第273回:陰謀論にハマる前に知っておきたい「考える力」──ネガティヴ・ケイパビリティという処方箋

読んだ本

陰謀論にハマらないための思考法とは?🌀

──『ネガティヴ・ケイパビリティで生きる』で学ぶ、アテンション・エコノミー時代の処方箋


🧩 なぜ陰謀論がこれほど広がるのか?

SNSや動画サイトを見ていると、必ずと言っていいほど目にする「陰謀論」。
政府やメディア、ワクチン、戦争――これらを巡って「裏で操作されている」「本当の真実は隠されている」と語る声が絶えません。

なぜこうした“説明”に、人々はこれほど惹かれてしまうのでしょうか?
谷川嘉浩著『ネガティヴ・ケイパビリティで生きる』(講談社現代新書、2023年)は、その核心に切り込みます。


📕 ネガティヴ・ケイパビリティとは?

本書のテーマである「ネガティヴ・ケイパビリティ(Negative Capability)」とは、19世紀の詩人ジョン・キーツが用いた表現で、

「不確実性、疑い、理解不能さの中に耐えながら、判断を保留し続ける能力」

と定義されます。

谷川氏は、現代社会でこの力が極端に不足していることを指摘します。
そしてその結果として、陰謀論のような「わかりやすく・単純な説明」に人が飛びついてしまう、と論じています。


👁 陰謀論にハマる心理的メカニズム

⚠️ 不安の解消を「意図」に求める

人は不安を感じたとき、それを解消するために「誰かの意図」を探します。
「何か裏があるに違いない」という発想は、不安に耐えきれずに意味を欲する心の表れです。

しかし現実は、必ずしも誰かが意図的に動かしているとは限りません。
むしろ、偶然や制度的な仕組みによって複雑に動いているのが社会です。


🧠 「インテンション(意図性)」の過剰な読み込み

谷川氏は、「意図があるはずだ」「誰かが仕組んだはずだ」といった思考に警鐘を鳴らしています。
これは、不確かさに耐えられず、「誰かが原因を作った」と思いたい欲望の現れです。

陰謀論とはまさに、「世界の出来事はすべて誰かの意図によって生じている」という過剰なインテンション読み込みによって支えられているのです。


📱 アテンション・エコノミーの罠

さらに現代では、SNSや動画アルゴリズムによって、人の注意(アテンション)が「強い刺激」へと集中するように設計されています。
このアテンション・エコノミーの中では、驚き・怒り・陰謀といったコンテンツが拡散されやすくなります。

  • 「世界は支配されている」

  • 「本当のことを言ってはいけない」

  • 「マスコミは全部ウソ」

こうした刺激の強い言説は、たとえ真実でなくても人々の関心を集め、クリックされ、信じられていくのです。


🛡 ではどうすれば陰謀論に巻き込まれずに済むのか?

谷川氏の提案する「ネガティヴ・ケイパビリティ」に基づいて、現代を生きる私たちが実際に取るべき行動を明確に5つ示します。


✅ 具体策1:わからないことを「わからないまま」にしておく訓練

陰謀論にハマる人の共通点は、「すぐに答えを求めてしまう」こと。
不確実さに耐えられないため、納得感のあるフィクションに飛びついてしまうのです。

🟢 実践方法:

  • 情報を見たとき、「これはまだ判断できない」と一呼吸置く

  • すぐにSNSで拡散せず、「保留する」ボタンを自分に持たせる

  • 「確からしさ」ではなく「確認できる根拠があるか」で考える


✅ 具体策2:単純すぎるストーリーはまず疑う

「善vs悪」「支配者vs庶民」といった単純な構図は、とても魅力的です。
でもその背後にある社会の複雑さを考慮しない説明は、危険です。

🟢 実践方法:

  • 「こんなにわかりやすいのは逆に怪しい」と自問する

  • 「他の視点はないか?」「誰が語っているか?」をチェックする

  • 一次情報や複数の立場に触れる


✅ 具体策3:問いを「解こう」とせず、「持ち続ける」

「問いを問いのまま持ち続ける」というのは、哲学の基本姿勢であり、ネガティヴ・ケイパビリティそのものです。

🟢 実践方法:

  • 「なぜそう感じたのか?」をメモする習慣をつける

  • 問いに対して「中間の答え」を持つ(=未完成の理解を許す)

  • 結論を急がず「まだ探している」という状態を楽しむ


✅ 具体策4:他者の考えと「違い」を意識的に取り入れる

陰謀論にハマる思考は、「同じ意見しか見ない」「閉じた情報環境」で育まれます。

🟢 実践方法:

  • 自分と逆の意見を意識的に検索して読む

  • 対話の中で「自分とは違う考え方」に触れる機会を増やす

  • SNSのフォロー・タイムラインを多様化する


✅ 具体策5:不安と「共に生きる力」を育てる

不安を感じたとき、すぐに解消しようとするのではなく、その不安と丁寧につき合う力が必要です。

🟢 実践方法:

  • 不安を書き出し、「不安であること」に名前をつける

  • 日常に「思考の余白(間)」を作る(散歩・読書・手書きなど)

  • 不安や曖昧さは「人間らしさ」として捉え、否定しない


💡 まとめ:陰謀論に強くなるとは、心を鍛えること

陰謀論に強くなることは、単に「知識を増やすこと」ではありません。
それはむしろ、

「わからないことに耐えること」
「答えを急がないこと」
「異なる視点を受け入れること」

といった、心の構えを鍛えることなのです。

谷川嘉浩氏が示す「ネガティヴ・ケイパビリティ」は、そうした生き方の知恵を現代人に提示してくれます。

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大樋町

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大樋町と申します。
「おおひまち」と読みます。
北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
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