第183回【書評】QUITTINNGやめる力から学ぶ【やめるは失敗ではない】

読んだ本

はじめに:

やめてもいい。
を実感、実践した者たちの成功の書。

GRIT(グリット)・・・根性や粘り強さ
がもてはやされ、
QUIT(クイット)・・・止める、辞める
が失敗と見なされるのはなぜなのでしょうか?

人間以外の生物は、
やめる
を実践して進化し、生き延びてきました。

現代の人間、
ホモ・サピエンスである私たちは、
どうにも「やめる」事に対して、
嫌悪感を抱き、
落伍者のレッテルを貼ってしまう
傾向にあります。

反対に
辛いことにも辛抱つよく、
やり抜く事を美徳としているようです。

大きな挫折を味わったからこそ、
今の成功がある。
を体感した著者による
やめる技術を科学した本書。

やめ時とはいつか?
やめる事は正義か?
成功するやめ方ってどんだ?
などなど、
著者の視点と観点は、
忍耐力至上主義の現代にら対する
アンチテーゼであり、
ユーモアに富み、
私の救いでもありました。

我慢して何かにしがみつく様に生きて、
結果、破産する人もいます。

根性論の美化には、
暗黒面すら存在する。
と著者指摘しています。

「やめる」とは、
決して自らの価値を下げる行為ではなく、
正しいか分からない選択肢を
目の前にした時、
それでもなお人生の主導権を
自らが握り、前に進むことです。

全ての事に対し、
耐え忍び、辛酸をなめ、
体を壊してまで、
愚直に突き進む必要はないのです。
今一度、
「やめる」を捉え直す時が訪れています。
quittingから得た知見、
私の学びをアウトプットします。

学んだこと:

鳥や蜂からやめ時を学ぶ

生物にとって「やめる」ことは
必須行為です。

人間を始め、
生物にとっての最大の使命は、
種の存続です。

生物にとって、
「行為」は生きることに繋がっており、
自分のかけた時間や労力には、
それに見合うだけの「結果」、
即ち「栄養」を取り続けなければ、
生物は死んでしまいます。
自然界とは、
結果を常に求められる厳しい世界です。

鳥はやめることが得意です。
例えばガラパゴス諸島の、
「フィンチ」とい鳥。

フィンチは種を食べますが、
棘のついた殻から、
種を取り出すのは容易ではありません。

フィンチは、
ある程度努力し、
この殻は開かない。
と判断すると、
すぐに次の殻を探します。

諦められず、
いつまでも殻をつつくフィンチは
生き延びることはできないでしょう。

さっさと次に行かなければ、
得られる栄養よりも、
多くのエネルギーを使ってしまい、
体力を無駄に減らしてしまうからです。

カラスもやめる事が特いな鳥です。
実験では、
餌につながった棒
を準備してカラスに棒を突かせます。

突くたびに餌が近づいてくると、
カラスはたちまちその仕組みを学び、
棒を突き続けて餌をゲットします。

しかし、
餌が見えない状態だと、
棒を突き続けたカラスは
10羽中たった1羽のみだったそうです。

もしこれが人間だった場合、
最後まで諦めなかった1人
に注目が集まり、
彼は賞賛を得たかもしれません。
カラス(自然界)から言わせれば、
その一匹は、
最も愚かであったにも関わらずです。

「やめる」とは、
ある種特異な言葉です。
やめるをどう捉えるか、見方を変える度に、
良い意味も悪い意味にも取ることができます。

人がやめる事を選択する時、
なぜか罪悪感を感じたり、
負け犬のレッテルを貼ったりします。

私たちは、
もっと本能に立ち返り、
やめる事にも有意義さを感じ取り、
やめる事への敬意を思い出し、
時にはやめる事を取り入れる必要が
あるのではないでしょうか。

成功への道を諦めてみる

成功への道。
一言で書くと簡単ですが、
成功を求め人生を歩む人にとって、
その言葉は、かくも大きく偉大で、
その人の人生を支配してしまいます。

弁護士、医者、芸能人、起業家。
それを目指す人たち。
もし何かを目指し挑戦している人が、
道半ばにしてその挑戦を
「やめる」事なんでできるのでしょうか。

挑戦をやめるのも、
人生においては一つの選択肢です。
挑戦を止めることは、
新たな世界に旅立つ、
新たな一歩を生み出す「ポジティブな道」
であることは前述のとおり。

でもそれができないのはなぜか?

著者は、
挑戦を止めることができない理由
には「2つ」の原因があり、それは
 ・止める事への恐怖
 ・サンクコストを意識するから
と説明しています。

やめるのが怖い。
という概念には、
「楽観的」な意見で打ち消し、
サンクコストに対しては、
エジソンの考え方が役立つ。
と著者は説明しています。

楽観的という考え方はともかく、
「エジソンの考え方」とは何か?

平たく言うと、
科学者のマインドセットを持とう
という事です。

そもそもサンクコストとは、
自分がかけた時間や労力・努力が、
それをかけた行動をやめることで
「無駄」なってしまう事です。

エジソンは言わずと知れた、
「失敗の天才」です。
他人が失敗と見なすような結果でも、
「うまく行かない事が分かった」
「だから、これも成功だ」
と失敗も成功までの道のりの一つ。
と捉えていました。

これこそが、
科学者のマインドセットです。

エジソンは、
その失敗の数も去る事ながら、
自身の不幸をも、
人生のスパイスに変える天才でした。

エジソンの研究室が、
大規模な火事に見舞われた時、
彼は、焼け落ちる研究室を見て、
「この後の研究がどんなものになるのか
ワクワクするよ」
と研究員に漏らしたと言います。

エジソンは、
諦める事からすらも、
インスピレーションを得ていたのです。

何かに執着していては、
エジソンの様に考えることは
難しいのかも知れません。

現実は格も厳しく、
自分ではコントロールできない現実を
運んでくることもあります。

そんな時は、
あきらめる技術が、
その人生を救ってくれることでしょう。

半分やめてみる

本書から特に知見を得たのは、
その具体的な「やめ方」についてです。

やめるとは、
一世一代の決断、
後にも引けない究極の選択
では「なくても良い」。
と著者は説明しています。

むしろ、
やめ方として取り入れるべきは
セミ・クイット(一旦、半やめ)
であると強く主張しています。

今いる場所から、
「一旦」身を引いてみる
であったり、
今いる場所は変えずに、
やり方だけを変えてみる。
など、やめる選択肢は、
どこにでも存在しています。

半やめのプロである
スティーブ・ジョブズのように、
「既成概念にとらわれず、
失敗を土台にして
半分新しいことを始める」
こともやめることなのです。

この、
半分やめる
は汎用性もあり、
至る所で効果を発揮します。

転職に悩んでいるなら、
完全にやめる前に、
部内移動で部所を変えてみる。
考え方をやめるのではなく、
「方向転換(ピボット)」してみる。

アップル社の再起に成功した、
ジョブズに習えば、
やめるとは、
災い転じて福となす
というありきたり言葉ではなく、
辛酸を舐めた経験から、
新たな知恵と視点を得て、
やめたことにもう一度挑戦する。
これもまたセミクイットです

おわりに:

本書は決して、
忍耐強く生きることをやめて、
何でもすぐにやめた方が良い。
と安易な答えを推奨するものではありません。

本書が言いたいのはきっと、
人生はやめるを選択肢に入れて、
もっと自由に生きることができる。
と言う、
メッセージ性に富んだものだと確信します。

やめることは、
失敗や敗北ではありません。
やめずに済めば良いこともありますが、
やめたからこそ得られた幸福が、
本書には溢れるほど詰まっています。

何か困難が目の前に現れた時、
ひょっとしたらセミ・クイットが、
人生を救ってくれるかも知れません。

少なくても、
やめるを選択肢から外すこと
はやめた方が賢明です。

私たちはもっとやめることに対し、
積極的に理解を示すべきだ。
確信します。

大樋町

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大樋町

初めまして。
大樋町と申します。
「おおひまち」と読みます。
北陸地方住む、アラフォーの読書愛好家です。
日頃は通訳などを生業としております。
良い本は心の友。
私の友人たち(愛読書)から学んだことをアウトプットする場としてブログを書いております。
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