第316回:『人を伸ばす力』から学ぶ|“やらせる”ではなく“自ら動く”を引き出す心理学 📚✨

読んだ本

はじめに 📖

著者は、ロチェスター大学教授の
エドワード・L・デシ氏。

「内発的動機付け」を科学的に研究した第一人者です。

人を伸ばす立場にある人は、世の中にたくさん存在します。

  • 学校での教師と生徒
  • 家庭での親と子供
  • 病院での医者と患者
  • 職場での上司と部下
  • そして、自分自身

などなど。

人を成長させようとする時、
多くの人は「統制(コントロール)」を使おうとします。

ご褒美や罰則、ルールや監視によって、人を動かそうとするのです。

しかし、それではどうしても
「やらされている感」
が生まれてしまいます。

本書曰く、大切なのは、

「どう動機付けるか」ではなく
「人が自ら動きたくなる条件を、どう準備するか」

という視点です。

この考え方は、教育だけでなく、仕事・家庭・医療・人生全般に応用できる重要な概念でした。

今回は、本書から学んだことをアウトプットしていきます ✍️


学んだこと①:人は「自発性」を奪われると動けなくなる 🎨

好きなことに報酬を与えると、逆にやる気を失う?

有名な実験があります。

絵を描くことが好きな子供に対し、
「絵を描いたら報酬をあげる」
という条件を追加したところ、

なんとその子供たちは、
以前より絵を描かなくなってしまったのです。

当時は、

「好きなこと+報酬=さらにやる気アップ」

と考えられていました。

しかし結果は真逆。

しかも、何度実験を繰り返しても同じ結果だったそうです。

つまり、

報酬は、内発的動機付けを壊してしまうことがある

ということでした。


人は「自分で決めたい」という欲求を持っている

デシ博士は、

人には心理的欲求がある

と考えました。

その一つが、

「自己原因性」

です。

つまり、

  • 人にやらされたいわけではない
  • 自分で決めて生きたい
  • 自分の意思で動きたい

という欲求です。

好きでやっていたことに報酬を与えると、

「好きだからやる」

から、

「報酬がもらえるからやる」

へ変わってしまいます。

ここに“統制”が生まれるのです。


人のやる気を奪うもの ⚠️

実験では、報酬以外にも、

  • 過度な競争
  • 監視
  • 厳しい評価
  • 締切の押し付け
  • 命令口調

などが、内発的動機付けを低下させることが分かっています。

逆に、

裁量権を与えること

は、人のやる気を守る効果がありました。


学んだこと②:「相手の立場に立つ」ことが最強の支援になる 🤝

薬を飲めなかった女性の話

ある女性は、薬を継続して飲むことができませんでした。

前の医者は、

  • 時間を厳密に指定
  • 厳しく指導
  • 管理・監視

をしていました。

しかし、別の医者に変えたところ状況は一変します。

その医者は、

「どの時間なら飲みやすいですか?」

と女性本人と相談したのです。

女性は、

「寝る前にミルクを飲む習慣があるので、その時なら忘れません」

と答えました。

医者はその意見を尊重しました。

結果、薬は習慣化できたそうです。


人は「尊重される」と動ける 🌱

この事例が示しているのは、

  • 統制ではなく支援
  • 命令ではなく相談
  • 管理ではなく尊重

の重要性です。

相手に裁量権を与えることで、

  • 自立性
  • 当事者意識
  • 継続力

が生まれます。


言葉遣いだけでも結果は変わる 🗣️

子供に絵を描かせる実験でも、

❌ 統制的な言葉

  • 「ちゃんとしなさい」
  • 「そうするべきだ」
  • 「絶対に守りなさい」

よりも、

⭕ 相手を尊重した言葉

  • 「遊びたい気持ちも分かるよ」
  • 「みんなで使う道具だから大事にしよう」

の方が、子供たちは自発性を発揮しました。

ほんの少しの言葉の違いが、
人のやる気を大きく左右するのです。


学んだこと③:幸福と成長を生む「フロー状態」 🌊

心理学者 ミハイ・チクセントミハイ が提唱した、

「フロー状態」

という概念があります。

これは、

時間を忘れるほど没頭している状態

のことです。

本書では、このフロー状態も
内発的動機付けと深く関係していると説明されています。


外発的動機付けは「量」は増やせる

実験では、

  • 報酬や評価で動くチーム
  • 好きで没頭しているチーム

を比較すると、

作業量

→ 外発的動機付けチームが優勢

しかし、

作業の質

→ 内発的動機付けチームが圧倒

という結果になりました。

やはり、

「やらされる仕事」より
「自らやりたい仕事」

の方が、人は力を発揮できるのでしょう。


学んだこと④:「有能感」が人を成長させる 💪

人には、

「できるようになりたい」

という欲求があります。

これを本書では、

有能性(有能感)

と呼んでいます。


褒め方にも技術が必要

ただし、褒め方を間違えると逆効果になります。

例えば、

「もっとやらせるために褒める」

と、相手はそれを見抜きます。

すると、褒め言葉が“統制”に変わってしまうのです。


ミスした時に必要なのは「追撃」ではない

本書では、

  • ミスへの叱責
  • 人格否定
  • プレッシャー

は、さらに失敗を増やす可能性があると指摘しています。

必要なのは、

  • 「どう感じた?」
  • 「何か助けは必要?」
  • 「次はどうすれば良いと思う?」

という支援的な姿勢です。

これは教育だけでなく、
部下育成や家庭でも非常に重要だと感じました。


学んだこと⑤:「やらされ感」を消す“内在化” 🧠

同じ行動でも意味が変わる

例えば子供のゴミ出し。

❌ 「言われたからやる」

なのか、

⭕ 「家庭を助ける大事な役割」

としてやるのか。

この違いは非常に大きいです。

本書では、

  • やらされ感で行う状態 → 「取り入れ」
  • 自分の価値観として行う状態 → 「統合」

と説明されています。

当然、目指すべきは「統合」です。


内在化を促進する3つのポイント ✨

① 合理的な説明をする

「片付けないと危ないよ」

など、納得できる説明が必要。


② 相手の気持ちを認める

「面倒だよね」
「やりたくないよね」

と気持ちを理解する。


③ 統制的な言葉を使わない

命令ではなく、
相談・共有・提案を意識する。


学んだこと⑥:「本当の自分」を見失わない 🌈

本書には、

「自我関与」

という言葉が出てきます。

これは、

「結果が出ない自分には価値がない」

と思い込む状態です。


名声・お金・地位だけでは幸福になれない

研究では、

  • お金
  • 名声
  • 美貌

だけでは、幸福は完成しないことが分かっています。

本当に必要なのは、

  • 良い人間関係
  • 誰かへの貢献
  • 成長実感

の3つです。


“本当の自分”で生きること

本書では、

他人に認められるためだけに生きるのではなく、
自分らしく生きること

の大切さも語られています。

これは現代社会において、特に重要な視点だと感じました。

SNSや評価社会では、

  • 数字
  • 地位
  • 見栄え

ばかりに目が向きがちです。

しかし、人間を本当に満たすのは、

  • 誰かとの繋がり
  • 成長
  • 貢献
  • 自分らしさ

なのだと思います。


おわりに 🌸

人を伸ばす力は、
誰にでも必要なスキルです。

  • 教師
  • 上司
  • 医者
  • 指導者
  • そして自分自身

私たちは日々、
誰かを導き、
支え、
時には注意しながら生きています。

しかし本書は、

「統制では、人は本当には動かない」

という難しくも重要な事実を教えてくれます。

だからこそ、

  • 相手の立場に立つ
  • 裁量権を与える
  • 気持ちを理解する
  • 成長を支援する

という姿勢が必要なのです。

「やめなさい」

の一言ではなく、

「気持ちは分かるけれど、どうしたら良いと思う?」

と寄り添えるか。

その積み重ねが、
人の成長と幸福感を大きく左右するのでしょう。

人を育てる立場にある人にも、
自分自身を成長させたい人にも、
本書は非常に役立つ一冊でした。

大樋町 ✍️

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大樋町

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大樋町と申します。
「おおひまち」と読みます。
北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
良い本は心の友。
私の友人たち(愛読書)から学んだことをアウトプットする場としてブログを書いております。
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