたら、
You Tubeやブログにも
オプション性はあるのかも知れません。
かかる費用は目に見えていますが、
リターンは青天井です。

終わりに:

難解な反脆弱性という言葉。
マイナスをも利益と捉える考え方は斬新で、
社会の物事や自分のことも、
まるで違う見え方ができるのは
目からウロコでした。

不確実性は、排除するのではなく、手懐ける。

言葉にすると簡単そうですが、
その実は中々に難しいです。

感情を手懐けるために、
恐怖を思慮深さに、
苦しみを教訓に、
過ちをきっかけに、
そして、
欲望を実行に変える。

反脆弱性は、
私達に
「マイナスを歓迎する動機」
をくれます。

大樋町

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大樋町

初めまして。
大樋町と申します。
「おおひまち」と読みます。
北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
良い本は心の友。
私の友人たち(愛読書)から学んだことをアウトプットする場としてブログを書いております。
毎週、月曜日にブログを更新中。(少ないw)

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