はじめに
本書は私にとって、
かなり難易度が高く
手応えのある一冊でした。
再読必要度随一の本書には
経営だけには収まらず、
羊飼いの少年ダビデが
どうして巨人ゴリアテを倒せたのか?
(最強の一手を最弱の場所にぶつけよ)
や
クウェート奪還時に功を奏したとされる
単純明快で、シンプル、初歩の初歩でもある
「左フック作戦」を
どうして誰も思いつかなかったのか?
(当たり前を見直せ!)
など、
戦略の極意をなす
興味深い内容が目白押しです。
経営に対してだけでなく、
人生でこれから挑戦したいことや
新たに始めたいことなど
色々な場面で役に立つ知識が
ぎっしりと詰まった本書、
私なりに学べたことを
アウトプットしていきます。
学んだこと
空疎で曖昧な目標は要らない
戦略を考える上で重要なのは、
その戦略が
具体的な行動につながるか?
です。
かつて、
2002年や2006年に策定された
アメリカの国家安全保障戦略には、
どれも目標や中間目標
ばかりが目立ち、
戦略と呼べる代物では
ありませんでした。
ベルリンの壁崩壊、
ソ連無き後、
大国から攻撃される恐れが消滅し、
ポスト冷戦に対して
求められることは多く、
アメリカは国家安全保障を
足元から見直す必要性を求められ、
明確な敵を失いバラバラになった意識を、
再びまとめ上げるような戦略が
必要だったにも関わらず、
現実の状況にどう取り組むか
明確性がないプランばかりが
策定されいました。
かの大国ですらも犯したミスの様に、
戦略がスローガンに堕している例は少なくなく、
経営者に限らず、
私たちは今一度、
自分の戦略が
行動に結びついているかに着目して、
戦略を作り直す必要がありそうです。
リストを作り一番上に書かれたものをやれ
「あなたにできる重要なことのリストを作り、
一番目の項目から手をつけてください。」
なぜ、
基本も基本、
イロハのイ、
どの実用書にも
まず最初に書いてありそうなものが、
敢えて戦略として挙げられているのか?
こんなこと誰だって知っているぞと
声が聞こえてきそうです。
しかし、
この戦略思考のテクニックは、
かつて
鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが
生え抜きのコンサルタント、
フレデリック・テイラーから
聞いたアドバイスです。
当時若造だったテイラーは
その後カーネギーから
1万ドル(当時の価値で)の小切手
を受け取ったとの逸話が残っています。
著者は言います。
カーネギーは
リストそのものから、
何かを得たわけではく、
「リストを作るという行為」
が重要だった。
たくさんの目標がある時、
そのどれもを達成できると考えるのは
あまりに単純に過ぎます。
認識能力には限りがあるため
あることに目を向けると、
その他のことには
注意は向かなくなるのが人間です。
テイラーの助言は、
なにもタスクリストを作れだとか
問題リストを作れと
言っている分けではなかったのです。
真に寛容なのは、
「重要であって、かつ
実行可能なことが何か」
をはっきりさせること
です。
仮設と検証をせよ
アメリカに
イタリアのエスプレッソバー
を再現したかったハワード・シュルツ氏
彼はイタリアを旅行した際、
街の随所にある
立ちながらエスプレッソを楽しむ景色
に衝撃とひらめきを覚え、
それをアメリカに再現したいと考えました。
しかし、
イタリアのエスプレッソバー「バール」
をアメリカで再現するには、
文化基盤も違えば、
コーヒーに対する意識も違えば、
立って飲むか座って飲むか
コーヒー代にいくら出すかの感覚も
全てが違っており、
イタリアのバールをそのまま再現した店舗
「イル・ジョナーレ」は
すぐに立つゆかなくなりました。
シュルツ氏はすぐに動き始めます。
シュルツ氏は自分のスタイルに
こだわり続けることなく、
お客の反応を注意深く観察し、
お客を生きた実験材料とし、
自分のスタイルに生かしていきました。
「どんな事業でも、
最も価値があるリソースは
自分だけしか知り得ない情報である。」とは著者の談です。
膨大なデータによる神秘的な内容だけが
機密情報ではありません。
シュルツ氏の様に、
毎日の運営から学び取った情報は
自分の価値ある武器になります。
イタリアをそのまま再現したかったはずの
シュルツ氏のバールは
メニューからイタリア語が消え、
椅子が導入され、
テイクアウト用の紙コップ販売、
ノンファットミルクも採用も余儀なくされました。
アメリカ用にローカライズされたバールは
もはや
元の姿のかけらも残らないほどに
見た目もスタイルも変わっていました。
その結果生まれたのが
「スターバックス」
です。
何百回もの試行錯誤の末に
元の仮説は原型をもとどめないほどに
変わってしまいました。
しかし、
「仮説とデータ
そしてまた新しい仮説」
この繰り返されるプロセスこそが
成功するために必須のことだったのです。
第一感を疑え
人間はほとんどの場合、
最初に思いついたアイデアで
問題を解決しようとします。
面接などでの第一印象が
約70%も妥当性につながることや、
マルコム・グッドウェル著の
「第一感」には、
第一感が驚くほど正確であることが
示されているそうです。
だからと言って
直感が常に正しいと判断するのは
間違いで、
すべき時の熟考はやはり必要だと
著者は言っています。
何かに挑戦を始める時、
何か意見が思いついた時、
その意見に対して
なぜそう思いついたのか?
と疑問をぶつけてみると、
意外にも
「なんとなく」や「なんでだろう」
と曖昧な言葉に繋がってしまい
驚きました。
人間は情報を
素早く処理できるため
上記の通り、
なぜか分からないけど
意見が一瞬でまとまり、
そしてその意見は正しい結果に
つながることが多いです。
しかし、
一国の大統領が国の先行きを
なんとなくで決めていいはずはなく、
また、
会社のCEOが会社のバイアウトを
自分の一瞬の判断で
決定していいはずはありません。
問題が複雑で時間がない時ほど
人は直感に頼りがちになります。
直感が頼りになるのは、
実は、
自分が得意としている
分野でしか発揮されない。
と書かれている本もあります。
自分にとって
重要な問題は複雑でないわけがない
と思います。
だからこそ、
熟考が必要です。
問題が複雑で時間がない時ほど、
-
- 基本に立ち返る
- 問題を浮き彫りにする
- 最初の案に疑いを持つ
ことが必要です。
おわりに
「戦略」と聞けば、
まず思い浮かぶのは
経営戦略
です。
現代において、戦略と聞いて
戦争のやり方や
ケンカの勝ち方(笑)
を思い浮かべる人は少ないです。
本書では、
クウェート奪還に功を奏した左フック作戦、
ハンニバル、
羊飼いの少年ダビデは
どうやって巨人ゴリアテを倒したのか。
など、
まだ記憶に新しい現代に採用された戦略や
聖書時代の戦略までが、
詳しく解説してあり、
経営戦略だけで
おさまる内容ではありませんでした。
(もちろん、経営戦略の例もたくさん記載があります。)
記事題名のとおり、
戦略の極意
が学べる本ですので
私のようにブログに活用したいだとか、
今から自分が何か挑戦したいと思っている
全てのことに応用が効くことは必至です。
本書を片手に、
目標やビジョンではなく、
具体的な「戦略」
を考えてみませんか?
大樋町
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