第196回:習慣と脳の科学から学ぶ

読んだ本

はじめに:

努力の甲斐あり、
スポーツジムに通う習慣がついた
と思っていた矢先、
ある期間行けない日が多かったばかりに
習慣が途切れてしまった。

ダイエットはそもそも続かない。

などなど、
習慣は一度作ったからといっても、
何かの拍子に途切れてしまうものです。
それはなぜか?
この問への答えを
「脳を科学する」事で
導き出したのが本書です。

本書は、
純粋に科学書であり、
著者は
オープンサイエンス運動※
をリードするサイエンティストです。
※透明性、再現性が確保された研究を重視する運動

このオープルサイエンスについては、
本書の裏テーマです。
せっかく研究結果やレポートを学んでも、
「その研究結果に再現性がなかった」
と結果がくつがえってしまうのは
科学界の「あるある」です。
マインドセットやグリットなどはその典型。

本書の著者は、
再現性の危機を見据えた研究
をリードする研究者ですので、
ダメなものはだめ。
使えるものは使える。
やってみる価値はあるが絶対などない。
などなど、
聞いていて気持ちの良い論調が売りで、
簡単にくつがえってしまう研究結果より
よほど信頼性があります。

研究結果有きで、
それに伴うデータを集めて、
上手く行ったと結論を急く科学者たちはけしからん!
と言うわけです。

本書の随所には、
その研究方法自体についても
詳細な紹介や方法が述べられており、
透明性の確保がなされています。

例えば、
脳内ホルモンを調べるには、
過去には直接電極をサルなどの脳に
物理的に埋め込む必要がありました。
これでは物理的に埋め込んだ部分しか
ホルモン作用を調べられなかったのに対し、
現代では、
「遺伝子工学」の発達により、
多くのニューロンの活動を
一度に画像化できる様になったとか。
細胞を光らせることで、
脳内の状況を詳細に調べる。
なんて技法まであります。

最近開発された技術にも触れ、
誰が実施しても同じ結果が出る実験
をふんだんに用いて作られた本書。

脳内の詳細な化学反応や
習慣軽形成までの脳作用は
最初素人が見ても
チンプンカンプンではありますが、
徐々に理解も深まってきます。

最終的には、
具体的に私たちが生活する上で
どうすればいいのか?
にも触れています。

身につけた良い習慣が、
悪い習慣に戻ってしまうのはなぜか?
学んだ事をアウトプットします。

学んだこと:

走り出した習慣は止まらない

良くも悪くも習慣は
同じ行動
を自動で繰り返す自立性を伴います。

この自動自立性性が習慣の真骨頂であり、
喫煙や過食、薬物乱用、
運動、勉強など
その行動は人生をゆるがす
大きな力を持っています。

この厄介でもあり、
人生の武器ともなり得る「習慣」は
良い習慣を身に着けても
ほっておくと元に戻ってしまったり、
悪い習慣を断ち切っても、
何かの拍子に戻ってきてしまいます。

20年間、
ドラッグを断ち切っていた映画俳優が、
離婚や落ち目を期にまた薬物に手を出し、
数年足らずにこの世を去った。
なんて話もあります。

これは脳のどんな作用が
関係しているのでしょうか?

⭐️デフォルトの世界

まずひとつは
脳の使われる場所が変わる
というものです。

行動目標型思考と習慣
は明確に脳で使わる場所が違う
と著者は説明します。

行動目標型とは何でしょうか。
例えば、
スマホのメールを頻繁に見てしまう
という習慣の例を見てみます。

ガラケーからスマホに移行した経験
を持つ方なら、
初めてスマホを手にした時、
メールのアプリを探す、タップするなど
メール内容に行き着くまでに何度も
意図的な思考を伴った事
を覚えていると思います。
これが行動目標型思考です。

対して、
使い慣れた今なら、
スマホを触っている内、
意識もしていないのに、
自動的にメールを開いていたりしますが、
これこそが習慣です。

脳はカロリー消費を抑えるため、
考えずに済むなら考えない
ことを選択します。

使い慣れていく内に、
「楽にスマホを扱う」
ことに特化していくのです。
脳内では、
使われる「回路」すら変更されています。

とあるきっかけで行動Aが
一度習慣化してしまうと、
それが生活上の
「デフォルト」
になってしまいます。

そのデフォルトが悪い習慣であっても
先に根付いた習慣は、
脳内の使われる場所すら
変更されているわけで、
上書きしようにも頑固に脳に残ります。

加えて、
世界は思った以上に「安定的」である
という事実もここで説明が必要です。

ある日突然、
車が走る車線が
左側から右側変わることも無いし、
友人が突然理解できない言語を
話し始めたりはしません。

しかし
一時的に海外旅行に行った場合、
環境は一変します。

脳はこの、
「安定的環境と変化する環境」
を区別しなければなりません。

デフォルトの習慣が固まると、
その習慣が「安定的」な世界
に位置付けられます。
例えば、
喫煙する世界がデフォルトで
安定的な世界であるなら、
喫煙しないのは変化する環境です。

脳にとって、
禁煙している状況
とは「極めて特別な状況である」
と認識されます。
先の例で言う
「海外での運転」に相当します。

要するに、
その「特別な状況」が解除されてしまうと、
習慣はまんまと元に戻ってしまいます。
脳にとっては、
運転は左側がデフォルトだし、
喫煙がデフォルトなのです。
部屋の中では禁煙できても
会社にいって周りの同僚が
タバコを当たり前に吸っていれば、
容易に喫煙習慣は戻ってきてしまうのです。

⭐️トリガーへの注目

他人の携帯電話の着信音を聞いて、
思わずスマホを取り出した。
なんて言う経験は
誰しもあると思います。

『何か中毒性の高いもの』
に触れた事のある人なら、
それらを我慢している時、
やたら見たり聞いたり、
目の中に飛び込んでくる様な感覚
を味わった事もまた
あるのではないでしょうか。

例えば、
ギャンブルやタバコはもちろんの事、
甘いものやゲームなども
依存性が高いと言われています。
ダイエットに、
食事のことが頭から離れない
のもこの典型です。

本書で言うこの現象、
トリガー
は、悪い習慣が戻ってきてしまう原因の一つ
と言われています。

これらの現象が起きる時、
脳内ではどんな事が起きているのか。

パブロフの犬と呼ばれる
有名な実験があります。
心理学者パブロフが行った実験で、
犬に餌を与える際、
同時にベルを鳴らして与えていると、
その犬はベルが鳴るたびに、
餌を与えられなくても
よだれを垂らすようになります。

外界の刺激が報酬につながる
ことを脳が習慣化するのです。
携帯電話の着信音の報酬は、
差し詰め「SNSなどの情報」
といったところでしょうか。

このパブロフの犬現象に、
「道具的学習」と呼ばられる現象
もプラスされます。
道具的現象とは、
特定の刺激に対し、
「特定の行動をとることを学ぶ」
現象です。

パブロフ型学習により
結果と結びついた手掛かり(着信音)が、
道具型学習により獲得した行動(スマホを取り出す)
を引き起こすのです。

さらにここに
価値駆動的な注意補足
と呼ばれる現象が加わります。

何かに依存している人、
例えば薬物依存症の人は、
健常者がドラッグを見た時とは
全く注意の引かれ方が違います。

依存対象の薬物に関する
視覚的な手掛かりに、
過剰なほど注意を向けるとい
うかなり強いバイアスを持っているのです

先に述べた
まるで自分に向かって
「飛び出してくる」
と感じるような現象が
価値駆動的な注意補足です。

本ブログでは、管理人が気になった物
を抜粋しているに過ぎず、
本書では、
他の原因にも触れています。
実にさまざまな脳内現象により
習慣は元に戻ろうとしますが、
私たちはそれに抗う事はできるのでしょうか?
次章で見ていきます。

行動変容

難解な脳構造の説明の章の後に
待ってましたとばかりに
「行動変容」
について述べられています。
ではどうやって良い習慣を形成し、
それを継続していけばいいのか。
やっと学べる段階まで来ました。

がしかし。
この章の冒頭で、
著者ははっきりと
「行動を変えることは難しい」
と述べています。

私たちは、
それを踏まえて、
習慣に支配される事なく、
習慣を人生の役に立てる事
を意識してかの先を
学ばなければなりません。

そこに魔法の様なメソッドは存在しない。
事を前提とした上で、
著者は
『実際に効果が期待できる方法』
を紹介しています。

本ブログでは、
著者が説く方法論の内、
その根幹となる「基本」を説明し
本記事を終えたいと思います。

行動変容を最大限に成功させるのに
必要な基本事項は

1環境をよく観察し、
引き金となる状況への理解を深める

2選択構造を変えて、
習慣の引き金を最小限に抑え、
代わりに望ましい行動を促す。

3行動変容の詳細な実行計画を立て、
if-thenプランニングに落とし込む

4目標に向けた進捗状況を注意深く監視し、
うまくいかない時は計画を修正する

の4つです。

まずは、
毎日に潜むトリガーに注目しましょう。
環境は脳神経のシステムにも
打ち勝つ可能性を秘めています。
どうしても
食後のデザートが我慢できないなら、
お菓子を固い蓋の箱に入れて、
戸棚の奥にしまい込んでおくのです。
もっと言うなら、
家の中に「スウィーツ」は置かない。
というルールを作れば、
食後のおやつを取らなくて済みます。

習慣の引き金に気付き、
その逆の方法を訓練しておく。
と言うのもとても有効です。
本書では「チック」と呼ばれる
子供の癖の様な症状にも有効だ
と記載があります。

例えば、
首を右に振る
と言うチックを持つ場合、
どんな時に首を振る現象が起こるのかを観察し、
チックが起こりそうになったら、
首の左に力を入れる
などと訓練しておくと、
とても高い効果を発揮するそうです。

if-thenプランニングは
人生にてとても有効な武器になります。
本ブログでも、
既に何度も取り扱っていますが、
本書によって脳科学者からも、
有効性が認められました。

フィードバックも欠かせません。
物事が上手くいかない時、
他人から意見を聞くことも
時には大事です。

他人は自分より自分を理解する
と言う言葉通り、
自分では発見できない弱点や対策
を聞くことができるはずです。

耳を覆いたくなる様な
ネガティブな意見もあるでしょうが、
まさにそれを聞きたくないからこそ
それを打開した時の効果は
高いものになると推測できます。

習慣の改善も、
これだけの方法を聞けば、
なんとかなりそうな気がしてきます。

例え禁煙が上手くいかなくても、
それは、
意志力が無いせいや
我慢強くない事が理由でありません。
脳のシステムがそうさせる
のであり、
それを改善するのはそもそも難しいのだ
と腹に落とせば、
脳の仕組みに屈することなく
習慣改善を継続できます。

おわりに:

習慣を脳から科学する本書。
難解な説明があるからこそ、
その後になされる
習慣改善の方法には、
目を見張る説得力がありました。

人生をちょろく、
良い方向に転換する方法なんてない。
と暗に言われている分けですが、
そこには突き放しではなく、
だからこそ取り組む価値がある
と激励の側面が
強く打ち出された本でもあります。

何かに挑戦したり、
何かを改善した結果、
失敗に終わってしまっていても、
本書を読めば、
光を見つけることができます。

上手くいかなかったのは、
自分の自制心ややる気などが、
欠けているからではない。
そこだけでも、
学ぶ価値があったと確信します。

大樋町

管理人
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大樋町

初めまして。
大樋町と申します。
「おおひまち」と読みます。
北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
良い本は心の友。
私の友人たち(愛読書)から学んだことをアウトプットする場としてブログを書いております。
毎週、月曜日にブログを更新中。(少ないw)
ありがたい事に、
読者様が増えてきたから身を引き締めねばw
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