はじめに:
運動には、
ストレス発散や精神的な病の治療効果
があることは既知の方も多いと思います。
本書は、
そこからもう一歩踏み込んで、
具体的にどんな動き(ムーブ)が効果的なのか
を教えてくれます。
言わずもがな、
脳は進化を続けて今の姿になりましたが、
その理由は?と聞かれた時、
それは『体を動かすため』だ
と回答できる人は少ないかもしれません。
狩猟採集の時代を長く生きた
私たちの先祖は、
歩く、走る、飛び跳ねる
などの運動をただこなせば、
肉や木の実などの食料が
手に入ったわけではありません。
食べるためには、
狩りの相手がどこに潜み、
どんな動きをし、
どんな反撃をしてくるのか?
狩場に行き着くまでに、
どこで飲み水を確保し、
帰路はちゃんと覚えているか
など複雑な思考が必要であり、
それを可能とするため脳は今の大きさ
に進化したと言います。
といことは、
塞ぎ込みたいほどの不安やストレスには、
動きが脳に効く
という説にも納得がいきます。
本書内には、
うんざりする大学の講義中に、
ダンス心理学者が、
学生に踊りを踊らせた所、
雰囲気がどっと明るくなった
との体験話も出てきます。
動きが感情や精神を反応させる。
これを自分の良い方向に使えば
これからの人生でも
大いに役に立つはずです。
一体どんなムーブ(動き)が
脳に効くのか?
管理人が得に知見を得た3点を
アウトプットします!
学んだこと:
一定のリズムで歩く
歩くことは脳にいい。
ここだけ聞くと、
普段から歩いているけど、
そこまで脳に効いているとは感じられない。
と訴える人がいると思います。
それもそのはず。
古代、人間が狩猟採集により、
生計を立てていた時代。
彼らが一日中歩いて過ごしていたのに対し、
現代人は、
あまりに動かな過ぎである。
と著者は指摘しています。
家では
ソファーに座ってゆったり過ごす。
仕事中であっても
オフィス内では、
そのほとんどの時間を座って過ごす。
この量では十分な歩行とは言えないようです。
明確な距離や時間は示されていないものの、
有効な歩き方として示されているのは
「心拍数と同期した歩行」
です。
多くの場合、
1分間に120歩、
1秒毎に2歩のペースで歩くと
脳にはテキメンに効果があります。
この動きは、
感情面に特に効果を発揮し、
落ち込んでいる気分を
上向きにしれくれたり、
ストレスの発散に寄与します。
チャールズ・ダーウィンが
散歩をこよなく愛し、
散歩中に進化論を閃いた事実
が例して示されていますが、
心拍数と同期した歩行は、
認知力を向上させ、
閃きを助けてくれる効果まであります。
歩く=重力に逆らう行動は、
オステオカルシン
と呼ばれるホルモンを
骨から分泌させます。
これは記憶力を向上させ、
老後の認知症対策にもなり得る
と言われています。
現代人は
『座る』ことに
重きを置き過ぎなのでしょう。
もっと動きを求めて、もっと外へ。
歩行は、
人生を変えてくれる可能性を秘めています。
悩みを抱えたら、
重きって散歩に出かけ得た方が
解決策には早く辿りつけそうです。
筋肉=自信
身体を鍛えることは
心のバネを鍛えるのと同義。
よく聞く、
筋骨隆々になれば、
その見た目の壮観さから
自己効力感が上がったり、
自信がついたりする。
という話だけではない様です。
本書では、
ジムで激しい筋力アップをしなくても、
「筋力を使う動き」により
自信を取り戻すことができる
と説明されています。
と言うのも、
当然ながら人間には、
鍛えてなくとも筋肉は存在します。
だからこそ普通に歩いたり、
走ったりできるといった話はもちろん、
例え歩けない人がいたとしても
その人の身体には筋肉が存在します。
極端な言い方をすれば、
例え「骨と皮」だけの様な体型でも、
筋肉は存在しているのです。
このブログでは
この知見を重点的に見ていきます。
体を鍛えていない人でも、
例えば転びそうになった時などに、
身体の至る所に存在する筋肉に
気づくことがあると思います。
自己啓発的な言葉は嫌いですが、
敢えて使うなら、
「あなたにはもともと
自分が思っている以上に強い」
というのが著者の意見です。
というのも、
私たちの意識が、
筋肉にかかる負荷を見誤った時のため
筋肉はその力を
毎回100%使い切るなんてことはせず、
常に余力を残している。
という事です。
力の何割は、
常にバックアップしてあるため、
筋トレに慣れていない人でも
ウェイトリフティングをすると
筋肉が太くならなくても、
元来備わっている
予備の筋肉が使われ、
ある程度のパワーを
引き出すことができます。
体を鍛える。と聞くと、
筋骨隆々になる必要がある。
と想像しがちですが、
普段から、
ほんのちょっと筋肉に負荷をかける
だけでも、
天然のブレーキを解除し、
予備の力を呼び起こして
力を発揮することができます。
筋トレとまではいかなくとも、
日頃から筋力を使うことで、
連鎖的に運動ニューロンが
筋肉内で広がり始め、
一度に接続できる筋肉繊維の量も
徐々に増えていきます。
繰り返しになりますが、
何もジムトレーニングに励み、
筋骨隆々のキン肉マンを目指さなくても、
筋肉を意識し、
それを使うことを意識すれば、
徐々に筋力はその量を増し、
それは自信につながり、
人生をより良い方向へ導いてくれるでしょう。
ストレッチ効果の再確認
ストレッチは、
凝り固まった筋肉を伸ばす
一連の作業では済まされない、
素晴らしい効果が期待できる。
と本書では述べられています。
ストレッチは、
運動の前後、
身体を壊さないように、
「やらなければならない事」
とみなされがちですが、
著者に言わせると、
ストレッチとは
もっと気持ちが良いもので、
身体全域に影響を与え、
細胞レベルの変化をもたらし、
心と体の健康に
多大な影響を与えている
と言うのです。
着目すべきは、
「ファシア」と呼ばれる存在です。
筋膜とも訳されますが、
筋肉や内臓を覆っている、
天然の袋の様なゼラチン質の
人体結合組織で、
簡単に例えると、
私たちの身体を一つに繋ぎ合わせています。
かつては、
身体を繋ぎ合わせている
それ以上のものではない。
と見向きもされていなかったものですが、
現代では、
代替医療業界の最新流行語で、
盛んに研究がされ、
その重要性が解明されつつある様です。
ストレッチは、
このファシアに働きかける活動
とも言え、
「炎症を抑える」
事ができると考えられています。
炎症を抑えるメカニズムは、
ファシアに対するストレッチと、
『鍼治療』のメカニズムが似ている
事から説明ができます。
鍼治療を受けたことのある人なら、
鍼が皮膚に刺された時、
鈍い痛みと共に、
皮膚内で『何かが起こった』事
に気づいた人も多いと思います。
東洋医学で
『得気(とっき)』
と呼ばれるいる現象で、
これを西洋学的に解釈すると、
(難しい説明を省きます。汗)
アデノシン三リン酸
が細胞内で放出されているそうです。
アデノシン三リン酸(ATP)は、
炎症レベルの制御を司っています。
ファシアを構成する繊維を
ストレッチにより引っ張ってあげる事で、
炎症に関わる免疫系を
目覚めさせる事が出来るというわけです。
炎症自体が悪だと言うわけではありません。
炎症とは、
傷ついた細胞を白血球で満たして、
細菌が繁殖するのを抑え、
傷の回復を手伝つ免疫系機能です。
炎症を起こす事で、
人の身体はケガをしても、
過度なダメージで無ければ元に戻ります。
問題は、
傷が無いのに炎症反応が活性化する事です。
必要のない炎症反応は、
言わずもがな身体には毒であり、
その原因はストレスにあります。
ストレスは、
逃走闘争反応と呼ばれる、
敵に出会った時に逃げるか戦うか
を瞬時に判断する反応を促すため、
脳を含め身体中に発生します。
それができたからこそ、
人類は進化の過程を
生き抜く事ができたわけですが、
現代においては、
人間関係からもたらされたり、
お金の問題からもたらさらるストレスに、
逃走闘争反応は必要がありません。
ストレスにさらされると、
戦いで傷つく事を想定し、
身体中では
炎症反応が活性化してしまいます。
前述の通り、
現代のストレス下において、
実際に身体を使って戦うことはまず無く、
炎症反応は必要ありません。
よって、
必要のない炎症反応のスイッチを、
意図的にオフにする必要があります。
そしてその炎症スイッチを、
オフにしてくれるのが、
『ストレッチ』
というわけです。
ストレッチは、
そのリラックス効果でもって、
戦う必要がない事を
脳と身体に伝え、
それにより
炎症機能のスイッチをオフにするのです。
更に、
筋肉を捻ったり伸ばしたりする事で
ファシアに働きかけると、
毒素をリンパに洗い流す
まであるとの事。
肝心なのは、
どの程度の強度でストレッチをするのか
という事ですが、
著者曰く、
身体の個人差は実に様々なので、
主観で『気持ち良い』と思える程度
が良いとの事です。
おわりに:
本書の面白さは、
体を使う事に焦点を当てつつも、
その動きとは、
学んだり鍛えて身につけた行動
というより、
従来人体に備わっているもの
に着目している点です。
せっせとスポーツジムに通ったり、
ランニングを習慣化したりしなくても、
普段の動きに少し注意を向けるだけでも
おどろくほどの効果を感じることができます。
コストパフォーマンス抜群です。
ぜひぜひ日常に取り入れてみてください。
大樋町
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