第212回:メンタル脳から学ぶ

読んだ本

はじめに: かつて学校では、

メンタルがどういう器官で、
メンタルが弱った時、
どう対処すればいいかを
教師たちは教えてくれませんでした。

本社は、
難解なメンタルへのアプローチを
これでもかと言うくらい
分かりやすく説明し、
対処法を教えてくれる事はもちろん
「そもそも心を病むことには
重大な意味がある」こと
を教えてくれます。

著者はアンデシュハンセン氏。
スウェーデンの医師であり
これまで出版社された著書は
ベストセラーばかりです。

今回の本の内容も、
難解なメンタルの解釈を
脳科学からアプローチし、
脳の機能や脳の働きから
分かりやすく中高年生向けに
綴られています。

現代人は、
歴史上に人類が誕生してから
一番ストレスが高まっている
と言われています。

今こそ、
国語や算数以上に「メンタル」
への理解が必要なのかも知れません。

本書を読めば、
すぐさま幸福になれる
とは書かれていません。

むしろ、
脳はいつまでも幸福では
いられないようにこそ機能します。
それはなぜなのか?
どうするべきなのか?
何が解決の糸口になるのか?
学んだことをアウトプットします。

学んだこと:

脳は生き残るために何でもする。それが痛みであっても。

人間の脳は、
いまだにサバンナにいます。
人類の歴史は
六百万年(6,000,000年)とも言われ、
真に驚くべきは、
その歴史の中99.9%は
「狩猟採集」により生計を立てて来た。
といことです。

人類はその長い歴史のほとんどを、
自然にいる動物を狩り、
自然になった果物や野菜を
見つけては掘り起こし、
それらを食していたのです。

対して、
農業や牧畜の歴史は、
人類史のほんの一部。
たかだか一万年の歴史しか有りません。
自分で食べる物を自分で作る
という概念はまだ始まったばかりで、
その期間の長さは
六百万年とは比較にならないほど短く、
人の脳も、
まだサバンナで生活しいて、
そこを生き残るために機能する
からまだ進化しきれていない
と聞いてもうなずけます。

ここで、
人生を生きる上で、
ずっと幸福でいられないのはなぜか?
という疑問に立ち返ります。

痛みや悲しみ、不安など
無い方が生きやすいのではないか?
そう思うからこそ、
現代では「ポジティブ心理学」など、
心理にアプローチする学問が
発達の一途をたどり、
それ以上の成果が期待されています。

しかしそれは、
安心安全な環境や物に囲まれた現代人
だからこその思考法である。
と言わざるを得ません。

かつてサバンナで生活していたころ、
そこは過酷な世界であり、
2人に1人は10歳までに命を落とす
とまで言われており、
その環境で生き残るためには、
ポジティブな感情ばかりでは
立ち行きません。

生き物の脳は、
幸福に生きるために進化したのでは「なく」
「生き残ること」
を目的として進化しました。
なので脳は生き残るためならば
感情でも体でも何でも、
利用できるものは全て利用するのです。

もしあなたが、
サバンナで暮らす群れのリーダー
だったとします。

目の前の草むらが
ガサガサと揺れた時、
風が吹いただけで大丈夫だ
と判断するか、
敵が潜んでいる
と判断するかで、
その後生き残れるかどうかが決まります。

何でもポジティブに受け取っていては、
あっという間に群れは全滅です。
とにかくネガティヴに慎重に
物事を扱った者だけが生き残り、
その子孫が我々なわけです。

本書では
不安や恐怖は非常警報装置だ。
と書かれています。
間違っていざという時に
鳴らないくらいなら、
「ちょっとでも疑いがあればサイレンを鳴らす」
方が役に立ちます。

現代はサバンナとは違い、
人間が、
サーベルタイガーなどの捕食者
と出会う危険性は極めて少なく、
人間関係がこじれても、
戦う必要も逃げる必要も無い
場合が圧倒的に多いです。
闘争・逃走反応がまめに必要なほどの脅威
は現代には見つけるほうが大変です。

脳から感情を支配するシステムを
切り取ってしまう事はできませんが、
そうだと分かれば対処のしようがあります。

まずは、
脳が感情を利用して、
不安や悲しみをいざなうのは、
私達をいじめたい分けではなく、
むしろ助けてくれているのだ。
と認識すること肝要です。
生き残りをかけて、
全力で応援してくれているのですから
それは自分だけが感じているもの
ではないはずです。

引きこもることの意味。

妊娠している女性には
「つわり」という現象が起きます。

何かにつけて、
食事に対し非常に敏感になり、
人によっては
乳製品や肉の匂いを嗅ぐだけでも
胃がひっくり返ってしまう方もいるようです。
反対に、酸っぱいものを
「食べたくなる」事もあるのだとか。

妊婦は身重で、
「二人分の栄養が必要」なはず。
栄養はむしろ「たくさん必要」なのに
食べられなくなる
のはどこが不思議な感じがします。
しかしここにも重要な、
生き残りをかけた脳の判断
が採用されています。

すなわち、
赤ちゃんの重要な器官が作られる
妊娠初期においては、
母親の食べるものが主の栄養であるのだから
もっと慎重に食べるものを選ぶこと
と脳が教えてくれているのだ。

当時は、当然ながら
冷蔵庫や電気はなく、
肉や発酵した食物には
悪玉の細菌が繁殖していたり、
肉自体が腐敗していたり、
口にするものは今以上に
慎重になる必要がありました。

妊婦がいつも通りに食事していたのでは
母体と胎児共に危険がある
と判断した脳は、
その食の感覚さえ変えてしまうのです。

さらに、
妊婦は気分が落ち込む事が多い
と言います。
これも生き残りをかけた
脳の判断であり意味があります。
外部との接触はそのまま危険を意味するため
妊婦は通常運転で、
どこにでも出歩くより、
「引きこもった方が安全」なのです。
よって、体を休ませ、
危険から遠ざけるために、
脳は、
「気分が落ち込む」という感情
を使って体を守るのです。

妊婦の中には、
元気でいなければいけないのに
落ち込んでいる自分はダメな妊婦だ。
とさらに落ち込みに、
拍車がかかってしまう人がいる様です。
落ち込みを通り越して
うつ状態に入ってしまう人もいます。

この脳による、
この引きこもりへのアプローチは
妊婦だけに起こる原理ではありません。

ストレスが過度にのしかかる環境
が改善されずに続くと、
脳はその環境に対抗するのではなく
ストレスのかかる今の環境から「離れる」
事を目的に感情を使ってきます。
これがうつ状態の始まりと言われます。

脳は、
今の環境から離れるため、
そして自分を傷つける「何か」
とも会わないよう、
気分を落ち込ませてしまいます。
なるほど、
精神的に病んでしまうと、
身体にまで影響が出てくるため、
身体をまずは回復させるため、
「動かない」という選択肢を
脳が取り始めるのも頷けるし、
うつ状態は、
ある程度までなら回復する余地もあり、
回復するための準備期間
として機能するかも知れません。

本書では、
何もうつ状態を推奨しているわけではなく
うつ状態は、
誰にでも起こり得る
脳の選択肢の一つなんだ
と意識することが、
対処の一歩目であり、
相手の正体を暴く一手である。
と言っていますす。

自分だけが苦しんでいる
と思考すると、
まるで底なし沼のように
自分で自分を貶めてしまいがち。

ではなくて、
脳が私たちを生かそうとしている
と認識してみるのも良い一手でしょう。

幸福は無視する。

脳は何かが起こるのを
待っているわけではなく、
先回りして「予測」をし、
実際の現実と「比較」する
ことで世の中を見ています。

この働きが幸福とどの様に関係するのか?
「王子様とお姫様は
ずっと幸せに暮らしましたとさ」
寓話の最後によく聞くこのフレーズ。
実際にはあり得るのでしょうか。

脳科学的に判断すると
著者は「あり得ない」と結論づけています。

サバンナに暮らしている祖先が
獲物を1匹捕まえたことで
その後、永遠に幸福を感じてしまったら、
その人は新たに獲物を欲しがりません。
あっという間にその種は絶滅したでしょう。

脳機能上、
幸福は長くは続かない
ようになっています。
しつこい様ですが、
これは「生き残るため」であり、
何も脳が私たちを
虐めたいわけではありません。

それを踏まえた上で、
先の「比較」の話に戻ります。

脳は比較して世の中を見ています。
映画1本みる場合でも、
周りの評価や前評判、実際のレビューなどを
参考にします。

もし
「人生を変えるほど面白かった」
レベルの前評判があったとします。
しかしながら、
人生を変えるほどの質の高さを持つ映画と
出会える確率はとても低く、
大抵は期待倒れだったりします。
それほど感動もなかった
と感想を漏らす場合がほとんではないでしょうか。

人はこの現象を
人生においても繰り返すことで
不幸になっていきます。

他人のSNSなどを通じ、
キラキラした人生観を見せつけられ、
自分は今とは違う人生だったと落ち込みます。

もっと幸福なはずだったのに、
と自分の頭の中の幻想と現実
を比較してしまうのです。

対して、
同じ比較でも「幸福が増す」比較
も存在します。

実例を見てみると
コロナ禍における健康自己判断
の実験が分かりやすいです。

コロナ禍において、
自分の健康に対して、
「感謝している、充分である」
と判断した人が激増しました。

これは、
自分が実際に健康になったわけではなく、
コロナに罹った人を見て、
または家族を失った人を見て、
『私はまだ幸福な方だ』
との判断から導き出た感覚だったのです。

何か自分の身に起きた時、
今以上に最悪の場合だったかも
の様に、
『幸いにも』今の立場をキープできた
と思考した方が、
メンタルには効果的です。

また、比較すること以前に
何かに「没頭」する時間
が多い人ほど、
感じる幸福感は大きい。
と言う研究結果があります。
提唱者はミハイチクセントミハイ教授。

集中を超えた没頭状態を
フロー状態
とも呼びますが、
時間が飛ぶように過ぎ、
朝始めたはずなのに
いつの間にか夕方だった。
といった現象がまさにフロー状態です。

なので、
幸福になりたいのなら、
安易は幸福論を追求する事を止めて
趣味ややるべき事に没頭し、
良い人間関係に囲まれて
謙虚に過ごす。
そしてそれを繰り返す。
と自然とより良い人生を過ごせるでしょう。

おわりに:

今スウェーデンでは、
本書を学校ででも推奨しており
学校が要請さえすれば、
無料で本書を得ることができるそうです。

著者アンデシュハンセン氏の本は
ここ日本でもかなり人気で、
書店で見たことがある人も多いはずです。

本書がベストセラーなのは、
メンタルに対して、
それだけ関心を向けている人が
世界にも日本にもそれだけ多いと言うこと。

個人が、
何らかの対策を取ることも去ることながら、
プラットホーム側や企業、社会全体が
メンタルに対する何らかの改善措置
を取る日がくることを強く願って
今回をペンを置きたいと思います。

大樋町

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大樋町

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大樋町と申します。
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北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
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