第248回:1秒習慣から学ぶ

読んだ本

はじめに:

何かを目標にしてにし、
それを達成するために日々を過ごす時、
私たちの前に決まって現れる
目の前に現れる
行き詰まりやハードルのそれぞれ。
私たちにはそれらに対処する術を
学校や社会で学んできたでしょうか?

人生の大きな問題に
立ち向かわなければならない時、
学校で学んだことは
ほとんど場合、
役に立たないのではないでしょうか。

本書の著者は
心理学や神経科学の学位を修めた
イギリスの臨床心理士です。
前書は世界10カ国で翻訳された、
ベストセラー作家でもあります。

著者曰く、
私たちは人生での困難に対し
あまりに無防備だと
警笛を鳴らしています。

臨床治療により数多のケースを
実際に自分の目で見て、
それらを解決に導いてきた著者は
その知見を本書にまとめています。

例えばある患者は、
お酒を断つことができないのは、
その原因がストレスにあり、
ストレスの原因に対処し、
それを解決しなければ
お酒を断つことなんてできない。
と意思の力を使おうとしていたそうです。

この問題を解決したのは
使うべきは意思ではなく、
良い習慣を得て、悪癖を断つ
「習慣の力」でした。

この様に、対処の力を
そもそも間違えていたり、
対処方法を知らなかったりすれば
人生の行き詰まりは
どんどんと増えていきます。

本書には5つのロードマップ
・習慣
・ヒューリスティック
・自己破壊
・ドラマ
・歴史
の観点から
行き詰りの解消方法が
説明されています。
本ブログでは管理人である私が
感銘を受け、学びを得た内容を
抜粋・解釈してアウトプットします。

学んだ事:

習慣の力

過去、本ブログでも
習慣については何度も
アウトプットしてきました。
良い意味でも
悪い意味でも、
習慣の力は強力です。

習慣の力を支配できれば、
人生のほぼ40%
を良い方向に変える事ができる
と言われています。

一日の内、
8時間寝ている
と考えるなら、
遺伝子が人生に影響を及ぼすのは
たった20%。
習慣を味方につければ、
人生に大きな影響を
与える事ができます。

しかしながら、
それは悪癖であっても同様です。
恐ろしいことに、
一度ついた習慣は
「この世を去るまで変わらない」
と著者は説明しています。

著者は
臨床心理士の経歴を持ちます。
介護施設でアシスタント心理学者
として勤務していた時、
認知症や脳卒中で
脳機能が低下した患者も見てきました。

彼らは、
自分の孫の名前や
昨日食べた夕食の内容を
覚える事はできませんでしたが、
何十年と繰り返してきた習慣
を忘れる事はなかったと言います。
習慣とはこれ程に大きな力を持つものです。

ここから話を続けると、
認知的にハンディキャップがある人でも、
新しい習慣を
身につける事は可能です。

失敗する直前でストップをかけ、
段階的に一歩づつできることを増やし、
習慣を形成していく方法を使えば、
脳障害やアルツハイマーの患者でも
新しい習慣を身につける事ができた
と著者は続けます。

習慣化形成の最強メソッド
if-thenプランニング
については、
今まで散々記事にしてきたので、
今回は少し違う視点で学んだことを
アウトプットします。

習慣形成に必要なのは、
「ダメでももう一回やってみる」
ことです。

新年に立てた
毎朝のランニングが
果たして三日坊主で終わっても、
そこで諦めてしまわなければ、
習慣形成自体は上手くいっている
と言えます。
それはどういう事か。

脳神経科学的にも、
習慣化を確定するには
数週間から数ヶ月
が必要です。

人間の脳は、
ほんの2、3度実行しただけで、
習慣化が身につき、
毎日できる仕様では元々無い。
そこに気が付けるかはとても大事です。
習慣化に王道はないのです。

麦が育った畑の真ん中に立っている自分
を想像してみてください。
麦を踏みつけて、
一度だけ畑を抜け出せても、
そこに道はできません。
何度も何度も踏みつけることで
やっと歩きやすい立派な道が
出来上がります。
脳神経はこの様に出来上がります。

なので、
例え三日坊主とはいえ、
昨日出来なかった事を
今日少しでも出来たなら、
歩いた跡には道が多少なりとも
できているはずです。
次は、三日坊主で終わった場所から
もう一度リスタートできます。
新しい習慣作りには
一旦成功している証拠ですので、
諦めずに三日前にやった事を
もう一度試してみましょう。

その際、
今すぐ成功を目指したり、
大きな成功を目指すと
惨めになってしまいます。
結果ではなく過程や成果にこそ
着目すべきです。

今、何かに取り組めること、
その時間があることに感謝し、
眼の前のすべきことに集中しましょう。

ヒューリスティック

ヒューリスティックスとは
発見的手法などと訳されます。

人生の行き詰まりには
このヒューリスティックスが
大いに関係しています。

例えば、
自分が正しいと思っていたが
集団思考に惑わされ意見を曲げたり、
自分が投資した時間や費用に
惑わされて道を変える事ができなかったり、
自分が一番正しいと判断したり。

人間には、
本能や経験則により、
直感で物事を判断してしまう事が
往々にしてあります。

誰しもが陥っている
と聞いて、
私だけは大丈夫だ
と少しでも頭に浮かんだなら、
あなたはドップリと
ヒューリスティックス※に
はまっています。
※この場合、自己優越バイアス

初めて会う人間を、
先に聞いた「うわさ」
で判断したことは無いでしょうか。
これもヒューリスティックスで、
後光効果(ハローバイアス)などと
呼ばれている現象です。

私が特に怖いと感じたのは
集団思考です。
集団思考に陥っていると、
自分が属する集団の膜の様なもの
を基準に思考してしまい、
その集団に属さない考え方を
執拗なまでに拒否してしまう事があります。

この集団思考は、
知らず知らずに
自己判断に侵入し、
自分でも気付かない内に、
その他の人たち
を排除してしまいます。

例えば、
コロナワクチン接種について
賛成派か反対派かで
過剰なまでに意見が分かれています。
反対派には反対派の意見
があるはずですが、
そんなものは度外視して、
なんとか反対派の友人を
ワクチン接種に同意させようと
躍起になった時があります。

自分の意見だと信じて来た事が、
実は
誰かや集団の意見
に過ぎなかった。
と言うことは往々にして起きるのです。

なぜあなたはアイフォンを
持っているのか?
と聞かれて、
機能面などの明確な理由
を説明できないなら、
そのアイフォンは、
誰かに主導権を握られた結果
なのかも知れません。

何かの判断を下す場合、
ヒューリスティックスを避けるには、
常に
「反対の意見」
にも耳を傾向ける必要があります。
これは自分が自分に反対する
と言うやり方でも効果があります。

アイフォンが素晴らしいと思うなら
反対の立場に立って、
そればかりではないだろう?
と自分で反証意見を自分に伝えてみましょう。

また、
ノーベル賞受賞科学者
ダニエル・カーネマン教授の
説明によると、
人間の思考方法には
2種類あります。
システム1とシステム2
などと呼ばれていますが、
この思考方法を知ることは、
ヒューリスティックス問題の
解決策になり得ます。

説明します。
システム1は、
自分の直感や経験則に拠り、
物事をパッと一瞬で決める時
などの思考方法です。
システム1は、
じっくり思考する事がないので、
例えば車の運転も、
初心者時代の様に
じっくり考えなくても
半分自動的に運転する事ができます。

一方のシステム2は、
誰かの相談に対して
解決策を導かなければならなかったり、
難しい作業を後輩に教える時など、
じっくりと思考しなければならない時
にこそ必要なシステムです。

ヒューリスティックスには、
もちろんこの「システム2」
が助けになります。

まずは思考法にはこの
2種類がある
事をしっかりと認識し、
次に何かを
判断、選択
しなければならない時には、
システム2を使って、
しっかりじっくり考察する
という事を意識してみましょう。

システム1の
直感を頼って良いケースは
限定的です。
例えば
・正確な回答を導く時間がない
・宝くじやおみくじなど、
 そもそも結果が運で左右されるもの
・信頼できるデータがない
・データがあっても判断できない
・自分がベテランである
時以外はシステム2を使って
しっかり思考してから
自分の意見を作りましょう。

自己破壊(セルフサボタージュ)

テストの直前になると、
決まって必要のない
部屋の掃除を始めてしまう。
好きな子に好きだと伝えずに
逆にいじめてしまう。
パートナーが欲しいと願う人ほど
行動を起こさず待ちに転じている。
新しい趣味や事業に挑戦したいが、
失敗が怖くて何もしない。
などなど、
「自分で自分の人生を
 破壊してしまう行為」
それがセルフサボタージュです。
誰しも陥ったことのある
テスト前現象は分かりやすいです。

この現象が起きる原因は、
目の前の脅威の事を、
その先の努力で訪れる幸福よりも
重視することによって起こる
と言われています。

本書には、
里親を求める孤児の少年
の話が出てきます。

本人は家族を求めて止まず、
家族が欲しいはずです。
しかし、
里親と知り合った当初は上手くいくのに、
いざ「家族になる」手続き段階に入ると
決まって自分からヒステリーを起こして、
せっかくまとまりかけた良い話を
自分から破談させてしまうのだとか。

この少年はそれが
自分の性格のせいだ
と思い込んでいた様です。
実際にはセルフサボタージュが原因で、
自分が孤児である事始まりとなり、
『どうせ僕なんかは
幸福にはなれない』
と思い込むことが、
自己破壊を起こし
それが悪い循環サイクル
を作っていました。

固定観念の内在化
(ステレオタイプエンボディング)
という言葉があります。
例えば、
老化に対する固定観念が
負のイメージが強い人は
結果、自分が老いた時に、
思った通りネガティブな結果が
身体上に発生したりします。
しかし、
老化に対して
ポジティブなイメージを持つ人は
そうでない人より、
寿命が長く、
認知症発症の遺伝子を持っていても
発症率は低かったそうです。

これらは、全て
自分で自分を破壊したり
人生を台無しにしてしまう
自己破壊の結果なのです。
この問題に対策はあるのでしょうか。

解決のキーワードは、
自尊心です。
私は幸福になる価値のある人間だ
と思い直すことも時には必要です。

出る杭は打たれる
とは誰が言った言葉でしょうか。
人より秀でる事が
さも悪いことの様に取られる風習
が今でもある様です。
この観念が内在がすれば
できる人間が努力をしなくなるでしょう。

価値ある結果を手にしようとした時、
周りに足を引っ張られた経験を持てば、
せっかく能力があるのに
自分にはその価値がない
との自己卑下した考えが
内在化している可能性があります。

解決策は、
自分の価値観を明確にし、
今までの人生において、
全てが上手くいかなかったわけではない。
とちゃんと自覚することです。

今まで達成してきた事、
自分を慕ってくれた人がいた事、
などをしっかりと思い出しましょう。

例えば、
黒人は知能が低い
女性は社会で昇進できない
などの固定観念に囚われているなら、
そうでない結果
に焦点を向けてみましょう。

面白いアドバイスに、
「もう一人の自分に出会う」
というメソッドも面白いです。

ヒーローごっこをしている子供は
それをしていない時より、
怖がっていた事に果敢に取り組む
という心理結果があります。
ドラァグクイーン(女装パフォーマー)の中には、
ドラァグクイーンの扮装をした自分が
アイデンティティとなり、
自分自身や世間が許してくれなかった
男性が女装してはいけない
という固定観念を破ってくれた
と明言しています。

何かの固定観念が
自己破壊をもたらしているなら
新しい自分に出会いにいくのも
面白い解決策になるでしょう。

私も本業で悩んだ時は、
「ブロガー大樋町」ならどう考えるかな?
などと思考してみようと思います。

おわりに:

元来、
何かを始められなかったり、
始めても諦めらり、
誰かを誤解したり、
誰かを傷つけたり、憎んだり、
その逆だったり、
などなどについて、
そのほとんどを
自分の性格のせいだ
の一言で済ませようとしていました。

しかしそこには、
習慣の特性だったり、
ヒューリスティックス、
バイアスや、
自己破壊などの心理的作用も
大いに関係したのです。

本書著者が
心理カウンセラーである特色から、
本書の中には、
実際に悩んでいる人たちの生の声
がたくさん紹介されているのも特徴的です。
自分に似たような悩みも多く、
誰しもが陥りがちな
「人生の行詰まり」
に悩んでいるのは私一人ではない
と安心感も得られるはずです。

厄介なのは、
気づかないと解決もできない
という事です。
何かのバイアスにハマっていないか、
本書を手に取って、
自分の人生の行き詰りと
その解決策を見つけてみてください。

大樋町

大樋町

初めまして。
大樋町と申します。
「おおひまち」と読みます。
北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
良い本は心の友。
私の友人たち(愛読書)から学んだことをアウトプットする場としてブログを書いております。
毎週、月曜日にブログを更新中。(少ないw)
ありがたい事に、
読者様が増えてきたから身を引き締めねばw
目指せ実用書知識のウィキペディア!(暴言)

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