はじめに:なぜ私たちはスマホで「買ってしまう」のか?📱
スマホは、もはや単なる便利な道具ではありません。
買い物をする。
動画を見る。
店を探す。
SNSを見る。
予約をする。
商品を比較する。
私たちの生活のかなりの部分が、スマホの中で完結するようになりました。
当然、マーケティングの世界でも、スマートフォンの存在は無視できません。
今回読んだ本で興味深かったのが、
「人は、いつ、どこで、どんな状況ならスマホをTAPするのか?」
という考え方です。
スマホをタップするという、ごく小さな行動。
しかし、その裏には、
「今どこにいるのか」
「何時なのか」
「誰と一緒なのか」
「どんな気分なのか」
「過去に何をしてきたのか」
といった、さまざまな要因が隠れています。
今回は本書から学んだ、
「スマホで人が行動する理由」
についてアウトプットしてみたいと思います。
スマホマーケティングでは「データの道」が生まれる
私たちがスマホを通して、
商品を見る。
広告をタップする。
店を検索する。
購入する。
こうした行動をすると、企業側にはさまざまなデータが蓄積されます。
本書では、このようなスマホと企業との間に生まれる情報のつながりを通して、より細かなマーケティングが可能になると説明されています。
例えば、
- どこにいるのか
- 何時に利用したのか
- どんな商品を見たのか
- 過去にどんな行動をしたのか
- どんな状況で反応したのか
などです。
これらを分析することで、
その人の「今」に合った情報を提供できる
可能性が生まれます。
以前の広告が、
「30代男性にこの商品を売ろう」
という発想だったとすれば、
スマホマーケティングでは、
「この人は今、仕事帰りで、駅の近くにいて、この商品を必要としているかもしれない」
というところまで考えられるわけです。
これはかなり大きな違いです。
個人情報を渡したくない。でも便利な情報は欲しい🤔
もちろん、スマートフォンを利用したマーケティングには問題もあります。
代表的なのが、
プライバシーや個人情報の問題
でしょう。
「自分の情報を企業に知られたくない」
そう考える人は少なくありません。
一方で私たちは、
「自分に関係のない広告ばかり表示されるのも嫌だ」
とも感じます。
ここには、人間のおもしろい矛盾があります。
例えば、
- 広告は邪魔だけれど、お得な情報は欲しい
- 個人情報は渡したくないけれど、自分好みの商品は紹介してほしい
- 選択肢は多い方がいいけれど、多すぎると選べない
- プライバシーは守りたいけれど、便利なサービスは利用したい
というようなものです。
つまり、
「情報を渡したくない」と「自分に合った便利なサービスが欲しい」が同時に存在する
わけです。
だからこそ、モバイル広告は難しい。
やり方を間違えれば、
「監視されているみたいで怖い」
「広告がしつこい」
と思われてしまいます。
逆に、適切なタイミングで適切な情報を提供できれば、
広告ではなく「便利な案内役」
として受け取ってもらえる可能性があります。
スマホで人を動かす「9つの力」
本書では、スマートフォンを通した購買行動に影響する要素として、次の9つが取り上げられています。
- 状況
- 場所
- 時間
- 顕著性
- 混雑度
- 行動履歴
- 社会的関係
- 天気
- テックミックス(端末と広告フォーマット)
「そんなところまで関係するの?」
と思うものもありますよね。
しかし、考えてみれば私たちも、
雨の日と晴れの日。
平日と休日。
一人の時と友達といる時。
まったく同じ行動をするわけではありません。
つまりマーケティングでは、
「誰に売るか」だけを見るのでは不十分
ということです。
ここからは、特に印象に残ったものを紹介します。
①「状況」をおさえる
最初は、
状況(コンテクスト)
です。
これは今回の本の中でも、かなり重要な考え方だと感じました。
コンテクストとは?
簡単に言えば、
「その人が今、どんな状況にいるのか」
ということです。
従来のマーケティングでは、
- 年齢
- 性別
- 年収
- 職業
など、
「どんな人なのか」
という属性が重視されてきました。
もちろん、これも重要です。
しかしスマートフォン時代では、それだけでは足りません。
同じ47歳の男性であっても、
仕事帰りなのか。
休日なのか。
友人といるのか。
一人なのか。
急いでいるのか。
暇なのか。
これだけで欲しいものは変わります。
同じ「服を買う」でも状況は違う
例えば、同じ人が服を買う場合でも、
「仕事を頑張った自分へのご褒美」
なのか、
「ストレス発散の衝動買い」
なのか、
「来月の同窓会に着ていく服を本気で選びたい」
なのかでは、まったく意味が違います。
人間は、
「どんな人なのか」だけではなく、「今どんな状況なのか」によって意思決定を変える
ということです。
YouTubeにも応用できる📺
これは個人的に、
YouTubeにもかなり応用できる考え方
だと思いました。
例えば私が作っている、
「40代のためのR&B DJ MIX」
を考えてみます。
「40代」という属性だけを狙うのであれば、
40代向け 90s R&B MIX
となります。
しかし「状況」を考えると、
- 仕事終わりにリラックスしたい
- 夜のドライブ中に聴きたい
- 家事をしながら流したい
- 昔を懐かしみたい
- お酒を飲みながらゆっくり聴きたい
など、さまざまな視聴シーンが見えてきます。
そこで、
「仕事帰りに聴きたい90s R&B」
「夜のドライブで聴くR&B MIX」
「40代が青春を思い出すR&B」
といった表現にすると、
視聴者自身が、
「あ、これは今の自分に合っている」
と感じやすくなります。
これはタイトルだけでなく、サムネイルにも応用できそうです。
状況についてのポイント
人は「どんな人か」だけではなく、「今どんな状況にいるか」によって行動を変える。
この考え方は覚えておきたいところです。
②「場所」が購買行動を変える📍
続いて、
場所(ロケーション)
です。
これもスマートフォンならではの要素です。
GPSなどの位置情報を利用できるため、
「今その人がどこにいるのか」
によって、提供する情報を変えられるようになりました。
場所は「行動の意図」を知るヒントになる
場所というのは、単なる住所ではありません。
例えば、
- 今どこにいるのか
- 店からどのくらい離れているのか
- どこかへ移動している途中なのか
- その場所で何をしようとしているのか
といったことを推測する手掛かりにもなります。
つまり、
「場所」から、その人が今何をしたいのかを考えられる
ということです。
距離が離れるほど広告効果も変わる
本書では、店舗と顧客との距離についても調査が紹介されています。
当然といえば当然ですが、
いくら魅力的な広告でも、
店があまりにも遠ければ、
「わざわざ行こう」
とはなかなかなりません。
本書で紹介されている調査では、店舗との距離が離れるにつれて広告効果が低下する傾向が示されています。
ここから分かるのは、
広告そのものの魅力だけでなく、「近い」という条件そのものにも価値がある
ということです。
人は必ずしも「安さ」だけでは動かない
では遠くにいるお客さんを店まで呼ぶにはどうすればいいのでしょう。
真っ先に思いつくのは、
値段を安くする
という方法です。
しかし、それだけで人が動くとは限りません。
例えば、いつもの帰宅ルートにある店なら立ち寄るけれど、
帰宅方向とは逆にある店には、
多少安くても行かない。
これは十分あり得ます。
人間は価格だけではなく、
習慣や移動のしやすさ
にも大きく影響されているわけです。
YouTubeなら「どこで見るか」を考える
YouTubeには店舗のような距離はありません。
それでも、
「どこで視聴される動画なのか」
を考えることはできます。
例えばR&B MIXなら、
- 車の中
- 自宅のリビング
- 作業中
- ジム
- 夜の部屋
などがあります。
すると、
単に、
「90s R&B MIX」
とするより、
「夜のドライブで聴きたいR&B」
「休日の部屋で流したいR&B」
というように、
利用する場所まで想像させる
という発想が生まれます。
マーケティングからYouTubeを考えると、こういう視点も出てくるのがおもしろいところです。
③「時間」に着目する⏰
次に印象的だったのが、
時間
です。
時間と一言で言っても、
マーケティングではいくつかの意味があります。
例えば、
- 時刻
- 曜日
- 広告を出す期間
- キャンペーンの期限
などです。
同じ広告であっても、
「いつ見せるか」によって反応が変わる
可能性があります。
商品によって反応しやすい時間帯が違う
本書では、商品や広告の性質によって、時間帯による反応の違いが紹介されています。
例えば、
実用性を重視する商品と、
楽しみ・娯楽を重視する商品では、
同じ時間に広告を出しても反応が違うという考え方です。
これは少し考えてみると納得できます。
朝から仕事に行こうとしている人と、
休日の昼にスマホを眺めている人では、
頭のモードが違います。
仕事モードの時に、
「休日を楽しもう!」
と言われても響きにくいかもしれません。
反対に休日の午後に、
「仕事の効率アップ!」
と言われても、
「今は仕事のことを考えたくない」
となるかもしれません。
つまり、
商品と広告だけでなく「見る人の時間帯」まで組み合わせて考える必要がある
ということです。
「実用性」より「楽しさ」が響く場合もある
本書では広告の見せ方、
いわゆるフレーミングについても触れられています。
同じ商品でも、
「仕事で役立ちます!」
と伝える場合と、
「休日をもっと楽しめます!」
と伝える場合では、
受け取られ方が変わります。
商品そのものは同じでも、
何を強調するかによって、人間の反応は変わる
わけです。
これは広告に限らず、
ブログタイトルやYouTubeのタイトルにも使えそうな考え方です。
曜日によっても人の行動は変わる📅
さらに面白いのが、
曜日
です。
本書ではスーパーのクーポンなどを例に、
送る曜日によって利用率が変化するケースが紹介されています。
ここで重要なのは、
単純に、
「○曜日が最強!」
ということではありません。
利用者の生活リズムによって、
反応しやすい曜日が変わる
という点です。
例えば、
平日に買い物しやすい人。
週末にまとめ買いする人。
給料日のあとに買う人。
仕事が休みの日にスマホを見る人。
ターゲットとなる人の生活を想像すれば、
「いつ情報を届けるべきか」
という答えも変わります。
「今すぐ欲しい人」と「なんとなく探している人」は違う
顧客の状態についても興味深い考え方があります。
大きく分けると、
欲しいものが明確に決まっている人
と、
特に目的はなく、良いものがあれば欲しい人
です。
例えば、
「黒い革靴を買わなければいけない」
という人は目的が明確です。
一方、
休日にショッピングモールを歩きながら、
「何かいいものないかな」
と探している人もいます。
後者には、
娯楽的・快楽的な商品の方が刺さりやすい場合があります。
つまり、
同じ人でも「買う気満々の時」と「なんとなく見ている時」では、売り方を変える必要がある
ということです。
クーポンは「場所×期限」で考える🎫
本書の中で特に分かりやすかったのが、
映画館の割引クーポンに関する例です。
考え方としては、
- 店舗に近い+期限が短い
- 店舗に近い+期限に余裕がある
- 店舗から遠い+期限が短い
- 店舗から遠い+期限に余裕がある
といったように、
場所と時間を組み合わせる
わけです。
店のすぐ近くにいる人なら、
「今日まで!」
というクーポンでも、
「じゃあ今行こう」
となりやすい。
しかし遠くにいる人に、
「あと1時間で終了!」
と言われても、
そもそも間に合いません。
一方、ある程度時間に余裕があれば、
「明日行ってみようかな」
という選択肢が生まれます。
ここでも、
広告は内容だけでなく、その人の状況との組み合わせが重要
だと分かります。
マーケティングは「売る技術」だけではない
ここまで読んで感じたのは、
マーケティングというと、
「どうやって商品を売るか」
という話に思えますが、
本当はもう少し広いということです。
相手が今、何を必要としているのかを考える。
そのために、
状況を見る。
場所を見る。
時間を見る。
そして必要なタイミングで、
必要な情報を届ける。
それがうまくいけば、
広告は「邪魔なもの」から、
コンシェルジュのような存在
に変わる可能性があります。
逆に、
必要のないタイミングで、
必要のない情報を、
何度もしつこく表示すれば、
広告は一気に「脅威」になります。
この差はかなり大きいと思います。
個人もマーケティングを学ぶ時代になった
昔なら、
「マーケティングなんて企業が勉強するもの」
だったかもしれません。
しかし今は違います。
YouTubeをやる人。
ブログを書く人。
SNSで発信する人。
ハンドメイド作品を販売する人。
フリマアプリで物を売る人。
副業で自分の商品やサービスを提供する人。
誰でも、
小さなマーケター
になる時代です。
だからこそ、
「どうすれば売れるのか?」
だけでなく、
「相手は今、どんな状況なのか?」
という視点を持つことは、個人にも役立つと思います。
おわりに:スマホの向こう側に「人」がいる
スマホマーケティングについて詳しく解説した本書。
紹介されている研究には時代背景を考慮して読む必要がある部分もありますが、
非常に興味深かったのは、
人間の心理とスマートフォン上の行動を結びつけて考えていること
でした。
人は、
価格だけで買うわけではありません。
広告が派手だからクリックするわけでもありません。
状況、場所、時間、周囲の人、過去の行動、天気など、さまざまな要因の中で意思決定しています。
スマホの画面ばかりを見ていると、
ついつい、
「CTR」
「クリック数」
「再生数」
「購入率」
といった数字ばかりに目が向いてしまいます。
しかし、その数字の向こう側には、
生活している一人の人間がいます。
「この人は、今どんな状況なんだろう?」
そこまで想像できるようになることが、
マーケティングでは大切なのかもしれません。
今回学んだ、
スマホで人を動かす9つの力
の中でも、まずは、
「状況・場所・時間」
この3つを、自分のブログやYouTubeでも意識してみたいと思います。

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